風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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性格

 筑摩書房「現代日本文学全集 補巻8 上林曉集」より、8番めの短編小説「擬宝珠庵(ぎぼしあん)」を読み了える。
 先行する「嬬恋ひ」の感想は、先の7月2日の記事にアップした。

 リンクより、関連過去記事へ遡り得る。

 「擬宝珠庵」は、戦争末期、作家が郷里の四国へ疎開する場合を考え、裏山へ建てることを空想した、掘立小屋の名前である。賞愛する庭の擬宝珠を分け植え、読書執筆の生活を持とうとする。鍬を取っての農業は、40歳過ぎの自分には無理だと書いている。僕にさえ甘い空想である。「私といふ男が、人の世の温かさをこそ知れ、まだ無情と冷酷と憎悪に痛めつけられて死ぬ思ひをした試しがないので、…」と、作家も気づいている。
 空想に頼ることが、悪いことだけではない。それにより、生き延びる日々が、ある人々にはあるだろう。
 短編の私小説ばかり書いたことも、あながち否めない。俳歌の人々も、日々の悶々や喜びを作品にして、生きる支えとする。俳歌人にはプロが少ない(アマチュアの多さに比して)が、上林曉が作家の生を全うしたことは立派である。性格的にどうかという面もるが、文学創作が「世に生れ合せた生き甲斐であり、自分の人生そのものである」とする面から、やむを得ないところもあるのだろう。



ギボシ
 写真ACより、擬宝珠の写真1枚。

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 矢部太郎のマンガ本「大家さんと僕 これから」を、メルカリで買って読み了える。
 緊急事態宣言の外出自粛で鬱陶しくなって、売り手には済まないが、念願の本を注文した。しかし僕はマンガに詳しくなくて、評の仕方も知らない。
 手塚治虫賞を受賞した「大家さんと僕」は、2018年7月27日の記事にアップした。



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 「大家さんと僕」の続編、完結編である。2019年・3刷、新潮社・刊。スピンオフの本を含めると、100万部達成らしいが、今はそれを読みたくない。
 矢部太郎は、お笑い芸人、俳優でもある。父は絵本作家、紙芝居作家だという。

 このマンガの魅力は、昭和初期生まれのお嬢さん育ちらしい大家さんの性格にある。
 小柄で、教養があり、旧くからの友人もいる。けじめがあり、ユーモアのセンスにも秀で、若いのちゃんともウマが合う。
 大家さんは2度の足の骨折のあと、他界する。そのあとのエピソードもある。
 大家さんは、矢部太郎・他の周囲の人々に、幸せを、人生を分けてしまったのだろうか。
 最後のコマに「千回転」とあって何かと思ったが、羽生結弦選手の「4回転」がそう見えたのだった。




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