風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 お報らせです。2020年9月6日で以って、Kindle本「少年詩集 鳶の歌」を自力発行致しました。原稿は自分で作成し、表紙はデザイナーさんにお願いしました。上梓は自力で行いました。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリで、「少年詩集 鳶の歌」と検索すれば、すぐに出て来ます。右サイドバーのバナーよりも至れます。僕のペンネームは柴田哲夫です。価格は500円ですが、Kindle Unlimited版を追加金無料で購入できます。多くの方のご購読を願っております。

川端康成

あちゃらかぱいッ
 文庫本棚より取り出して、色川武大(いろかわ・たけひろ、1929年~1989年)がおもに敗戦前の浅草芸人たちを、伝記的に描いた小説「あちゃらかぱいッ」を読み了える。
 文春文庫、1990年・刊。
 前のブログ「サスケの本棚」を管理画面から検索すると、彼の小説は、2009年9月16日に「引越貧乏」を、2015年3月4日に「百」を、記事アップしている。

 「あちゃらかぱいッ」は、戦前の浅草で「成功したとはいいがたい」芸人たちを、「彼らの一生を深く愛するもの」の立場から描いた。
 自身も小学生高学年時代から、授業をサボッて界隈に出入りし、見聞きした事、芸人たちから聞いた話を基にした。
 川端康成が「浅草紅団」を新聞に連載した事などから、人気が出たという。
 男女入り乱れての、芸、人気、痴情の世界である。末尾では、土屋伍一、シミキンなどの末路を描いた。

 羽生善治の自己啓発の本も良いけれども、こういう落ちぶれた世界も、僕に親しい。


わたくし率 イン歯ー、または世界 (2)
 川上未映子の講談社文庫より、「わたくし率 イン 歯ー、または世界」、「感じる専門家 採用試験」を読み了える。
 同・本の入手は、今年4月29日の記事、(同)をローソン店で受け取るにアップした。
概要
 2編の初出など、リンク記事に書いたので、ご参照ください。
 川上未映子(かわかみ・みえこ、1976年・生)が、大阪の高校卒業後、弟の大学資金を稼ぐため、本屋のアルバイトとクラブのホステスをしながら、なぜ「早稲田文学」に伝手ができたのか、わからない。のちに上京して、歌手活動をしたから、優れた才能はどこかで見出だされ開花するのかも知れない。
「わたくし率 イン 歯ー、または世界」

 自分の本質は脳でなく、奥歯にあると信じる女性が、歯科助手に就職し、お腹の子や同僚に宛てて手紙を書く。子の父親の「青木」の部屋を久しぶりに訪うと、別の女がおり、放り出されてしまう。
 本質が奥歯にあると信じたのは、少女時代に苛めを受ける苦しさから考え出されたらしい。川端康成「雪国」の冒頭に主語がないテーマも、その時の自己抹消の方法からである。
 結局「青木」の部屋の玄関から追い出され、過去も妊娠もあやふやとなって結末する。
「感じる専門家 採用試験」
 前作よりも約半年、早く発表された。
 ずいぶん詩的な表現が多いことと、大阪弁の文体が、印象に残る。「徹底的な後悔も、徹底的であるなんて、あれはそれで美しかったね」の1語が刺さる。
 彼女は詩の才能があり、詩集で第14回・中原中也賞を受賞している。最近でも詩から小説に移って成功する、それも女性がいるんだ、と驚く。


 Amazonの記録に拠ると、今月9日に、Kindleストアの無料詩歌より、高見順・詩集「死の淵より」を、タブレットにダウンロードしている。
 今月14日の記事で紹介した、
蔵原伸二郎・詩抄「岩魚」と同じ時期である。
 蔵原伸二郎と違って、僕は高見順・詩集「死の淵より」(拾遺詩抄を含む)を知っていた。高校生時代か青年期に、文庫本で読み、のちに別の文庫本を代行業者に頼み(「立原道造詩集」、堀口大学・訳のボードレール「悪の華」などの文庫本と共に)、電子書籍化し、CDに収めて楽しみ読んでいた。しかしある時にクラッシュしてしまった。
 その後、「立原道造詩集」、「死の淵より」、共に文庫本で買い直したが、kindle版「立原道造詩集」を買い、「高見順文学全集」全6巻(それら詩編を含む)を古本で買い、文庫本は処分した。
 しかし没後50年の年が明け、著作権が消滅したのだろう、高見順詩集がKindleストアで無料で出ると、タブレットでリラックスして読みたいと、ダウンロードした。この本は先の「岩魚」と違って、のちまで残したい。

 僕のソネット群は、彼の詩に習う所があったかと、ひそかに思っていた。しかし久しぶりに「死の淵より」と拾遺詩編をよむと、そのような事は無かった。食道癌で死を間近に感じている、暗い詩が多い。
 「青春の健在」、「黒板」などの少ない、明るげな詩が印象に残っていただけである。
 様々に印象の変わる、高見順の詩編だけれども、今後も読みつづけたい。

 高見順(たかみ・じゅん、1907年~1965年)は、福井県出身の作家であり、三国町の生家と墓地に、荒川洋治さんに連れて行って貰った事がある。その前に三国町に、高見順の詩碑が出来た時、第1回荒磯忌(ありそき)だったとも思うが、詩碑除幕式(川端康成、今日出海、参列)に参加したのだった。
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写真ACより、「ファンタジー」のイラスト1枚。




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