國森春野 いちまいの羊歯

 國森晴野・歌集「いちまいの羊歯」kindle unlimited版を、タブレットで読み了える。
 ダウンロードは、今月7日の記事
「入手した4冊(2)」の、2番目に報せた。
概要
 國森晴野(くにもり・はれの)(以下、敬称・略)は、東北大学大学院を修了し、ある科学研究部門に勤めている。
 歌集は、書肆侃侃房の「新鋭短歌シリーズ」の1冊である。
 単行本:2017年3月12日・刊。価格:1,700円+税。144ページ。
 kindle版:2017年4月27日・刊。価格:800円。
 kindle unlimited版は追加金・無料。
感想
 歌集のしまいに、東直子・解説「新しい扉とあたたかな諦念」、著者・あとがきを置く。
 2007年に短歌と出会い、2010年に短歌を始める、とある。
 水質検査等の仕事を、あるいは幻想的に詠んでいる。
 恋も詠まれるが、男性に反発する風でなく穏やかで、レトリックを効かせている。
 仕事や恋のストレスを昇華して、レトリックある短歌に詠み、心の安定を得ているようだ。
 彼女が、家庭を持つかどうかは判らないけれども、こうして心の安定した人生を送る人が、人生の成功者となるのだろう。
 第2歌集の待たれる歌人である。
引用

 以下に7首を引く。
向日葵の海を泳いで辿りつくあなたの背という陸の確かさ
無いものは無いと世界に言うために指はしずかに培地を注ぐ
浮かぶのはぜんぶにせものへばりつく欠片を無菌チューブに移す
さよならのようにつぶやくおはようを溶かして渡す朝の珈琲
ナトリウムイオンの量でかなしみを測るあなたは定時で帰る
からっぽの手を繋ぎますそれぞれに失くした傘の話をする日
ゆうやけを縫いつけてゆくいもうとの足踏みミシンはちいさく鳴いて