風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

歌集

 結社歌誌「覇王樹」2019年11月号を、ほぼ読み了える。
 到着は、今月2日の記事、同号が届く、にアップした。記事には、同10月号の感想、結社のホームページ、同号の僕の歌・他、3つへリンクを貼ってあるので、ご覧ください。


覇王樹・11月号
 通常の短歌の外に、様々な欄がある。覇王樹歌人の歌碑(35)島袋俊一の歌碑(2ページ、モノクロ写真1枚入り)、W・茂子さんの落とし文考(59)、S・素子さんの後水尾院時代の和歌61、共に1ページが息が長い。
 題詠と共に受贈歌誌抄(3誌、5首ずつ)で1ページ、私の選んだ十首で3名1ページ、受贈歌集・歌書紹介を6冊で2ページ等がある。
 総合歌誌に掲載されたK・憲仁さんの7首が転載される。会員の歌集の紹介もされる。
 総じて、内外に手厚い。


 以下に2首を引いて寸評を付す。
 K・啓子さんの「花と旧盆」6首より。
迎え盆八分の道きつくなり今年はとうとう墓まで行けず
 老いの衰えを詠んで正直である。
 M・理加さんの「ひこうき雲」6首より。
目覚めればまた二番目の身体がそこらへんで号泣しており
 「覇王樹」内の前衛派だろうか。1首はシュールである。




 

 10月29日(第5火曜日)の午前9時半、メンバー3人が喫茶店に集まって、短歌研究会B第37回を持った。僕は寝過ごす事を恐れて、8時半のモーニング・コールをMさんに依頼していたが、前夜に早寝して7時半に目覚めた。

 9月には1回飛ばしているので、同・36回は8月31日の記事にアップした。

 

 僕が喫茶店で着席すると、すぐTさんとMさんが現れた。僕とMさんがブレンド・コーヒーのモーニング・セット、Tさんがアメリカン・コーヒーを注文した。
 歌誌の貸し借り・返却、本の贈呈などの後、短歌研究会Bに入る。同・Bは、岩波文庫「宮柊二歌集」(宮英子・高野公彦・編)の読み込みである。
 今回は180ページ、歌集「藤棚の下の小室」(1972年・刊)より、1964年の「雑詠」の節より入る。

「雑詠」の節
 1首めの下句「松葉牡丹の色こぞり咲く」で、4句の1語、結句の3語の、緩急を僕が指摘する。
 2首めの中句・4句「抜歯後(ばつしご)の身の衰へを」について、抜歯でそんなに衰えるだろうか、とTさんが疑問を呈した。夏の歌なので、暑さによる衰えがあるのだろう、と僕は答えた。
 6首め「過ぎゆきしかなしみごとを木(こ)の実拾ふ思ひに似つつ偲ぶときある」。Tさんは、「木の実を拾う時は楽しいのだが。」と言う。偲ぶ時にも、1種の自足感はあったのだろう、と僕は答えた。
「藤棚の下の小室」の章

 まず「小室」を「しょうしつ」と訓む事を確認する。
 1首めの下句「いたく疲れあり犬遠く鳴く」で、結句の付け方が好ましい、とMさんが述べた。
 2首めの中句「ころほひゆ」は、「ころおい」+「ゆ」(「~より」の意味の古語)である。
 9首めの上句「くれなゐに山茶花咲けば十二月」の「~に~ば~月」の詠みぶりに、TさんとMさんが感嘆していた。
 他にも多く語ったが、ここに書ききれない。
 182ページで、実質2ページだが今回の研究を了えた。次回の日程を決め、10時半過ぎに散会した。
0-80
写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。



 先の9月29日の記事、入手した5冊(4)で紹介した内、渡辺茂子・歌集「湖と青花」を読み了える。
 読み了えた単行本歌集として、9月21日の記事、大野英子・歌集「甘藍の扉」を読むに次ぐ。
 共に贈呈を受けた本である。

a・湖と青花
 渡辺茂子さんは短歌結社「覇王樹社」の同人である。
 「湖と青花」は、2019年9月14日、不識書院・刊。覇王樹叢書第219編。
 先の1997年、第1歌集「未完の譜」(日本歌人クラブ近畿ブロック賞・受賞)があり、2019年にエッセイ集「落とし文」がある。

 「湖と青花」は、1ページ3首、1首が2行にわたっている。
 比喩の歌、それも暗喩の歌が多い。ロマンがあり、歴史にも視線が行く。(僕は日々の生活の歌で、精一杯である)。
 気丈であるだけに、内に鬼が棲むとも詠む。しかし穏やかな夫君と仲良く、立派に息子さんも育ち、元気なお孫さんを恵まれ、ペットの犬を可愛がっている。
 家の新築、姑の死、自身の大手術なども歌材と成す。琵琶湖に近く住み、たびたび訪れて歌に想いを放っている。


 以下に7首を引く。
かなしみを研(と)がむと湖に来たる日よ淡き水色のスカーフ巻きて
鬼瓦の眼より漏れくる日の光われに屹立の歌あらしめよ
駆けゆきてまた戻りくる犬の仔よ虹たつ原のメルヘンとなる
「ばあば見たか」声をはづませ幼児は象に驚く獅子に驚く
幼顔はるかとなして髭面にボージョレー・ヌーヴォーぬつと提げくる
過ぎし道振り返るまじ夫とゐる居間あたたかくコーヒー香る
時々は夫の書斎に寛げる犬とわたしと夏の木漏れ日




 先の9月18日の記事、入手した4冊(4)で紹介した内、小坂井大輔・歌集「平和園に帰ろうよ」Kindle Unlimited版を読み了える。
 書肆侃侃房の新鋭短歌シリーズとして、9月15日の記事、寺井奈緒美・歌集「アーのようなカー」同を読むに次ぐ。

4・小坂井大輔 平和園に帰ろうよ
 「平和園」とは、名古屋駅西口にある、中華料理屋であり、小坂井大輔の実家で職場である。ここに多くの歌人が訪れ、歌人の聖地と呼ばれる。記名帳には、多くの歌人の名前が記され、憧れの地となっているという。
 笹公人のツイート写真では、小坂井大輔は体格の良い、スポーツマン風である。歌集には、試合・部室の語の入る歌もあった。フィクションも混じるだろうが、ヘタレの歌を詠み、生き辛そうである。
 歌集を進むに連れて、レトリックが上手になって、空転しているような歌はつまらない。
 短歌と人気と収入で、歌集出版に至ったことはめでたい。


 以下に7首を引く。
値札見るまでは運命かもとさえ思ったセーターさっと手放す
株券が紙きれになる阿阿阿阿と居間で小さな父がのた打つ
無くなった。家も、出かけたまま母も、祭りで買ったお面なんかも
雨の音をアプリで買って聴いている晴れの日こんな午後に死にたい
母親が手押し車を欲しがる日なぜか生あくびが止まらない
苦しいと狂おしいってよく似てるあめあめふれふれもっともっとだ
おれもテフロン加工してくれ困難で焦げつく身体だから頼むよ


 最近に入手した本、5冊を紹介する。入手した本(ネットプリントを除き)としては、9月18日の記事、入手した4冊(4)に次ぐ。
 前回と同じく、受贈本、定期購読本、Kindle Unlimited本などで、差し当たっての支払いはない。

a・湖と青花
 まず僕が所属する短歌結社「覇王樹」の同人、渡辺茂子さんが、第2歌集「湖と青花」を贈って下さった。
 2019年9月14日、不識書院・刊。覇王樹叢書第219編。

b・覇王樹10月
 所属する結社の歌誌、「覇王樹」2019年10月号が送られて来た。
 同・9月号の感想は、今月22日の記事にアップした。
 結社のホームページ「短歌の会 覇王樹」は早くも10月号の仕様である。
 僕の歌6首・他は、もう1つのブログ「新サスケと短歌と詩」の、9月27日の記事以降に順次、少しずつアップするので、横書きながらご覧ください。

c・COCOON Issue13
 季刊同人歌誌「COCOON」Issue13が送られて来た。
 短歌結社「コスモス短歌会」内の、若手歌人を同人とする歌誌である。
 2019年9月15日、COCOONの会・刊。

d・文学総誌「縄文」第4号
 県内にお住いの詩人・文学研究者の前川幸雄さんが、文学総誌「縄文」第4号を贈って下さった。
 昨年4月5日の記事に、同・第2号の感想が載っている。同・第3号も読んだ筈だが、ブログにアップし忘れたらしい。

村杉奈緒子 よみ人知らず
 インディーズ作家・村杉奈緒子の小説「よみ人知らず」Kindle Unlimited版を、Amazonよりタブレットにダウンロードした。
 今年3月6日の記事、同「片恋未満」に続く作品とのことだ。



 今月18日の記事、入手した4冊(4)で紹介した内、大野英子・歌集「甘籃の扉(かんらんのと)」を読み了える。
2・歌集・甘藍の扉
 2019年9月5日、柊書房・刊。歌数・不明。著者(歌誌「コスモス」選者、他)の第1歌集。著者・あとがきを付す。
 独身のまま、百貨店の仕事に勤しみ、離れ住む両親の世話と、見送りをした生活を、情感を保って歌う事で、救われたようだ。
 父母なく、夫子なく、ただ一人の兄は遠く離れ住み(兄夫婦にも子供がいない)、孤独な生活に入るが、鍛えられた心境は平静なようだ。


 以下に7首を引く。
秋空のたかみに白き尾を引きてゆく旅客機は真昼の彗星
不条理にあれど素早く謝りぬおきやくさまだいいち主義なれば
秋の夜長を楽しみに買ふ椅子ふたつ星見る椅子と読書する椅子
満開に桜咲くあさちちのみの父のたましひは父を去りたり
寝たきりの父が震へる手で書きし「コレガ人生ナラツマラナイ」
幾たびも死に瀕(ひん)したるははそはは大潮に曳かれ逝つてしまへり
来るところまで来たわたし がらんどうの家とこころを残されひとり


 最近に入手した4冊を紹介する。
 同(3)は、昨年12月9日の記事にアップした。

1・大杉スミ子全詩集
 出版社の紫陽社より、「大杉スミ子全詩集」が送られて来た。県内在住の詩人自身の贈呈だろう。
 これまでの5詩集すべてを収める。2019年10月25日・付け・刊。309ページ。

2・歌集・甘藍の扉
 出版社の柊書房より、大野英子・歌集「甘藍の扉(かんらんのと)」を送られた。大野英子さんは「コスモス」の歌人で、僕は「コスモス」在籍中にもあまり関わりが無かったので、柊書房のご配慮だろう。
3・歌壇・10月号
 本阿弥書店より、綜合歌誌「歌壇」2019年10月号が届く。僕の予約購読している、月刊誌である。
4・小坂井大輔 平和園に帰ろうよ
 書肆侃侃房の新鋭短歌シリーズ48、小坂井大輔の「平和園に帰ろうよ」Kindle Unlimited版を、Amazonよりタブレットにダウンロードした。
 平和園は、名古屋市にある中華料理屋さんで、短歌の聖地となっている。事情は歌人のブログ記事などに、よく出て来る。

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