風の庫

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 谷崎精二・個人全訳「ポオ全集」(春秋社)第3巻より、1回めの紹介をする。
 先行する「同 2」を読む(7)は、今月7日の記事にアップした。




ポオ全集第3巻
 「ポオ全集」第3巻の函の表である。1969年第1刷、1978年第5刷。

 第1編は、「ハンス・プファアルの無比の冒険」である。オランダで困窮したハンス・プファアルが気球を造り、工夫を凝らして月世界に至るという話である。長文の手紙が月の住人によって届けられ、真相がわかる。
 気球程のもので、月に至れない事は、現代の科学で明らかである。月到着の願いは古くからあり、色々な物語を生んだとしても、これは上手な部類ではないだろう。

 第2編は、「メエルストルムの渦」である。「大渦に呑まれて」「大渦の底へ」の訳題でも有名な短編である。大渦に巻き込まれた小漁船で、主人公が、大きいものや丸い物が早く沈む事を発見し、樽に身を縛って飛び込む事で、死を免れる。しかし樽に身を縛っては、海水も飲むだろうし、現実的なストーリーに思えない。前作と共に、当時の科学の知識が先行し、今の読者の感興が大きくない。



 谷崎精二・個人全訳「ポオ全集」(春秋社)第2巻より、7回め、仕舞いの紹介をする。
 同(6)は、先の8月17日の記事にアップした。



ポオ全集 2
 「ポオ全集」第2巻の函の表を再掲する。

 第2巻の仕舞いは中編小説「ジュリアス・ロドマンの日記」で、244ページ~323ページ、80ページに渉る。
 副題にもあるように、「ロッキィ山脈最初の踏破記」である。第1章の長い序説のあと、第2章~第6章へと、日記形式で語られる。
 毛皮を求めて川を遡上し、草原の美しい景色、インディアンとの闘いを描き、赭熊の襲撃から逃れる所で、日記は了えられている。ロドマンが生活し、日記の残っている所から、この冒険は成功したのだろう。

 谷崎精二は解説で、「珍しい平明で清暢な物語である」と述べる。しかし少ない資料から、ポオが想像力を奮って描写して行く、苦悩が伝わって来る。

 これで第2巻を仕舞い、全6巻の第3巻に入る。


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