風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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橘曙覧

 kindle版「橘曙覧全歌集」を読み進んで、補遺「福寿艸」(←リンク記事あり)まで読みおえた。
 それに続く、万葉仮名の歌集と長歌集は、僕の力では読み解けないので、スルーした。
 これで全歌集編は過ぎたのだが、「附録」として、正岡子規「曙覧の歌」と、折口信夫「橘曙覧評伝」が付されているので、今回は子規「曙覧の歌」の論を読んだ。
 日本新聞社の「日本」に、1989年3月22日~4月23日まで、9回に分けて載せられた文章である。
 子規は、橘曙覧の貧しいながら、えせ文人のように金銭を汚いかに扱わず、書・歌の代を入手して喜ぶ等、生活をそのまま詠んだ事、国学に熱心であった事などを、弱点も挙げながら、とても誉めている。
 「万葉集」・実朝に及ばないながら、それ以後ただ一人の歌人だとまで賞揚した。
 この論によって、橘曙覧の歌が広まったようだ。
コスモス5
 「フリー素材タウン」より、コスモスの1枚。

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 kindle本「橘曙全歌集」より、補遺「福寿艸」を、タブレットで読みおえる。
 今月20日の
記事(←リンクしてあり)、同・「白蛇艸」に継ぐ。
 「福寿艸」は、曙覧没後、子息が歌集を作った際、草稿等より拾遺した集である。
 曙覧(1812年~1868年、享年57歳)は、富裕な商家に生まれながら、2歳で母と、15歳で父と死別、若くして家督を弟に譲り隠遁した。
 国学の徒として、明治政府直前に亡くなった。
 彼の歌は、正岡子規の激賞により有名になった。
 第2次大戦中に戦意高揚に利用され、敗戦後に忘れられかけた。
 アメリカのクリントン大統領が、昭和天皇夫妻を招いての晩餐会のスピーチで、曙覧の「独楽吟」より1首を引用して、再び脚光を浴びた。地元でも熱意ある人たちによって、「橘曙覧記念館」が建てられ、「平成独楽吟」の募集の催しが今も続いている。

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 kindle本「橘曙覧全歌集」より、第5集「白蛇艸(しろへみぐさ)」を、タブレットで読みおえる。
 このkindle版・全歌集の優れている点の1つは、詞書(ことばがき)をすべて載せている事である。
 幾冊かの全歌評釈書が出版されているが、煩瑣と見るのか、詞書を省略しているようである。
 橘曙覧(1812年~1868年)が、貧しいながら、他人の所蔵する絵画を欲しがって、手づるを使って入手し、とても喜ぶ歌(例えば以下の4首め)など、ユーモラスな面がある。
 以下に5首を引く。
破れたる硯いだきて窓囲む竹看る心誰にかたらむ
真名鶴の立つる一声鳴(なき)やみて後(のち)も響をのこす大空
うちわたす野山の広さゆく水のながさ目にあく時なかるべし
痩肩をそびやかしてもほこるかな雲ゐる山を手に入れつとて
更科やをばすて山にまさる月なぐさめたりき夜はのねざめを
柿3
フリー素材サイト「Pixabay」より、柿の一枚。
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 kindle本「橘曙覧全歌集」を読み継いで、第4集「君来艸(きみきぐさ)」を読みおえる。
 橘曙覧(たちばなのあけみ)は、有名な連作「独楽吟」に惹かれて、貧窮生活を平明に読んだ歌人と思われがちである。
 しかし以下に引く4首めや、連作「赤心報国」7首など、国学者の面も強い。
 また藩主よりの召し抱えの要請を、撥ね付ける程の一途さもある。
 以下に5首を引く。
人あまた来入りつどひて夜昼と千代よろづ代ににぎははむ家
秋のきくおのづからなる花は見でうるさく人の作りなす哉
戸をあけて還る人々雪しろくたまれりといひわびわびぞ行(ゆく)
神国(かみぐに)の神のをしへを千よろづの国にほどこせ神の国人(くにびと)
まのあたりたよりよげなる事がらも後(のち)に到りてさあらぬが多し
栗4
フリー素材サイト「Pixabay」より、栗の一枚。

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