風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。


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 先の12月20日の記事、「1誌、1紙、1部を入手」で入手を報せたうち、季刊同人歌誌「COCOON」Issue10を読み了える。
 
同・Issue09の拙い感想は、先の10月7日の記事にアップした。
概要
 2018年12月15日・刊。A5判(?)87ページ。大松達知・発行人。結社「コスモス短歌会」の若手歌人を同人とする。
 先行する「棧橋」時代は1ページ12首で、今は6首だから、ずいぶん余裕のある掲載法である。また通常短歌以外の趣向なども、余裕がある。
 第10号というのは、1つの節目であり、小決算であろうか。
 内容に張りが満ちて来たように感じる。
感想

 以下、引用に添いながら、感想を述べたい。
 K・絢さんの「ミッキーマウス」12首より。
ミニカーを畳のへりに整然と並べ二歳の恍惚はある
 わが子の集中力を頼もしく思う、愛情が流露されている。
 M・恵子さんの「ゴジラ」12首より。
「そういうの苦手だから」と言っていたあなたお産に立ち会つてゐる
 信じ合う家族の、お産の場の新しい姿が詠まれている。
 Y・恵理さんの「Immigration officer」12首より。
そらいろのシャツにアイロンぴつちりと子は空港にヒール響かす
 迷って地元就職を決めた娘さんが、空港に働く、親娘の喜びを描く。
 T・桜さんの「冬の一日」12首より。
数百の柚子の実なりぬ<配る用><ジャム用><風呂用><描く用>にする
 若者に苦しい時代に、希望、喜びを見つけて、前向きに生きようとする。




大西久美子 イーハトーブの数式
 大西久美子・歌集「イーハトーブの数式」kindle unlimited版を読み了える。
 先の8月10日の記事、
「入手した4冊」で報せた内、4冊目の本である。
概要
 ダウンロード時期、出版社、各版の出版時期・価格については、上のリンクに述べたので、ご参照ください。
 295首、加藤治郎・解説「北からの風と言葉」、著者・あとがきを収める。
 著者は、岩手県・生、2014年「未来短歌会」入会、加藤治郎に師事。
感想
 3月11日の東北大震災の時、彼女は鎌倉市にいて、郷里で入院中の父と連絡が取れなかった。その父が亡くなり、すでに母は亡く、兄弟姉妹もいないようだ。
 数学科の理系女子(リケジョ)として、淡い恋もありながら大学を卒業し、就職した。
 新しい歌人として、旧かな遣い、古典文法が珍しい。掉尾の歌(引用のしまい)のように、歌による救いを信じて(やや強引か)、生きてほしい。
引用

 以下に7首を引く。
0番線プラットホームに雪を踏む「しばれるなはん」のこゑを聞きつつ
海沿ひの瓦礫の上を飛ぶかもめ さくら色した足を揃へて
夕闇の深まりてくる病室で時々午後のかなしみを言ふ
透明なケースに残る新品の父の名のなきタオルやパジャマ
午前二時しまふくろふの鳴き声を呼び出してゐる電子辞書から
卓上に資料五枚が置かるるにまづ釈明を聞かされてゐる
ねむたくてねむれぬ指で打つキーの音の先には詩が待つてゐる



大西久美子さんが、ツイートをくださいました。

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