風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 お報らせです。2020年2月20日で以って、Kindle本・短編小説「底流」を自力発行致しました。原稿は自分で作成し、表紙はデザイナーさんにお願いしました。上梓は自力で行いました。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリで、「柴田哲夫 底流」と検索すれば、すぐに出て来ます。柴田哲夫は、Kindle版・詩集「詩集 日々のソネット」、「改訂版ソネット詩集 光る波」と同じく、僕のペンネームです。価格は500円ですが、Kindle Unlimited版を追加金無料で購入できます。多くの方のご購読を願っております。

抒情

 所属する短歌結社の歌誌「覇王樹」の編集部より、受贈歌集3冊の紹介記事を依頼され、既に3冊とも紹介文を送った。その内、1冊分が4月号に掲載されたので、以下に転載する。
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 登坂喜三郎・歌集「いのち」新書判。紹介に字数制限(20字×25行)がある。

 「地表」編集委員長の著者の第7歌集。2007年に出版した「メッシュの靴」以降、主として「地表」に発表した歌より、541首を自選した。
 「地表」編集代表の大井恵夫氏の肝癌の手術と入退院、著者の鬱病発症(後に完治)とたいへんな時期もあったが、短歌に打ち込める日々になった。優しい奥様、二人の立派な息子さん、健気なお嫁さん、犬の逝いたあとには猫と、恵まれて多くの歌となっている。
 末尾には大井恵夫氏の短歌鑑賞・54首分を加えて、編集代表への篤い思いを収録した。「地表」の目指す(写生に基ずく知的抒情)に邁進する歌人である。

けふは重湯明日から粥と病室に君は明るき声に言ふなり
お父さん行って来ますと出で行けり「荒川マラソン」参加の嫁が
梅雨晴れの小公園に児童らの課外授業かしばし騒めく
老木のさくらの幹に吹きし芽のしぼれる命よいま咲きにほふ
犬ほどの表情はなけれど飼ひ猫の妻の傍へにじゃれてゐるなり
(地表短歌社、2019年11月27日・刊)


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 今月28日の記事「届いた2冊(2)」で報せた内、詩誌「水脈」62号をほぼ読み了える。
 ある政治的背景を持っており、同人詩誌とは名乗っていない。
概要
 15名23編の詩、俳句同好会の11句、N・えりさんの小説「青山さんのこと」、随筆2編、通知報告欄・等がある。
 生活詩が多く、先の豪雪が多く歌われている。宗教色のある作品もある。
感想
 Y・知一郎さんの「“きだらいの”おばさん」は旧作らしいが、幼くより親しんだおばさんが、老いて亡くなり、偲ばれるに至る細部が重ねられ、しみじみとする作品である。
 M・祐子さんの「春の芽吹き」は、大雪との闘いを描いた末に、「雪で身体をきたえたばあさん/また長生きするかと深いため生き」とユーモラスに厭世的である。
 M・あき子さんの「くまバチ」は、「私の畑には/くまバチが一匹います」と始まり、「この春もスモモの花に来ました/私が来たねと言うと/夫はうんと言いました」と締め括って、自然と共生する穏やかさを表わす。
 N・としこさんの散文詩「クローバの・・・・・」は、幼馴染みだった「えいちゃん」との交流とその後、自分が四歳の時に出征し亡くなった父への思いを交えて、転変する生を抒情した1編である。


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