風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 このブログを運営している新サスケ(ハンドル名)が、この10月17日付けで、AmazonのKindle本、第4詩集「詩集 日々のソネット」(縦書き)を発行しました。著者名は、柴田哲夫(僕のペンネームの1つ)です。
 再任用・リタイア前後の、庶民の日々の悲喜哀歓を綴った4章48編と、巻末に哲学風小連作・2章7編を収めます。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリーで、「柴田哲夫 詩集 日々のソネット」と入力して検索してくだされば、即で見つけられます。
 また、ブログの右サイドバーの上部、アクセスカウンターの下に、Amazonアソシエイトのリンク画像「あなたへ詩集をAmazonで」を貼りましたので、画像をクリックしてくだされば、購入サイトへ飛びます。
 kindle版で540円(税込)、kindle unlimited版も発行しています。よろしくご購入をお願い致します。

歌集

八月のフルート奏者
 笹井宏之・歌集「八月のフルート奏者」kindle unlimited版を、タブレットで読み了える。
 
同・歌集のダウンロードは、今月8日の記事にアップした。
概要
 笹井宏之(ささい・ひろゆき、本名・筒井宏之、1982年~2009年、享年26.)の略歴と著書は、上記記事に挙げたので、参照してください。
 彼の歌を、全国のファンも、岡井隆らトップ歌人も、高く評価した。
感想
 初期は、写生では無いながら、生活からの作品で、地味な印象を受ける。僕としては、好感を持つが、後期の人口に膾炙される歌も読みたい。
 2006年頃の歌から、浮揚感(浮遊感ではない)が加わり、相聞歌とともに、ポップ感のある作品となる。
 また2006年5月には、結社「未来」に参加し、旧仮名で歌を詠み始めた。
 作品集の末に、彼の詩「安息の椅子」が置かれている。「この椅子には安息がある」と始まり、難病の日々にも、創作による安息があったのだろう。

引用
 以下に7首を引く。
夢に出てきんさるとは珍しか三回忌やったねタケ子ばあちゃん
罅割れて路肩に眠る白磁にも匠の焼べる火があったのだ
呼び合える名があることの嬉しさにコーラの缶の露光る夏
命より重たいものばかりの部屋できみはベーコンエッグをちぎる
恐ろしきみどりがわれの虹彩を突き抜けて記憶へと変はりぬ
雨といふごくやはらかき弾丸がわが心象を貫きにけり
ひとときの出会ひのために購ひし切符をゆるく握りしめたり



八月のフルート奏者
 10月7日の記事、杉谷麻衣・歌集「青を泳ぐ」に続き、笹井宏之・歌集「八月のフルート奏者」Amazonのkindle unlimited版を、タブレットにダウンロードした。記録に拠ると、11月5日である。
 笹井宏之は、1982年、佐賀県・生。2009年・夭逝。「未来」所属、加藤治郎に師事。
 第1歌集「ひとさらい」、第2歌集「てんとろり」がある。共に書肆侃侃房・刊。
 第3歌集「八月のフルート奏者」は、没後の未刊資料より、紙本が2013年8月1日、書肆侃侃房・刊。kindle版が2015年3月30日・刊。おもに佐賀新聞に掲載された歌である。新鋭短歌シリーズ。
 395首、加藤治郎・東直子・田島安江の跋文を収める。
 なお2011年、PARCO出版より、「えーえんとくちから 笹井宏之作品集」が出版されている。それに合わせて、この本を読むのが良いかも知れないが、古本に大きなプレミアが付いている。


光のひび2
 Amazonのkindle本より、駒田晶子・歌集「光のひび」を読み了える。
 ダウンロード購入については、今月21日の記事、
同・歌集ダウンロードに書いた。
概要
 購入は、メモに拠ると、10月15日。
 その他の概要は、上記記事の「概要」に述べたので、そちらを参照してください。
感想
 宮城県仙台市に在住の彼女は、東北地方太平洋沖地震(2011年3月11日)の時、産科病室で臥せていたという。
 その時の歌が、数は少ないが、声高でなく詠われている。先行する歌集「銀河の水」は2008年・刊なので、それには載っていない。
 「あとがき」で、「<ひび>は、<日々>でも<罅>でも。」と述べているが、僕は<罅>と取りたい。
 3人の子の母として、たゆみなく歩みながら、日々の心の違和感、短歌への小さな違和感が、題材や句割れ・句跨りの多用に、表れているようだ。

 短歌を支えに、寛やかに歩んでもらいたい。
引用
 以下に7首を引用する。
画面には聞きなれぬ声のわれがいる小さな子どもと歌など歌い
六歳はテレビ寄席が好き一歳にちょいとおまいさんなどと呼びかけ
病院のベッドの寒さ 院内の医師召集のアナウンスつづく
雪の舞うほの暗き朝ふりかえり手を振る人にわれの手を振る
薬缶みがきみがき上げたる曲線に夜の疲れた君は浮かびぬ
廊下暗し結局だれが悪かった?呟く声ばかり立っている
子は三人います留守番していますコンソメスープの熱々を飲む






 短歌新聞社「岡部文夫全歌集」(2008年・刊)より、第2歌集「鑿岩夫」を読み了える。
 第1歌集・
「どん底の叫び」は、今月19日の記事にアップした。
概要
 1930年、紅玉堂・刊。「どん底の叫び」と同じく、発禁となる。無産者歌人叢書。
 藤沢清造・序、西川百子・序、自跋を付す。
 この2歌集の間に、二松学舎専門学校・中退、本家・岡部家への婿入り(?)婚がある。なお幼くして母を亡くし、1929年に父を亡くしている。
 このような状況や、プロレタリア運動の自分への疑問から、等で「プロレタリア歌人同盟」を脱退した。
感想
 「解説」で「ただ勢いのおもむくままの叫びというものであるかもしれない。」と書かれるけれども、非定型ながら、レトリック的には、充分に練られた作品である。
 自跋で、「感動性、効果性について今後も深く考究して行くであらう。」と述べている。
 当時の労働者の思いを表現していたか、どうかは、僕は知らない。
 2歌集とも発禁とはいえ、大いに煽って撤退したあとの反動は、大きいものだったろう。
 それを凌いだのも、短歌の力であったか。

引用
 以下に5首を引く。なお(′)のついた語には、アンダーラインを引いた。
カンテラに命を懸けた一銭二銭の涙金、あつたかい仲間から寄せ集めた金が一円、汗でべとべとよごれた一円紙幣(さつ)でセメント樽の棺が出来た
おら、いい年齢(とし)して争議や、やめだ」「ええ!なにいふぞい」なあ製煉夫の辰公や、お前にや亜硫酸瓦斯でただれた声ふり絞って「足手まとひだがおらもまぜてくれ」おお!あの六十のお爺(やつ)さんのことが忘れたつてかい
ぶつつづけに続く業雨(ごふさめ)だ、トンネル長屋はむくれかへり床下まで泥水だ仕事はねい立つてもゐてもおられん嬶あはきんきん声でどなりちらすんだ
がちがち冷飯かつこんだ女工達(おれたち)は金網にへばりついて深呼吸だ、換気扇も廻つとらん工場の中は埃でもうもうだい
拘束(しよつぴ)かれる仲間を、ただれた赤い眼で、じつとにらむ父つあん、父つあんは ぶるぶる、み、み、身もだえするばつかつだ
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写真ACの「童話キャラクター」より、「桃太郎」のイラスト1枚。




 

光のひび2
 Amazonのkindle本より、駒田晶子・歌集「光のひび」をダンロード購入し、タブレットに収めた。
 同じ「現代歌人シリーズ」の、
佐藤弓生「モーヴ色のあめふる」の読後感は、今月17日の記事にアップした。
 価格は1,000円。kindle unlimitedより、追加金無料で買える。
概要
 駒田晶子(こまだ・あきこ、1974年~)は、結社「心の花」所属。
 第49回・角川短歌賞・受賞。先行する歌集「銀河の水」により、現代歌人協会賞、ながらみ書房出版賞、宮城県芸術選奨新人賞、各受賞。
 歌集「光のひび」紙本版は、2015年11月、書肆侃侃房・刊。kindle版は、2016年1月・刊。
感想
 子育ての歌があるので、家庭を持って、時には違和感を滲ませて詠っているようだ。
 なお紙本版の古本が廉価で出ているので、紙本の古本で良い人は、それを購入するのも1手だろう。


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