岩波文庫の一茶「七番日記」(下)より、3回めの紹介をする。
 同(2)は、今月7日の記事にアップした。




 今回は、文化12年正月~6月の半年分、111ページ~151ページ、41ページを読んだ。
 北信濃の宗匠として活躍し、自然豊かで、蛙、燕、雲雀、キリギリス、蟬、梟、雀、猫などの小動物も吟じられている。
 暗喩、フィクションなどの句もあるが、これはないでしょうという現実離れした句もある。
 諧謔ではなく、正統的に吟じられた清しい句もある。
 131ページ頭記には3春(正月~3月)46日在庵、151ページ頭記には3夏(4月~6月)25日在庵、(半年で)在庵71日と記され、変わらず出張指導に忙しかった事が知られる。
 また3夏236句と記され、変わらず健吟であった。


 以下に5句を引く。
膳先
(ぜんさき)へ月のさしけり梅の花
野ばくちが打
(うつ)(散)らかりて鳴(なく)雲雀
門先
(かどさき)や汁の実畠拵(こしら)へる
白雨
(ゆふだち)がせんだくしたる古屋(ふるや)
我菴
(いほ)や小川をかりて冷(ひや)し瓜
ツバメ
写真ACより、「ツバメ」のイラスト1枚。