風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

恋人

 三木卓の長編小説「馭者の秋」を読み了える。
三木卓・馭者の秋
 集英社文庫、1988年・刊。379ページ。

 前ブログ「サスケの本棚」には、思潮社の現代詩文庫44「三木卓詩集」と小説「野鹿のわたる橋」の感想が残る。小説を他にも読んだようだが、確信がない。

 「馭者の秋」は、「わたし」(49歳、妻の死後に愛人あり)が息子・淳の恋人・多恵に恋情を抱くストーリーである。初恋の人にあまりに似ていて。共に男性に伝える魅力を自覚するタイプである。
 多恵が淳の子を妊娠している事を知り、父、保護者の心境と立場を取り戻す。
 細密な描写と、人生観の吐露が、長編小説を支えている。


 吉本ばななの短編小説集「デッドエンドの思い出」を読み了える。
 到着は今月20日の記事、届いた2冊を紹介する(18)で報せた。




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 リンクでは、ブログ開始の2016年9月より載っていないと書いたけれども、2007年4月開始の旧ブログ「サスケの本棚」にも載っていないので、13年以上ぶりの吉本ばななの本である。

 「デッドエンドの思い出」は、文春文庫、2007年4刷。「幽霊の家」「『おかあさーん』」「あったかくなんかない」「ともちゃんのしあわせ」「デッドエンドの思い出」、5編を収める。
 娘さんが障害を越えて、恋人と結ばれるストーリーが多い。恋人の8年間のフランス留学、毒物カレー事件、好きな中年男性に恋人がいた、などをクリアして結ばれる。
 「あったかくなんかない」では、幼い仲良しの男児が無理心中に巻き込まれて亡くなるけれども、幸せだった時を回想して結末となる。表題作「デッドエンドの思い出」は失恋物語だけれど、周囲に親切にされて、爽やかな光景で括られている。
 発表後の反響は良く、大きな展開があったと、文庫版あとがきに書かれている。


 江國香織の小説「間宮兄弟」を読み了える。
 江國香織の小説の記事は、以下のリンクで読める。



間宮兄弟
 小学館文庫、2007年11月・初版。318ページの長編小説である。350円のブックオフの値札が残っている。
 間宮兄弟こと昭信(35歳)と徹信(32歳)は、2LDKのマンションに一緒に住むが、共に恋人がいない。
 学生時代、会社で、女性に好意を持っては、悲惨な結果を迎えて来た。しかし女性教員と、直美・夕美姉妹をカレーパーティ、花火パーティに招いて、仲良くなりそうになる。しかし3人は、人間観に影響を受けて、それぞれのボーイフレンドとの関係を見直すのみにおわる。
 徹信は、昭信の仕事の先輩が離婚しようとしている沙織さんに突進し、玉砕する。
 そして兄弟の平和な毎日が戻って来る。
 悲惨にもなる内容だが、作家には異性だからだろうか、人生観による文体のせいだろうか、穏やかでユーモラスでさえある、物語となった。




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