土曜美術社・日本現代詩文庫27「関根弘詩集」(1990年・刊)より、詩集「街」の抄出版を読み了える。
 今月3日の記事、同・「泪橋」を読む、に次ぐ。
概要
 原著は、1984年、土曜美術社・刊。64歳。
 前年に腹部動脈瘤破裂の大病を患っており(冒頭の詩「病院」で表された)、その時の幻覚聴覚による自殺未遂を経て、体力的に衰えたのではなかろうか。
 後に人工透析を受け、1994年に亡くなっている。
感想

 「劇場」では、「マンションの中の劇場は/いぜんとして貧困と根の切れない/新劇の体質を証明している」と同情するようで、戦前の築地小劇場を懐かしむ。
 「大衆酒場」や「ホテル」では、お酒を好んだ性格が出ている。
 「学校」では「学校そのものが凶器だ」としながら、「復讐するつもりはなかったが/H大の臨時講師になって/詩を講義したとき/学年末にレポートの等級を査定した」と、学歴コンプレックスを晴らした。
 「警察」や「公園」では、変容する時代や社会の、回想に感慨があるようだ。
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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。