風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 お報らせです。2020年9月6日で以って、Kindle本「少年詩集 鳶の歌」を自力発行致しました。原稿は自分で作成し、表紙はデザイナーさんにお願いしました。上梓は自力で行いました。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリで、「少年詩集 鳶の歌」と検索すれば、すぐに出て来ます。右サイドバーのバナーよりも至れます。僕のペンネームは柴田哲夫です。価格は500円ですが、Kindle Unlimited版を追加金無料で購入できます。多くの方のご購読を願っております。

反骨

 所属する短歌結社「覇王樹社」の編集部より、要請されていた歌集評3冊の内、2冊めと3冊めが、昨日に到着を報せた「覇王樹」2020年5月号に載った。


 今月2日の記事、登坂喜三郎・歌集「いのち」を読む、に次ぐ転載である。


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 受贈歌集・評には、字数制限(題名、日付け・出版社を含め、20字×25行)がある。

 矢野一代・歌集「まずしき一冬」
 「海市」会員の著者の、「父の男の」、「いのち」に継ぐ、第3歌集。中川昭氏の跋文「黙秘の似合う人」、著者・あとがきを付す。
 穏やかな歌もあるが、跋文にある通り、「反骨の」歌人である。父よりの事業を引き受け、交渉の駆け引きなどの苦労も、人並み以上なのだろう。「父の遺産」の根性、負けん気の強さで、事業社会の男たちと渉り合って来た。20年を越える作歌も、生活の支えとなるのではないか。
 戦い続ける日々の果て、穏やかな日々と穏やかな歌の境地の日が訪れるよう、願われる。


眼球の奥そこ深く疼きおり今日の怒りはしこりとなりて
厳しさを美徳と育ち優しさを覚えぬままにもう日暮どき
傷つけて傷つけられてわれらまた言葉の銃口向け合っている
わが庭へにっちもさっちもゆかぬ種はこび来るのは決まって男
負けん気の強さと口下手はた吞兵衛どれもが亡父の遺産でしょうか
 (北洋館、2019年11月25日・刊)。



 県内にお住まいの詩人、西畠良平さんが贈ってくださった詩集、「溶け出した言葉」を読み了える。
 受贈は、今月15日の記事、入手した3冊を紹介する(8)にアップした。概要の1部を挙げたのでご覧ください。



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 31編の詩を収める。すべて14行詩である。ソネット詩集として構想されたらしい。
 しかしリルケ、ボードレール、谷川俊太郎のソネット、4行、4行、3行、3行のイタリア式でも、シェイクスピアの4行×3連+2行でもない。構想を崩して表記したらしい。

 同人詩誌「螺旋」の仲間だった時代があるが、批評会などで会う時が少なく、印象は薄い。
 ほぼ同年代の生まれで、作品「連帯を求めて孤立を恐れず」の反骨や、「溶け出した言葉」の危機感(今の政権の言語感覚のいい加減さに因る)を、表明している。
 「鉛の兵隊」では自衛隊の実戦能力がない、国民を守る意思がない、と主張するようだ。 
 「針山のレディバード」はレトリック的に優れており、末3行は「どちらにせよ ぼくは/凍えたまま 座り込んだ位置から動けずにいる/そして 少しずつ凍り付いていくだけだ」と、凍り付いても権力の側に行かない意志を表明する。「逝く夏」では、成熟があり、表現が整っている。
 西畠良平さんのこれからの作品にも期待したい。





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