風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

本歌取り

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 綜合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2017年6月号を、ざっと読み了える。本の到着は、今月15日の記事にアップした。
 特集の「現代版、本歌取り」では、先行作から語句を借りて来るのではなく、以前の別の作を連想させ重ねながら読ませる作でなければ、という点が強調される。歌集は読んでいても、ほとんど暗誦できない僕にはお手上げである。10氏の「本歌取りに挑戦」競作は読み応えがあった。
 小谷奈央「沼杉」20首より。
やったことひとつずつ消しやらなかったことはリストにそのままのこる
 to do リストか何かだろうか。便利さのために用いるアプリなどが、後ろめたさをもたらす現代の逆説を描く。
 さいとうなおこ「寒い」12首より。
考えも顔も異なる妹とおもうがフルーツポンチをたのむ
 似ている点と似ない点を挙げる妹に、違和感を持ちつつ、指摘するでなくスルーしてしまう冷静さが描かれる。
 新連載「小島ゆかり・正木ゆう子の往復書簡」第1回は、俳人・正木ゆう子の書簡であり、中身も熊本地震に関わる「熊本日日新聞」への投句が多く語られて、今1つ身が入らなかった。
 高野公彦インタビュー特別編「20の質問」では、「日課」「座右の銘」「よく見る夢」等の問いに答えている。身近に感じられ、本編と共に貴重な資料となるだろう。




 結社歌誌「コスモス」10月号の、「月集」を読みおえる。
 「月集」と1まとめに僕が呼ぶのは、「今月の4人」、「月集スバル」、「月集シリウス 特別作品」、「月集シリウス」の4欄の事である。
 「月集」の短歌の豊かさは、資質・努力と共に、地位もあっての事だろう。
 付箋を貼ったのは、次の1首。小島ゆかりさんの5首より。
われはもや初孫得たり人みなにありがちなれど初孫得たり
 もちろん、藤原鎌足の「安見児得たり」の本歌取りである。
 小島ゆかりさんにして、孫の生れた喜びを、詠わずに居られなかった。
コスモス2
「フリー素材タウン」より、コスモスの1枚。

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