風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

文学

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 先の9月29日の記事「贈られた2冊」で紹介した内、文学総誌「縄文」創刊号を読み了える。
概要
 2017年5月31日・刊。発行者「縄文の会」(代表)前川幸雄(号・華原)。B5判、2段組み、22ペ-ジ。
 寄稿者は、福井県内をおもに、全国より参加している。
感想
 <地域研究>「作曲家今川節と勝山とのつながりに迫る」M・惠子。
 しっかりした紹介である。しかし末尾近く「(文章は、平井英治氏の今川節作品鑑賞の手引きよりの抜粋引用です)」とあり、そうならば文頭でそう断るのが、読者への親切だろう。末尾に「実践報告の原稿にまとめたいと思っています。」とあるので、期待したい。
 <漢詩>「越前打刃物初打」Y・絹江。
 七言絶句である。訓み下し文、通釈文を付す。作者は、代表の漢詩講座受講生(福井カルチャーセンター)で、代表の目も通っているだろうから、韻、平仄は大丈夫だろう。刃物打ちの、モノクロ写真を添える。ビジュアル化の時代である。

 <詩>「奄美大島からの「タンカン」」前川幸雄。徹底したリアリズムの日常詩は、社会への抵抗詩となるだろう。
 <短歌>「老いを生きる」10首・I・コヨリ、「義母の思いで」8首・M・大次。「老いを生きる」にはぎこちなさがあり、「義母の思いで」には気負いがある。短歌の安楽と苦労を、知って行くだろう。
 <一般研究>「九州のカッパ」Y・信保(福岡)。文献渉猟も実地探査も多い、労作である。「カッパの手」と伝わるものなど、モノクロ写真を付す。
 <一般研究>「橘曙覧の短歌への白居易の作品の影響」前川幸雄。
 白居易の娘(幼くして亡くなった)を詠んだ詩・5編の原文、訓み下し文、通釈文を挙げる。橘曙覧の娘を亡くした時の2首(前詞付き)を挙げて、3つの類似性は、偶然の一致か、白居易の影響かは、見解の分かれるところとし、「皆様のご感想、ご意見をお伺いしたいと思います」と述べている。
 研究の基礎文献が整った事は、重要である。
 「縄文」誌の発展を願っている。


 

 このブログを読んでもらって、わかるだろうか、僕の読書のストライクゾーンはかなり広い。
 「ストライクゾーン」とは、あるサイトの「好き嫌いの『許容範囲』のことを、近年ではストライクゾーンと呼びます」の言葉が、適切である。
 文学の最短の俳句では、芭蕉、一茶、蕪村から虚子、現代俳句まで読んでいる。前衛的な俳句には、良さのわからない句もある。短歌では、「万葉集」から八代集、戦後短歌グループ、岡井隆、佐佐木幸綱、さらに塚本邦雄の1部、まで読んでおり、最近の新鋭歌人にも関心がある。
 詩では、古代ギリシャ詩(ホメロスは未だだが)、「詩経」(海音寺潮五郎の訳注で)、唐詩の一部、新体詩、朔太郎から戦後詩まで。戦後詩の「荒地」「櫂」グループくらいまではわかるが、僕が戦無詩と呼んでいるそれ以後はわかりにくい。
 小説も文庫本を主にして、たくさん読んできた。20年くらい前か、家の文庫本(既読)を売り払った際、ブック・オフは400冊を引き取ったが、引き取られなかった本も同数くらいあった。自然主義からプルースト(「失われた時を求めて」完読)の心理主義、マルケスのマジック・リアリズムまで。ただしシュールリアリズムは、小説と合わない。ボール判定の本もある。
 ストライクゾーンが広いという事は、ある意味、ブレるという事である。芯が通って、一本道を貫く事が好きな人には、好まれないだろう。あれも良い、これも良い、という傾向になる。落語で、饅頭を2つに割ってどちらが美味しいか、と問うた子供のように、どれも文学は美味しいのだ。
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母の日の妻のために、大輪カーネーション5本を買って飾った。


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