風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

描写

 三木卓の長編小説「馭者の秋」を読み了える。
三木卓・馭者の秋
 集英社文庫、1988年・刊。379ページ。

 前ブログ「サスケの本棚」には、思潮社の現代詩文庫44「三木卓詩集」と小説「野鹿のわたる橋」の感想が残る。小説を他にも読んだようだが、確信がない。

 「馭者の秋」は、「わたし」(49歳、妻の死後に愛人あり)が息子・淳の恋人・多恵に恋情を抱くストーリーである。初恋の人にあまりに似ていて。共に男性に伝える魅力を自覚するタイプである。
 多恵が淳の子を妊娠している事を知り、父、保護者の心境と立場を取り戻す。
 細密な描写と、人生観の吐露が、長編小説を支えている。


 谷崎精二・個人全訳「ポオ全集」(春秋社)第2巻より、7回め、仕舞いの紹介をする。
 同(6)は、先の8月17日の記事にアップした。



ポオ全集 2
 「ポオ全集」第2巻の函の表を再掲する。

 第2巻の仕舞いは中編小説「ジュリアス・ロドマンの日記」で、244ページ~323ページ、80ページに渉る。
 副題にもあるように、「ロッキィ山脈最初の踏破記」である。第1章の長い序説のあと、第2章~第6章へと、日記形式で語られる。
 毛皮を求めて川を遡上し、草原の美しい景色、インディアンとの闘いを描き、赭熊の襲撃から逃れる所で、日記は了えられている。ロドマンが生活し、日記の残っている所から、この冒険は成功したのだろう。

 谷崎精二は解説で、「珍しい平明で清暢な物語である」と述べる。しかし少ない資料から、ポオが想像力を奮って描写して行く、苦悩が伝わって来る。

 これで第2巻を仕舞い、全6巻の第3巻に入る。


 3月25日(第4水曜日)午前10時より、某会館にて、和田たんぽぽ読書会3月例会が持たれた。
 2月例会は、先の2月15日の記事にアップした。



 3月例会の課題図書は、藤田宜永の小説「愛の領分」である。僕の感想は前以って、今月3日のブログ記事にアップした。



愛の領分
 新型コロナウイルスの感染を防ぐため、全員マスク着用、戸を開け放っての読書会だった。メンバー7人が揃った。

 A・Tさんの司会で、僕からの発言となった。僕はブログ記事通り、主人公・淳蔵に批判的に述べた。A・Kさんは、大人の恋愛小説として、高評価した。お酒の場面が似合い、楽しく読んだと。
 T・Rさんは、描写がいやらしくなく、きれいだと述べた。あとがきの「静思果敢」の語を面白いと。
 O・Tさんは、刺激が強く、ハッピイエンドでなく、苦手である、きれいな恋愛ものが好き、と戦後生まれらしかった。M・Mさん(会の創始者)は、この小説が2度めだと指摘した。I・Yさんは、複雑な経路を、洞察しながら描く、と述べた。
 A・Tさんは、複雑な関係を読んで、母親として子育てを反省していた。司会として「皆さん(高齢なので)、小説の中で恋愛をしましょうね」と、きれいにまとめようとした。


 新型コロナウイルス、森友事件の告発のことなど話し合って、4月の課題図書、三浦しをん「ののはな通信」を各自受け取り、11時40分頃に散会した。




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