沖積舎「梅崎春生全集」第2巻(1984年・刊)より、9回目、了いの紹介をする。
 
同・(8)は、昨年8月8日の記事にアップした。
 今回、僕が読み了えたのは、「流年」、「偽卵」、「囚日」、「黄色い日日」の、4短編小説である。
 半年も前に読んだ短編小説を、よく覚えていない。この本も了いに近かったから、ブログの題材になるな、と思って残りを読んだだけである。
「流年」
 30歳を越した古書店主「椎野貫十郎」(従軍経験あり)が、ある飲み屋の娘「民子」に恋し、結婚する(すぐ子供も生まれる)話である。珍しいハッピーエンドで、嫌味がない。
「偽卵」
 知人の判決裁判の傍聴に来て、懲役8年の判決が降り、知人の恋人が「私」に擦り寄る気配を見せる所で終わる。
「囚日」
 「脳病院」を医師に案内される話と、知人の保釈申請の話が繋がる。この時期の梅崎春生は、神経症患者や犯罪者に関心があったようだ。
「黄色い日日」
 気弱い追い立てを食っている下宿人の「私」、大家の闘鶏家の「白木」、犯罪事件を起こした知人の「三元」、週刊誌記者の「中山」、等が絡んでいる。「中山」と主人公「彼」がM精神病院を案内される話が出て来る。
 いずれも1948年、1949年に初出の短編小説で、敗戦後の生きて行く事は出来るが、貧しく困窮した世相を描いている。
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写真ACより、「ファンタジー」のイラスト1枚。