風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 お報らせです。2020年9月6日で以って、Kindle本「少年詩集 鳶の歌」を自力発行致しました。原稿は自分で作成し、表紙はデザイナーさんにお願いしました。上梓は自力で行いました。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリで、「少年詩集 鳶の歌」と検索すれば、すぐに出て来ます。右サイドバーのバナーよりも至れます。僕のペンネームは柴田哲夫です。価格は500円ですが、Kindle Unlimited版を追加金無料で購入できます。多くの方のご購読を願っております。

大江健三郎

 藤原龍一郎・歌集「202X」を読み了える。
 購入は、今月2日の記事、入手した5冊を紹介する(6)にアップした。



藤原龍一郎 202X
 歌集「202X」は、2020年3月11日、六花書林・刊。初出1覧によると、2013年~2019年に発表した作品を、グループごと並べ替えて編集してある。発行月日は、東北大震災の日である。
 「反抗する者は常に正しい!」のテーゼ(造反有理か)が若い時代を支えた者として、ディストピアに向かうような現状に、預言とも呪詛ともなる歌を創り続けた。例えば「ニッポンは丘にしあればてっぺんに愚者は居座り日は没するを」。

 以下に4首を引き、寸感を付す。
月光がそそぐ狂気を享けとめて老いたるパルチザンの勇姿よ
 歌誌「月光」主宰・福島泰樹へのオマージュだろうか。
パソコンの起動音こそ恩寵ぞ「日本脱出!」したし今こそ
 塚本邦雄の歌からの本歌取りである。脱出しようにも、強面のドンの国ばかりのようだ。
店頭の均一本は雨に濡れ『ローザルクセンブルクの手紙』
 僕も文庫本の同書を所蔵しているが、読む当てはない。
飼育せし脱走兵が歌いたる「弾丸
(たま)にあたって名誉の戦死」
 大江健三郎の芥川賞受賞作「飼育」が、念頭にあるのだろう。


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 大江健三郎の小説「水死」を読みおえる。
 講談社文庫、2012年・1刷。
 年老いて根気がなくなり、長編小説や難しい評論は読めないと書きながら(「サスケの本棚」などで)、文庫本で536ページの小説を読んでしまった。
 この小説の文体は、難しくない。大江の文章の呼吸といったものに慣れれば。
 内容が、何を言いたいのかわからない、とある喫茶店のママも嘆いたが、大江の大きなエモーションを感じるだけで良い。
 特殊な私小説だから、筋立てには、好都合が多く起きる。
 電話・対話の会話体、書簡・日誌の文章体が、自在に挟まれる。
 そして女優のヒロインが再び犯され、公演が中止になる、意外なアンチ・クライマックス。
 作家は、予定調和を(自身にも)信じていないようだ。

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