風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

文庫版

 青幻舎の文庫版「北斎漫画」(全3巻)より、第2巻「森羅万象」の第4章「天地造化」を見了える。
 同・第3章「波浪流水」は、今月4日の記事にアップした。

 
 「天地造化」は、27ページに渉り、自然に関わる現象を描いている。
 夕立の野原の道を歩む旅人(「下総〇〇の里 夕立」と題があるけれども、〇〇を読みとれない)から始まる。
 「出羽 秋田の蕗」や「雨」で降雨を描くが、雨は安藤広重が執着強かったようで、「江戸百景 大はしたあたけの夕立」の名品を残す。
 強風に惑う人々を描いて、目に見えない風をユーモラスに印象深く表す。
 「雪中」の雪の里山は、僕に親しい景だ。
 しまいに想像上の「須弥山」(しゅみせん。仏教で世界の中心に聳え立つという高山)の図で収める。
 見開き2ページで1景の、雄大な図が多い。

 このあと散文の第5章「北斎漫画を読む」が続くが、ここでは取り上げない。これで第2巻「森羅万象」のしまいである。
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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。


 青幻舎の文庫版「北斎漫画」(全3巻)より、第2巻「森羅万象」の第3章「波浪流水」を見了える。
 同・第2章「山川草木」は、先の9月27日の記事にアップした。リンクより、過去記事へ遡り得る。

 「波浪流水」の章は、43ページに渉る。大作「富嶽三十六景」の「神奈川沖浪裏」のように、北斎は形をたちまち変える「水」の表現に関心があったようだ。

 「渦巻水」「浅瀬」の見開き2ページ・上下段分け描きより始まり、「寄浪」「引浪」、「石川」「深川」も同じ趣向である。
 「阿波の鳴門」、各地の名のある岬、大小の船を浮かべる海、古式泳法、諏訪湖氷渡、各地の滝、「信濃 小野の滝」は見開き2ページで本を立てにして見る図に小さな旅人を添えた。
 最後は「伐木渓を下す」の図で、多くの大木の川流しを描いて勇ましい。
 北斎が見たことのない景色を含め、水と浪への執着を表した章である。

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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。


 青幻舎の文庫版「北斎漫画」全3巻より、第2巻「森羅万象」の第2章「山川草木」を見了える。
 同・第1章「鳥獣蟲魚」は、今月17日の記事にアップした。
 各巻の表紙には、vol.1、vol.2の表記があるが、本文では第一巻、第二巻となっており、本記事では第1巻、第2巻の表記を用いる。第1章、第2章の表記は、本文通りである。

 第2章は133ページに渉る。章題は「山川草木」となっているが、絵は草木が先に載る。栽培の草木や野菜、木の繁りぶりを描く。当時の江戸としては珍しかっただろう、蘇鉄、サボテン(団扇サボテンだけれども)などを収める。
 山川では、各地の山(富士山と思われる絵もある)、名の付いた奇岩、山間の民家、寺院、大きな橋、などを描いている。
 色使いが、黒、灰色、ベージュ(肌の色を兼ねる)と、3色のみなのが惜しい。
 コマわりの技法を使った連作があり、現代のマンガの源とされる1因である。
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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。


 青幻舎の文庫版「北斎漫画」(全3巻)より第2巻「森羅万象」に入る。
 同・第1巻「江戸百態」より(4)は、今月6日の記事にアップした。リンクより、関連過去記事へ遡り得る。

北斎漫画2
 写真は第2巻の表紙、たぶん想像上の、獏の絵である。
 第2巻全4章の内、第1章「鳥獣蟲魚」は、序「北斎先生に学ぶ」の後、109ページに渉る。
 青幻舎の文庫版では、原本をテーマ別に再構成しており、この章では鳥獣蟲魚のオンパレードである。
 擬人化した鼠から始まり、象(北斎は実際は視ていなかったのではないか)、エトピリカや駝鳥を含む鳥類、駱駝、ロバ、アザラシ、羊を含む獣類(アフリカのガゼルのような2角獣も描かれて、驚きである)、魚類では(魚ではないが)鯨、エイを含む多数の魚介類が、そして竜や人魚、河童まで現れる。絵を言葉で説明するのは愚で、何らかの形で北斎漫画に触れる方が良い。


 青幻舎の文庫版「北斎漫画」第1巻「江戸百態」より、第4章「百具百景」を見了える。
 同・第3章「動態活写」は、先の8月28日の記事にアップした。

 「百具百景」は、91ページに渉る。
 炊事用具、馬具、弓道・剣道用具を経て、銃砲に至る。当時の最強兵器として北斎は関心があったのだろう、双身の拳銃、火縄銃、用具、猟銃(仕掛け式を含む)、大砲など、12ページを割いている。
 織機、寺社、家屋、船(たらい船、帆船を含む)、パターン模様と続き、垣根らしいもので、第4章を仕舞っている。

 このあと、第5章にQ&A式の「北斎漫画を読む」と、コラム「北斎の画業を支えた江戸の出版文化」、会田誠へのインタビュー「超越する自我」があり、31ページに渉り有意義だけれども、ここでは省く。
 これで全3巻のうち第1巻、「江戸百態」を見了えたことになる。
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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。


 青幻舎の文庫版「北斎漫画」(全3巻)の第1巻「江戸百態」より、第3章「動態活写」を見了える。
 同・第2章「日常茶飯」は、今月20日の記事にアップした。
 青幻舎の文庫版は、全およそ4,000カットを再構成した本である。

 第3章「動態活写」は、53ページに渉る。弓を射る武士、馬を駆る人物、銃を射る武士、半裸での遊び芸、相撲取り(執着したらしく、カット数が多い)などを描いている。相撲取りでは、横綱・谷風、野見宿祢・当麻蹴速の対戦まで挙げられている。
 そのあと、棒術に関心を寄せたらしく、約80カットを載せる。庶民の武術でもあったのだろう。
 しまいは、竹刀で対戦の武士で仕上げた。

 動きを入れると、第1章「人物絵鑑」と違って、デフォルメが多いようだ。
 これらの版画が、明治初期、陶器の輸出の詰め物として使用されたことは惜しい。
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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。


「北斎漫画」Ⅰ-Ⅰ
 青幻舎の文庫版「北斎漫画」全3巻より、第1巻「江戸百態」の第2章「日常茶飯」を見了える。
 同・第1章「人物絵鑑」は、今月1日の記事にアップした。
 第1巻は、「人物絵鑑」「日常茶飯」「動態活写」「百具百景」の4章より成る。

 「日常茶飯」は、文庫で91ページである。
 おもに庶民の姿を描いている。草紙の挿し絵程度なので、典型化しているが、あまりデフォルメされていない。
 「人物絵鑑」に比べて、1カットが大きく(見開き2ページで1カットもある)、題字も多く入っている。題字は当時の漢字、変体仮名なので、わかりにくい。漢字にはルビが振ってある。
 売れ行きは良かったらしいが、北斎の真髄は何度も書くが、「富嶽三十六景」などの浮世絵にある。



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