砂子屋書房・現代短歌文庫(27)「藤原龍一郎歌集」より、エッセイ2編、解説(他からの批評)4編を読む。
 同書の第2歌集
「東京哀傷歌」は、今月18日に記事アップした。
エッセイ2編
 「一回性の輝き―初代タイガー・マスク」は、1980年代初めに活躍したプロレスラー、初代タイガー・マスクへのオマージュである。
 当時はテレビのプロレス放送が盛んだったから、その空中戦法に僕も惹かれた。しかしプロレス・マニアではなかったから、それまでだった。藤原龍一郎は、自身の鬱屈の持って行き場として、後のロマン・ポルノと共に、熱中したらしい。
 「短歌とミステリーとロマンポルノ」は、早稲田短歌会に入りたいのみに慶応大学から早稲田大学に移った彼が、熱い政治の時代に遅れた70年代の情念を、短歌、ミステリ(ワセダ・ミステリ・クラブにも属した)、「にっかつロマンポルノ」に、注ぎ込んだ様を描く。
解説4編
 歌人の小池光「<ああ>の激突」も、三枝昂之「感傷的で周到な物語」も、当時の藤原龍一郎の鬱屈した情念を充分に受け取っていないように思える。世代差、経験の差が、そうさせるのか。
 武田素晴「東京は悲しき器」は、東京に生活を決めた彼の、時代の影と共に、その心情に迫っている。
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写真ACより、「フード&ドリンク」のイラスト1枚。