風の庫

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形成

 岩波文庫のヒポクラテス「古い医術について 他八篇」より、7回めの紹介をする。
 同(6)は、先の5月8日の記事にアップした。リンクより過去記事へ遡れる。


 今回は、「流行病 第三巻(148ページ~)」、「医師の心得(14節、181ページ~)」、「誓い(191ページ、192ページ)」を以って、本書の仕舞いまで(注解、解説を除いて)読み了えた事になる。
ヒポクラテス
 岩波文庫の表紙を再掲する。




 「流行病 第三巻」には、12の症例、「気候」15節、16の症例の記述がある。症例では、回復した例もあるが、死亡した例が多い。「気候」では、ある年の気候によって、「悪性の丹毒」が多数発生したとする。症例を見ても、余病を併発しても、1病態とされた場合があるようだ。体温計もない状態では、病状の把握も、排泄物、出血、痙攣、譫言等でしか判断できない。

 「医師の心得」14節では、無益な議論を戒め、報酬に気遣い、模索状態では他の医師の助力を求めるよう勧めている。医師の身なり、講演への欲求にも戒めを書いている。
 「誓い」は文庫でわずか2ページであるが、今の医師もほぼこれに服しているらしい。医術の教授、学習を受けさせること、を無償とする。「情交を結ぶようなことはしません。」とあるのは、不犯だろうか、不倫しないという意味だろうか。
 読み了えて、紀元前400年頃に、呪術や哲学であった医術より、技術として医学を形成しようと藻掻くさまが見えるようである。


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早坂類 ヘブンリーブルー
 先の6月28日の記事「入手した3冊を紹介」で報せた内、早坂類・歌集「ヘヴンリー・ブルー」を読み了える。
概要
 2002年7月29日、オンデマンド版・刊。
 2014年12月20日、kindle版・刊。1,177円。
 早坂類(はやさか・るい)は、1959年・生。
 この前に歌集「まぼろしの庭」があり、小説「ルピナス」「睡蓮」、詩集7冊がある。
 歌集「ヘヴンリー・ブルー」は入交佐妃(いりまじり・さき)の写真とのコラボレーションである。
引用と感想
 行分かち書きなどの試みは良いのだが、どうも破壊的なのと反りが合わず、苦情っぽくなった。16年も前の歌集に、説教ぽくなっても、仕方がないのだが。
 ハイライトとメモの機能が利いたので、その記録に拠る。

三月の三日月なにもなしえない道のはたてのそらの切り傷
 挫折後の痛み、閉塞感だろうか。
満ちてくる光の中で口ごもるなにかさびしいきみのひとこと
 良いシーンだが、「さびしい」と書いてしまっては惜しい。
均されてしまった土の中に尖った小石が混じっている すこし輝く
 尖っていたい年齢、世代なのだろう。
まっすぐにまっすぐにゆけ/この夏の終わりの道を/たったひとつの
 青春の一途さは、挫折した時が怖い。
そのままに/そのままに/ただそのままに/僕らの生をいまそのままに
 現状保持の感情だろうか。繰り返しは試みだろうが、成功していると言いがたい。
壊れてよ もっと壊れて どこまでも壊れ果ててよ 解体屋です
 破壊ではなく、形成する事が大事と、僕は思っている。
此の中に在るものはただ単に愛といいます それ以外無い
 愛を口実に、壊してはいけない。



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