風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

岩波文庫

 岩波文庫のヒポクラテス「古い医術について 他八篇」より、4回めの紹介をする。
 同(3)は、先の2月18日の記事にアップした。


 今回は「技術について」全14節、85ページ~98ページ、14ページを読んだ。
 第5節で、「病気になったとき医者にかからなくても回復した人が沢山ある。」との論難に、「医者と同じ自家治療を偶然に用いたからである」と反論している。動植物の自己治癒力の仕組みが、分からない時代の考えである。
 第8節。医術の及び得ないことを医術に対して要求する無知を、狂気に縁が近いと非難する。現在では、ホスピスケアが1分野を成している。
 第13節では症状の判断に、視覚によること、薬剤投与による排泄物での判断を挙げている。現在では、レントゲン、エコー、内視鏡、MRIなどによって、患部の判断をできるようになった。
 医療が急速に進歩した現在、紀元前400年の医療に、素人が指摘できる点はある。
 しかし医療者に素質と教育が必要とし、技術の進歩と医療者の倫理を説いた点は、現代でも信条とされているようだ。

病人
写真ACより、「病人」のイラスト1枚。


 岩波文庫の一茶「七番日記」(下)より、8回めの紹介をする。
 同(7)は、今月6日の記事にアップした。


 今回は、文化14年7月~12月の半年分、330ページ~366ページ、37ページ分を読んだ。
 安住の郷里の四季を吟じ込んで励みがある。人間以外の生き物に呼び掛ける句も健在で、処々に見られる。
 52歳で結婚して3年、長男・千太郎は幼くて亡くなったが、世継ぎの子を欲したらしく、童児の愛らしさを吟じた句が散見する。
 文化14年の末尾に、惣計975句とあるのは、文化14年の句の合計だろう。また他郷252日、在菴95日とあり、指導外泊が変わらず多かった記録が残る。

 以下に5句を引く。
大の字に寝て見たりけり雲の峰
あれ程のいなごも一つ二つ哉
(まるい)露いびつな露よいそがしき
我家
(わがいへ)の一つ手拭(てぬぐひ)氷りけり
ちりめんの狙
(さる)を負ふ子や玉霰
入道雲1
写真ACより、「雲」のイラスト1枚。







 岩波文庫のヒポクラテス「古い医術について 他八編」より、3回めの紹介をする。2回めの紹介は、今月11日の記事にアップした。



 今回は、「古い医術について」全24節、26ページを読んだ。
 ヒポクラテスは、病態を「熱・冷・乾・湿」等のみで観念的に説く事を批判し、医術は技術であり、将来も発見は行われるであろうと説く。
 ここで説かれる対処法は読んだ所、食事療法、下剤、焼灼のみである。体液という、血管、気管、リンパ管かわからないものを巡る、液体が想定されている。
 のちの論文によると、薬草、薬剤も用いられたが、その効能の理由は経験的だったようである。
0-20
写真ACより、「ウィンターアイコン」の1枚。



 岩波文庫のヒポクラテス「古い医術について 他八篇」より、2回めの紹介をする。
 1回めの紹介は、今月4日の記事にアップした。


 今回は「神聖病について」全21節、21ページを読んだ。
 神聖病とは、神経症の事である。古代ギリシアの人々は、神経症を神業に依ると考え、妖術師、祈祷師、托鉢僧、野師等が、祓いを施し、呪文をとなえ、沐浴を禁じ、多くの食材を禁じた。
 ヒポクラテスは、神経症の徴候の原因を、現代医学と同じく、脳にあるとする。有効処置を施すならば、この病気をも治癒することができるであろう、と結んでいる。
 「人間にあっては脳が最大の機能をもつと考えられる。」「私は脳が意識の伝達者であると主張するものである。」とも述べ、紀元前400年頃にして脳の重要性を主張した。
0-19
写真ACより、「ウインターアイコン」の1枚。







 岩波文庫の一茶「七番日記」(下)より、7回めの紹介をする。
 同(6)は、先の1月7日の記事にアップした。


 今回は、文化14年正月~6月の半年分、295ページ~329ページ、35ページ分を読んだ。
 江戸俳壇を離れ、54歳で得た長男・千太郎が早逝し、老境に入る。それでも新しい発想の句を吟じ、類想句はわずかである。得意の口語体の句を進め、郷里の風土を含め、先駆的に吟じている。
 6月の項の末尾に、398句とあるのは、正月からの総計だろう。

 以下に5句を引く。
はつ空にはやキズ
(疵)(つけ)るけぶり哉
秋雨
(さめ)や乳放(ちばな)れ馬の旅に立(たつ)
有明(ありあけ)にかこち皃(がほ)也夫婦(ふうふ)
短夜(みじかよ)にさて手の込んだ草の花
(いひ)ぶんのあるつらつきや引(ひき)がへる
0-15
写真ACより、「ウィンターアイコン」の1枚。





 岩波文庫のヒポクラテス「古い医術について 他八篇」を読んでみる事にした。現在、新型コロナウイルスの伝染病が世界的に流行している。また個人的にも、大動脈周囲炎と膵臓腫瘤のため、入院後の通院を続けている。
ヒポクラテス
 1963年・第1刷、2010年・第35刷。ヒポクラテスは、医学の父とされ、古代ギリシャ時代、BC460年頃~BC370年頃の人である。

 今回に読んだのは、初めに置かれた「空気、水、場所について」である。
 寒暖差、飲用水の水質、土地等が原因となり、種々の病気を引き起こしやすいと考えられているようだ。「粘液質の人」「湿性体質の人」など、理解できない言葉も現れる。
 エジプト・リビア、アジアなどについては、伝聞等による想像上の記述で心許ない。
 病気を迷信と呪術から解放し、科学的に分析し治療しようとする姿勢は明らかである。


 

 岩波文庫の一茶「七番日記」(下)、2003年・刊より、6回めの紹介をする。
  同(5)は、先の12月24日の記事にアップした。



 今回は文化13年7月~12月の半年分、243ページ~293ページの51ページを読んだ。
 俳句ページの頭部に一茶の記録メモが記されるが、漢文読みくだし文で読みにくく、天候記録が多く、訪問先も記されるが、一々追っていられない。見開き2ページの左端に校注者の語注欄があり、理解の助けになる。
 年末の句数は記載なく、江戸を去る時の餞別1覧が載っている。金額など、今の僕にはわからない。
 男子の世継ぎ(当時としては当然だろう)を望むらしい句、老境の句がある。
 最大の支援者だった成美への追悼連作9句がある。
 在菴156日、他郷228日と、やや在菴日が増えたか。
 9月5日の頭部記録に、「キクト中山菅刈 茸取 栗拾」とあり、微笑ましい。

 以下に5句を引く。
老(おい)が世に桃太郎も出よ捨瓢(すてひさご
茹(ゆで)栗と一所(いつしよ)に終るはなし哉
おもしろう豆の転(ころが)る夜寒哉
浅ましや熟柿をしやぶる体(てい)たらく
霜がれや米くれろ迚(とて)鳴(なく)雀
0-07
写真ACより、「ウィンターアイコン」の1枚。





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