風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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村上春樹

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 村上春樹のオリンピック・レポート「シドニー! 2 ワラビー熱血篇」を読み了える。
 
同「1 コアラ純情篇」は、今月19日の記事にアップした。
概要
 文春文庫、2016年・5刷。価格:550円(税込み)。全額、電子辞書を買った時の、楽天ポイントで支払った。ポイントで辞書ケースを買う予定だったが、Amazonで廉価で出ていたので、そちらで買い、楽天ポイントは本を買う時に使う事にした。
 3月18日・注文、3月21日・着(ゆうパケットにて)。これらの事は忘れていたが、楽天の「購入履歴」より辿り得る。サービスの良い時代である。
感想
 彼はセレモニー嫌いらしく、「1 コアラ純情篇」でも、開会式の選手入場行進の途中で退席している。
 閉会式の取材では、「仕事じゃなかったらさっさと席を立って帰っちゃうんだけど、せっかく文藝春秋が僕のために貴重な取材チケットを手に入れてくれたんだし、…」と不満を述べる。
 各競技では、その面白い点を見つけて、優勝どうこう以外のレポートをしている。女子400メートルの競走でオーストラリア・アポリジニーの選手が優勝した時、オーストラリア内の「和解」のしるしを読み取り、「シドニー・オリンピックはオーストラリアという国の精神史にとって、やはりマイルストーン的な意味を持つことになるのかもしれない。」とまで書く。
 シドニーを去る記事で「オリンピックはとても退屈だった。」と書きながら、退屈を通して感銘(のようなもの)あたりが、現実よりのまっとうな精神の高みではないか(省略あり)、と述べる。
 巻末に前篇の巻頭で触れた、マラソンの犬伏選手と河野監督へのインタビュー、有森裕子選手へのインタビュー、それにあとがき、文庫版のための短いあとがき、で締め括っている。


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 3月15日の記事「メルカリより、2冊を買う」で紹介した2冊の内、後の村上春樹「シドニー! 1 コアラ純情篇」を読み了える。
 先のエッセイ集、同
「おおきなかぶ、むずかしいアボカド」は、3月16日の記事にアップした。
概要
 2004年7月、文春文庫・刊。同「2 ワラビー熱血篇」と2分冊になっている。
 有森裕子のマラソンを掌編小説風に描いた「1996年7月28日 アトランタ」と、男子マラソンのシドニー代表選手・犬伏孝行の調整ぶりを取材したドキュメント「2000年6月18日 広島 オリンピック開会式まであと89日」の、2編を枕に、「シドニー日誌」(2000年9月11日~)に入ってゆく。
感想
 村上春樹は、オリンピックが嫌いだと書いていたので、その観戦記もどうかなあ、と思っていた。
 しかし現地に着くと、水族館、動物園等の直接には関わりない場所にも行きながら、競技を熱心に観戦している。
 日本贔屓も現れている。
 勝敗よりも過程の心理、勝敗後の心理、などに迫っている。
 テレビ観戦では捉えられない所を、よく描いている。
 「シドニー! 2 ワラビー熱血篇」文春文庫の新本を、楽天でポイントを使って、注文した。その事情については、また本が届いてから書く予定である。



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 昨日の記事で到着を報せた2冊の内、村上春樹のエッセイ集「おおきなかぶ、むずかしいアボカド」を読み了える。
 2011年7月7日、マガジンハウス・刊。
 女性週刊誌「あんあん」に連載されたエッセイとイラスト(大橋歩・筆)、「村上ラヂオ 2」に加筆修正した本である。
 村上春樹の本の記事は、昨年4月15日の
「パン屋襲撃」以来である(その記事から、長編小説「騎士団長殺し」の感想へ移れる)。
 連載誌のせいか、読者に話しかける文体で書かれている。「あざらしのくちづけ」の末尾、「でも臭いですよ、ほんとに、冗談抜きで。」のように。
 1つには自信があるのだろう。自分の書く文章は、多くの読者に歓迎されるという。それは彼の本の発行部数で知れる。
 彼にはユニークな所がある。生活でも、結婚→開業→大学卒業という、普通の逆のコースを進んだ。演劇科・卒である事が、文章を劇化しているのだろう。
 彼が何度も書いているエピソードだが、野球場スタンドで「僕にも小説が書けるだろう」という、インスピレーションが降って来なかったらば、世界は「クレオパトラの鼻」ではないが、かなり違っていただろう。


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 半月ほど前に、メルカリのカウルに参加し、3冊を売り、初心者ポイントなども入ったので、ポイントで2冊を買った。
 紙の本を買うのは、調べてみると、綜合歌誌、結社歌誌を除いて、昨年12月22日の
「届いた2冊」以来だった。
 メルカリ(カウル)は、ネット上のフリーマーケットで、カウル(本、CD、DVD限定)は、カメラでバーコードを読み取って、出品できる。
 まず1冊目は、村上春樹のエッセイ集「おおきなかぶ、むずかしいアボカド」。2011年、マガジンハウス・刊。
 村上春樹の小説は新刊で買うようにしているが、それ以外のジャンルではCP的に手の出ない本がある。古本が安く、郵送されるなら、このエッセイ集にも手が出る。

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 これも村上春樹のノンフィクションで、シドニーオリンピックの記録「シドニー! 1 コアラ純情篇」。
 2004年、文春文庫・版。これもCP的にためらっていた本。
 今、エッセイ集を読み了え、オリンピック観戦記を読んでいる。村上春樹の良さなのか、紙の本の良さなのか、ずいぶん読み進めやすい。
 「2 ワラビー熱血篇」を、読みたくなった。



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 村上春樹の短編小説2編を収めた、新潮社「パン屋を襲う」を読み了える。
 本の到着は、今月11日の記事、
「届いた3冊」で報せた。
 直近で読んだ村上春樹の小説は、先の3月5日の記事にアップした
「騎士団長殺し 第2部」である。
 「パン屋を襲う」(2013年・刊)には、1989年「早稲田文学」に発表した「パン屋襲撃」を改稿した「パン屋を襲う」と、1985年「マリ・クレール」に発表した「パン屋再襲撃」を改稿した「再びパン屋を襲う」の2編を、カット・メンシックのイラストを添えて収める。
 「パン屋再襲撃」は文庫本が手許にあるかと思ったが、捜すと無かった。
 「パン屋を襲う」では、腹を空かせた「我々」が包丁を持って、パン屋に出掛けるが、パン屋の主人が好きなワグナーを聴くならパンは好きなだけ食べさせる、と提案して「僕」と「相棒」は従う。
 「再びパン屋を襲う」では、結婚してしばらくの「僕」が妻に、「パン屋を襲う」の話を語り、ひどい空腹はパン屋の呪いだから再びパン屋を襲うべきだと妻が主張し、二人は散弾銃を持ってマクドナルドを襲う。
 ここで語られているのは、ヘルベルト・マルクーゼが1965年の論文で書いた、「抑圧的寛容」(1960年代末には流行語となったと記憶する。僕はその本を読んでいない)に屈してはいけない、という生活者の感覚だろう。
 支配者たちの自らのための寛容に、屈してはいけない、あくまで反するべきだ、というような。
 読んでいたと思っていた、「再びパン屋を襲う」の方が、新鮮だった。


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 最近に届いた3冊を紹介する。
 まず「福井県ふるさと文学館(福井県立図書館・内)」より、詩誌「群青」宛てに、ふくい風花(かざはな)随筆文学賞二十周年記念誌「風花」。
 2期目という事で、第11回~第20回の、最優秀作品(一般の部、高校生の部)や、審査委員長・津村節子氏(作家)の評などを収める。
 詩誌「群青」はかつて、僕が編集役をしていたが、既に終刊している。

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 「水脈の会」より、詩誌「水脈 59号」を送られた。堅実な発行を続けている。
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 村上春樹の名作改稿「パン屋を襲う」(新潮社、2013年・刊)。
 あるブロガーさんとコメントの遣り取りをしていて、「パン屋再襲撃」に先行する「パン屋襲撃」は実在する、という話になった。
 Amazonのマーケットプレイスで、改稿・版が高くなかったので、すぐ注文した。
 上2冊は、拙い感想を付して、このブログで取り上げたい。


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 村上春樹「騎士団長殺し 第2部 遷ろうメタファー編」を読み終える。
 
「第1部 顕れるイデア編」は、今月2日の記事にアップした。
 主人公「私」が、試練(イデア「騎士団長」を殺し、洞窟から狭い穴を抜け通って)を経て、友人・免色の娘かも知れない秋川まりえの試練を、心の共振的に助け、二人とも元の生活場所に戻る。
 場面の中で、「優れたメタファー」を褒めているが、「二重メタファー」は悪者扱いされる。
 「私」は、別れ話を切り出した妻・ユズとやり直しの生活を始め、「私」が夢の中で妊娠させたと信じる娘と共に生活する。肖像画家から、芸術的な絵を描くようになっていたのに、生活のため肖像画家に戻ってしまうストーリーは残念である。
 あるブログで、この小説を「成熟した『ねじまき鳥クロニクル』」と評していた。試練の物語として、「ねじまき鳥クロニクル」の若さがない。「1Q84」のスリルがない。
 ただし男が大人になるための大きな試練を、幻想をまじえて描いている。


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