風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 このブログを運営している新サスケ(ハンドル名)が、この10月17日付けで、AmazonのKindle本、第4詩集「詩集 日々のソネット」(縦書き)を発行しました。著者名は、柴田哲夫(僕のペンネームの1つ)です。
 再任用・リタイア前後の、庶民の日々の悲喜哀歓を綴った4章48編と、巻末に哲学風小連作・2章7編を収めます。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリーで、「柴田哲夫 詩集 日々のソネット」と入力して検索してくだされば、即で見つけられます。
 また、ブログの右サイドバーの上部、アクセスカウンターの下に、Amazonアソシエイトのリンク画像「あなたへ詩集をAmazonで」を貼りましたので、画像をクリックしてくだされば、購入サイトへ飛びます。
 kindle版で540円(税込み)、kindle unlimited版も発行しています。よろしくご購入をお願い致します。

旧家

 角川書店「生方たつゑ全歌集」(1987年・再版)より、歌集「風化暦」を読み了える。
 先行する歌集
「紋章の詩」は、先の5月30日の記事にアップした。
 歌集「風化暦」は、1974年、新星書房・刊。
 歌集を読んでいて、心境的には、夫の病気と老いの自覚、嫁した旧家の国への引き渡し等、有り得るもので、一人娘の婿・生方慶三の癌に由る死の他、突出した所はない。
 しかし歌境の進化から見ると、自然詠や写生を遠く離れて、産業社会の苛酷さを、新しいレトリックを以って切り開いて詠んで来たと言える。
 歌集の末尾の章に、婿・生方慶三の死を詠んだ「嘘」があるが、本格的な挽歌は次の歌集「灯よ海に」の連作「鎮魂譜」を待たねばならない。
 以下に「風化暦」より、7首を引く。
ひりひりと火傷ひきつる思ひあり家明け渡す嘆きは言ふな
予祝するシラブルはなし仮住みの庭にくるみの実ごもる日にも
家渡すことかなしむなと言ひ切りて荒涼となることも切なし
さゐさゐと灯油注がれゐるかたへ紊(みだ)れつつくる冬の霰は
曖昧なる眼もてざる犬とゐるこのてのひらを舐めさせながら
爪がたの美しかりし姉うへも今は骨壺のなかにしづまる
空きてゐるベッドの上に帷子(かたびら)を裁つとき雪のふる悲鳴あり
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写真ACより、「お花屋さん」のイラスト1枚。



 角川書店「生方たつゑ全歌集」(1987年・再版)より、歌集「紋章の詩」を読み了える。
 先行する歌集
「花鈿」は、今月24日の記事にアップした。
 歌集「紋章の詩(うた)」は、1972年、短歌研究社・刊。
 群馬県沼田市に残された、築380年以上の旧家が、国指定重要文化財となり、移築を待つ時に、旧家を継いだ苦しみを救済するべく詠じられている。
 また栃木県・那須への旅、群馬県・谷川岳への川端康成に従っての旅と共に、ハワイ、イギリス・スコットランドへの旅の、旅行詠の大作がある。
 ただしプロ歌人にして、旅行詠は難物のようだ。
 この歌集でも、抽象語や比喩を多く用いて、詠まれている。
 以下に7首を引く。
意地張りて生ききし傷の疼く日よもろき私にふれてくれるな
支へかたき家の重味か病みがちに老いゆく夫のかたへにをれば
くれなゐの椿が冬も咲くみちか嘘のやうなるわたくしの冬
紋章の拓本をとる墨選ぶ家の終末になしうるひとつ
腐蝕せぬものらはむしろ淋しきか古りてかけらとなりし陶片
心絞りくるものもなし熔火帯ゆきて刺青(しせい)のごとき羊歯群(ハワイ)
夏すでに草枯れてゐる丘多しトマトつぶれしごとき日没(スコットランド)
 (注:引用の中に、正字を新字に替えた所があります)。
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写真ACより、フラワーアレンジメントの1枚。


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