風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

新鋭短歌シリーズ

 これまで記事にアップしなかったけれど、寺井奈緒美・歌集「アーのようなカー」Kindle Unlimited版をタブレットにダウンロードしており、先日に読み了えた。
寺井奈緒美「アーのようなカー」
 書肆侃侃房・新鋭短歌シリーズ46。同シリーズとして、先の8月3日の記事、二三川練・歌集「惑星ジンタ」に次ぐ。

 単行本:2019年4月11日・刊。価格:1,836円。
 Kindle版:2019年8月2日・刊。価格:1,600円。
 掲載首数、不明。東直子・解説「「そこにいた時間」の新しい豊かさ」、著者・あとがきを付す。

 優しさを施したい、求めたい心情がある。言葉の斡旋がうまく、レトリックが上手になって、人生の真実味が深まらないようだ。
 あとがきに「色を失っていたのは街ではなく自分自身だったのだと、ようやく気がついた。」とある。人生の暗部も見つめつつ、歌に拠って、危うい時代を生きて行ってほしい。

 以下に7首を引く。

舌打ちの音でマッチの火が灯るようなやさしい手品がしたい
フジツボのように背中を張り付かせ駅の柱はやさしい岩場
コピーアンドペーストのため囲われた文字に地下への隠し通路を
追い炊きのボタンを君に埋め込んで一年経つが未だ押せずに
戦前を生きるぼくらは目の前にボタンがあれば押してしまうね
街をいく人たちみんな大根を持っているけど何かの予兆
再生をされてトイレットペーパーになったら隣り合わせましょうね


二三川練 惑星ジンタ
 先の7月23日の記事、歌集2冊をダウンロードで報せた内、二三川練「惑星ジンタ」を読み了える。
 書肆侃侃房の新鋭短歌シリーズ(Kindle Unlimited版)として、7月25日の記事、惟任將彦・歌集「灰色の図書館」に次ぐ。
概要
 ダウンロードのリンクに、諸版の発行年次、価格を示したので、ご参照ください。
 294首、東直子・解説「日常と幻のゆらぎ」、著者・あとがきを収める。
 二三川練(ふみがわ・れん)は、当時、日本大学大学院博士後期課程・在籍。寺山修司の短歌と俳句を、研究対象とする。
感想

 歌人の性別が、最後までわからなかった。「あとがき」の中でも「僕」と自称するので、男性である。作品中で「僕」を自称する女性はいるだろう。
 初めは具体的で、読みやすいかな、と思った。
 しかし同棲の事情など、公にできない事柄が増えたのか、抽象的な、あるいはシュールな詠みぶりとなる。
 惑星の7つを詠んだ連作は、題詠が苦手なのか、無理をして俗である。
 批判を書いているようだが、現代の心理の捉え方など、美点は多いので、それはご了解願う。
引用
 以下に7首を引く。
めがさめてあなたがいない浴室にあなたが洗う音がしている
傘いらないくらいの雨で傘をさす怒りたいけど怒られたくない
積み上げた日々より薄い枚数の夏のレポートつき返される
細胞の生きたがること厭わしく隣家はすでに蔦となりたり
知っていた未来ばかりが訪れてたとえば黄身が二つの卵
いつまでも引きずりそうなミスをして真夏の屋外プール 冷たい
加工する前の写真を消してゆく指は銀河のようになめらか





 最近、紙の本を買う・読むことが多い。AmazonのKindle Unlimited会員としては、会費も払っているので、Unlimited本をタブレットにダウンロードした。
 書肆侃侃房の「新鋭短歌シリーズ」の2冊である。このシリーズは刊行を終了し、Unlimited本で未読の残りは少ないようである。
 このシリーズは、先の6月17日の記事、五十子尚夏・歌集「The Moon Also Rises」以来である。

惟任将彦「灰色図書館」
 惟任将彦(将は正字)・歌集「灰色の図書館」。
 単行本:2018年8月7日・刊。価格・1,836円
 Kindle版:2018年12月26日・刊。価格・1,600円。

二三川練 惑星ジンタ
 二三川練・歌集「惑星ジンタ」。
 単行本:2018年12月10日・刊。価格・1,836円。
 Kindle版:発行日・不明。価格・1,600円。

 共に読み了えて、ここで紹介したい。


五十子尚夏 The Moon Also Rises
 五十子尚夏・歌集「The Moon Also Rises」kindle unlimited版を、タブレットで読み了える。
 同じ新鋭短歌シリーズの歌集として、今月6日の記事にアップした、虫武一俊・歌集「羽虫群」kindle unlimited版を読むに次ぐ。
概要
 書肆侃侃房の新鋭短歌シリーズの1冊。
 単行本:2018年12月10日・刊。価格:1,836円。
 kindle版:2018年12月27日・刊。価格:800円。
 kindle unlimited版は、追加金:無料。
 五十子尚夏(いかご・なおか)は、男性、1989年・生まれ、2015年・歌を始めた。
 この歌集には、324首、掌編小説1編、加藤治郎・解説「世界は踊る」、著者・あとがきを収める
感想
 「滅びゆくものへの美意識」(あとがき・から)より詠んで、華美なレトリックから、フィクションへ至る。
 美術、音楽に関わる歌が多い。外国旅行の地名も多い。
 人名、地名の固有名詞がたくさん出て来て、僕にはほとんど判らないが、ネット検索で一々調べる気になれない。電子書籍の機能の多くを欠いているので、その場での辞書・Wikipediaでの検索ができない。
 それでも僕がしまいまで読んだのは、青年の孤立した美意識と、その危うさに惹かれたのだろう。
引用
 以下に7首を引く。
一抹の不安重ねてゆくだけのmake loveへと誘うフロイト
信じられるものひとつとひきかえに防犯カメラに映す口づけ
夏青く照りてあなたが打つサーブ・アンド・ボレーの美しき日よ
九回の裏に斜線を引くような舌っ足らずの初恋でした
タクシーの後部座席で泣いていたあなたの嘘を見破れないで
クレーターのようなえくぼの深淵に不時着地点を見定めている
女流棋士が十二手先に人知れず美(は)しき正座を崩す火曜日



 
 
 
 

虫武一俊・羽虫群
 虫武一俊・歌集「羽虫群」kindle unlimited版を読み了える。
 Amazonよりタブレットへのダウンロードは、先の5月13日の記事、入手した6冊(2)にアップした。
 同じ新鋭短歌シリーズの読書は、先の5月10日の記事、小野田光・歌集「蝶は地下鉄をぬけて」に次ぐ。
概要
 書肆侃侃房の「新鋭短歌シリーズ」の1冊。
 単行本:2016年6月12日・刊。価格:1,836円。
 kindle版:発行日・不明。価格:800円。
 kindle unlimited版は、追加金・無料。
 虫武一俊は、1981年・生。龍谷大学・卒業。
 歌集「羽虫群」には、308首、石川美南・解説「だんだん楽しくなるいきどまり」、著者・あとがきを収める。
感想

 レトリック(修辞)が上手すぎて、衝撃的な事を詠んでも、真実のインパクトが弱い。
 会話体の多用がある。呼び掛けたい思いが強いのだろう。
 「三十歳職歴なしと告げたとき面接官のはるかな吐息」と詠みながら、短歌の力の故だろう、短歌の会で批評し、職にも就け、恋も得たようだ。
 啄木に繋がる、生活的弱者の系譜の歌人だっただろうか。短歌の救いを宣してまわっている僕には、好ましい例である。
引用

 以下に7首を引く。
少しずつ月を喰らって逃げている獣のように生きるしかない
死にたいと思う理由がまたひとつ増えて四月のこの花ざかり
「負けたくはないやろ」と言うひとばかりいて負けたさをうまく言えない
謝ればどうしたのって顔ばかりされておれしか憶えていない
秋というあられもなさにわたくしを見下ろす女ともだちふたり
駅前の冬が貧しい できなさとしたくなさとを一緒にされて
逃げてきただけだったのににこにことされて旅って答えてしまう




狩野派 美の系譜

 最近に入手した、kindle unlimited本5冊と、単行本1冊を紹介する。
 昨年4月23日の記事、入手した6冊に次ぐ。
 まず「狩野派 美の系譜 2冊セット」。kindle unlimited版。
 狩野派の絵には興味がある。ただ今、試しに図版をタブレットで観てみると、やや小さく、拡大するとはみ出したりするようである。のちの図版はわからない。

虫武一俊・羽虫群
 書肆侃侃房「新鋭短歌シリーズ」より、虫武一俊・歌集「羽虫群」。
 新鋭短歌シリーズも最終巻が発行された。特別な本は除いて、シリーズをすべて読もうと思って。たいていの歌集なら読めそうな気がする。
 単行本:2016年6月12日・刊。1,836円。
 kindle版:発行日・不明。800円。

五十子尚夏 The Moon Also Rises
 新鋭短歌シリーズより、五十子尚夏(いかご・なおか)歌集「The Moon Also Rises」。ヘミングウェイ「日はまた昇る」をもじった題名か。
 単行本:2018年12月10日・刊。1,836円。
 kindle版:2018年12月27日・刊。800円。

メルカリ初心者のための入門書
 「メルカリ初心者のための入門書」。
 メルカリで少々売買しているが、ガイド本を持たなかったので。ただし衣類など、大きなものの発送方法は載っていないようだ。

田口和裕 インスタグラム 基本&活用ワザ
 「インスタグラム基本&活用ワザ」。
 インスタグラムを始めたので、ガイド本に。ただしパソコンからの投稿法など、載っていないようだ。
 YahooやGoogleで検索した方が、はるかに多くの情報が載っている。

メルカリ・他・ガイド本
 これは単行本を買った。2019年3月、インプレス社・刊。1,480円+税。
 家族内だけでLINEを始めたりしたので。
 高度な技は載っていないようだ。Twitterで記事コードを取得して、他ページへ埋め込む方法など。
 結局、ネット検索に、最新情報が載っていて、無料で取得できるようだ。



小野田光 蝶は地下鉄を抜けて
 小野田光・歌集「蝶は地下鉄をぬけて」kindle unlimited版を、タブレットで読み了える。
 書肆侃侃房の新鋭短歌シリーズ(kindle unlimited版)の読書として、先の4月15日の記事にアップした、九螺ささら「ゆめのほとり鳥」以来である。
 この歌集を含む、4冊のダウンロードは、先の3月15日の記事で報せた。
概要
 紙本版:2018年12月10日・刊。1,836円。
 kindle版:2018年12月27日・刊。800円。
 小野田光(おのだ・ひかる)は、1974年・生まれ、「かばん」会員。
 この歌集には、325首、東直子・解説「誰のものでもない、わくわく感」、著者・あとがきを収める。
感想

 若い人の短歌に慣れているつもりだが、前衛的過ぎる作品はわかりにくい。例えば「繁栄の淵の旋律くずれてもオーケストラをひやす月光」など。
 恋の歌に素直で優れた作品がある。
 野球好き、アイス・ホッケー好きで、選手に成り代わって詠んだ歌がある。
 激務の果て、精神科に通い、休職してしまう。素直な短歌を詠んでいたなら、そこまで進まずに救われていただろうか。
引用
 以下に7首を引く。
あけがたの君のかすかな寝息うけ虹の萌芽に疼くてのひら
ひき際が綺麗でしたね花束はどこかで燃えて香りを放つ
彼は背が高くて眼鏡をかけていてイルカの置き物ばかり集めた
なかなかにたのしい記憶でしたのでふともも裏に貼っておきます
感情の作り置きってできないと言いあいながら持つレジ袋
将来を話しあわずに配球を読みあいながら野球観戦
喉奥は生ぬるい沼 この夏の解をもたない人と歩めば




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