角川書店「増補 現代俳句大系」第14巻(1981年・刊)より、8番目の句集、桜井博道「海上」を読み了える。
 先の10月29日の記事、
川崎展宏・句集「葛の葉」に次ぐ。
概要
 原著は、1973年、牧羊社・刊。加藤楸邨・跋、431句、著者・後記、火村卓造「海上解説」を収める。
 句は1950年以前~1971年を、ほぼ年毎に年代順にまとめてある。
 桜井博道(さくらい・はくどう、1931年~1991年)は、1949年、加藤楸邨「寒雷」に入会。1970年、森澄雄の「杉」創刊に参加。大学商学部大学院修士課程・卒。家業の「桜井家具店」専務取締役(当時)。
感想
 字余りの句が多く、定型の句を探そうとすると苦労するくらいである。
 徒らに字余りが多く、工夫すれば定型に収まりそうである。助詞の省略も多い。
 師・加藤楸邨や周囲にそのような俳人が多かったのかも知れないが、「それで良い」という態度が嫌である。定型詩の意義を成さない。前衛俳句でもない。
 しかし後に長く病臥したとあるから、俳風の変化があったかも知れない。後に句集「文鎮」、「椅子」がある。
引用

 以下に定型句を主に5句を引く。
最上川乗りて夏帽小さく座す
頬白の空降りてくる草に臥て
花火終へ押しもどりくるもののあり
ひと夜経てなほ雨のなか信濃柿
まぶしめり蛇口をあるく天道虫
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写真ACより、「乗り物」のイラスト1枚。