風の庫

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情緒

 角川書店「増補・現代俳句大系」第15巻(1981年・刊)より、15番めの句集、阿部みどり女「月下美人」を読み了える。
 先行する鷲谷七菜子・句集「花寂び」は、先の3月24日の記事にアップした。



 阿部みどり女の句集は、同・大系にあった筈と、先のブログ「サスケの本棚」を内部検索すると、2013年1月19日の記事に、感想をアップしている。1947年・刊の「笹鳴き」である。


 阿部みどり女(あべ・みどりじょ、1886年~1980年)は、「月下美人」刊行当時、卒寿を越えていた。
 原著は、1977年、五月書房・刊。200部限定、価格:1万5千円の豪華本だった。210句(月下美人の連作、8句を含む)、著者・あとがきを収める。
 この後の句集に「石蕗」(1982年・刊)がある。
 阿部みどり女は、1915年、虚子「ホトトギス」に参加、1932年に「駒草」創刊・主宰し、戦後、再刊させる。

 情緒ある、有季定型の句を創り、枠をはみ出さなかった。210句を、5章に分けて収める。この句集を含む業績により、1978年、蛇笏賞・受賞。



 以下に5句を引く。
重陽の夕焼に逢ふ幾たりか
雉子羽をひろげ野良猫逃げてゆく
鳶烏左右に別れ冬の山
退院の握手を医師と夏の雲
栗鼠渡る秋深き樹を皆仰ぎ
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写真ACより、「アジアンフード&ドリンク」のイラスト1枚。



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 角川書店「増補 現代俳句大系」第14巻(1981年・刊)より、15番目の句集、横山白虹「空港」を読み了える。
 今月20日の記事、
沢木欣一・句集「沖縄吟遊集」に次ぐ。
 実は2冊の間に1句集、安部完市「にもつは絵馬」があるが、飛ばした。定型でない。と言って種田山頭火や尾崎放哉のように自由律でもない。上句・中句・下句の体裁を保っている。破調なのだ。それに逆年順も困る。1句集、1歌集の間に成長を追って読み進むのも、自称「読み部」の楽しみである。
概要
 原著は、1974年、牧羊社・刊。1946年~1973年の句を、年別に、季節順に並べる。
 彼は戦前の新興俳句を出自とし、新情緒主義を標榜した。戦後の1946年から始まっている事は、敗戦を区切りとして好い。
感想

 なぜ28年もの間の句集を出すのか。僕も「コスモス」時代の20余年の歌集を計画しているが、僕のように無名ではないのである。横山白虹(よこやま・はくこう、1899年~1983年)は、1973年、現代俳句協会会長になっているのだ。戦中に心恥じる所があったのか。
 詩性を求めるのか、まれに比喩が見られ(「秋天にあらゆるビルが爪立ちす」など)、俳歌に(近ごろは詩にも)比喩を嫌う僕には、引っ掛かる。
引用
 以下に5句を引く。
木苺の花咲けりわが紆余の道
石鏃と冬日をもらふ片手の中
球撞きの一人一人が雪嶺見る
露霜の一夜に窶れストの旗
秋日没つ麦の穂型の噴水に(モスクワ3句より)

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写真ACより、「乗り物」のイラスト1枚。



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