風の庫

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埋葬

 谷崎精二・個人全訳「ポオ全集」(春秋社)第2巻より、3回めの紹介をする。
 同(2)は、今月2日の記事にアップした。


 リンクより、関連過去記事へ遡れる。

 今回は、「奇態な天使」「使いきった男」「息の紛失」、3編を読んだ。3編で43ページである。
 「奇態な天使」はビヤ樽の胴、小樽の足でできた羽根のない、自称・天使に、酒酔いの「私」が振り回される話である。天使を含め、一切の信仰を僕は持たないので、内容には言及しない。酔っ払いの戯れ言めく(悪い冗談とも書いた)のが残念である。
 「使いきった男」は、蛮族と戦って体のほとんどが、人工品になった(本体は小さな束のみである)、名誉陸軍少将を描く。人工器官の発展、あるいはiPS細胞の発見を予告したような面は認める。
 「息の紛失」は、息を失くした男が不運の果てに、生きたまま埋葬されるが、掘り出される話である。「生きたまま葬られる」というポオの1テーマである。

 短編小説作家は、ポオも、O・ヘンリも、フィッツジェラルド(長編小説もある)も、悲惨な最期を迎えているが、何故だろう。印税の安い短編小説を乱作するからだろうか。短編小説の名手と呼ばれた三浦哲郎は、それでも長編小説も多く手掛けた。バランスを採ったのだろうか。村上春樹は短編、中編、長編、翻訳、エッセイとバランスを採って書き続け、成功している。

樽のイラスト
写真ACより、「樽」のイラスト1枚。


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 谷崎精二・個人全訳「ポオ全集 1」(春秋社・版)より、3回めの紹介をする。
 同(2)は、今月22日の記事にアップした。



 今回は、「早過ぎた埋葬」「告げ口心臓」「アモンティラアドの樽」、3編を読んだ。
 「早過ぎた埋葬」は、葬られたあとも、、生きていた証拠や、生き返った例まで、延々と述べる。「私」はカタレプシイという病気で、昏睡状態に陥る事があり、生きたまま埋葬される事を恐れていた。1度目覚めに埋葬されたかと苦しむが、帆前船の寝棚で目覚めただけだった。

 「告げ口心臓」は、ある老人の片方の目を恐れる「私」が、老人を殺し、床下に隠す。派遣された警官の前で、「私」は躁状態になり、犯罪を告白してしまう。「黒猫」の成功で、似たパターンの短編を書いたのかも知れない。

 「アモンティラアドの樽」は、酒好きのフォルチュナトに苛められ続けた「私」が、酒を鑑定してほしいと相手を穴倉の奥深くに誘い込み、縛り付けて、壁の漆喰を塗ってしまう。この編では、罪の露見はない。それが「黒猫」や「告げ口心臓」より、進んだ点だろう。
十字架の墓
写真ACより、「十字架の墓」の写真1枚。



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