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 土屋美代子さんの第1歌集「山帰来」を読み了える。
 入手は、先の3月27日の記事
「入手した3冊(2)」の、トップにアップした。
 2017年3月25日、柊書房・刊。
 選歌、題箋、帯文を、高野公彦氏(歌誌「コスモス」編集長)が成している。
 題名の「山帰来(さんきらい)」は、広辞苑に拠ると、ユリ科の蔓性低木である。姿は、カバー絵を参照されたい。
 彼女は、主婦業のかたわら、点字訳ボランティアをするなど、堅実に、慎ましい位に生きて来たようだ。
 家庭的には、3人の子供さんたちが巣立ち、お孫さんにも恵まれるなど、恵まれているようだ。
 以下に、おもに親族を詠んだ7首を引く。
この春を巣立ちゆく子の引越しの荷物の中に雑巾加ふ
背嚢を背負ひて夜の玄関に立ちし帰還の父を忘れず
ベッドより青空を見てもう春かと言ひしが父の最期になりぬ
もう何もしてあげられずあへぎつつ癌とたたかふ妹の辺に
父、母の調へくれし鏡台に母の葬(はぶ)りの身支度をする
だんだんに大きくしたるシチュー鍋 子ら巣立ちゆき再び小(ち)さし
ゆくりなく京のさくらを堪能す孫の入学祝ふべく来て