風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 お報らせです。2020年9月6日で以って、Kindle本「少年詩集 鳶の歌」を自力発行致しました。原稿は自分で作成し、表紙はデザイナーさんにお願いしました。上梓は自力で行いました。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリで、「少年詩集 鳶の歌」と検索すれば、すぐに出て来ます。右サイドバーのバナーよりも至れます。僕のペンネームは柴田哲夫です。価格は500円ですが、Kindle Unlimited版を追加金無料で購入できます。多くの方のご購読を願っております。

 土曜美術社出版販売の新・日本現代詩文庫150「山田清吉詩集」より、2番めの「土時計」(抄)を読み了える。
 先行する第1詩集「べと」は今月5日の記事にアップした。



 「土時計」は、1986年、紫陽社・刊。「べと」より、10年を経ている。
 「土時計」(抄)には、22編を収める。
 「少し馬鹿がいい」では「少し馬鹿がいい/馬鹿だからいうのではないが…少し気違いがいい/気違いだからいうのではないが…」と進む。おとぼけだろう、本人は賢いと思っているだろう。本当に自分の至らなさを視る者は、こう書かない。
 田畑を売れと迫る者、農耕牛を酷使する者、青田刈りを強いる為政者への怒りは、少しのレトリックと共に充分にうたわれている。

 「春が来た」「かかあは正直者です」「死にました」「己
(うら)があさって死んだ」「いいえ違います」では、繰り返し己の死と葬儀を描く。死んでも意識があり、5感が働いて、思いを述べ景色を見る。「死ねばチャラ」と思っているのだろうか。彼が信仰深い事とも関わるのだろう。
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写真ACより、「アジアンフード&ドリンク」のイラスト1枚。




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 今月7日の記事、同人誌1冊と文庫本3冊で紹介した内、同人文学誌「青磁」より、約束通り、定道明さんの2編と張籠二三枝さんの1編を読み了える。

 まず定道明さんの「「死んだ赤ん坊」の写真—―「春先の風」考補遺」である。
 中野重治の小説「春先の風」に、戦前の左翼活動家・大島英夫夫妻の赤ん坊が、獄中で病気となり、家で亡くなった様を描くらしい。その死んだ赤ん坊の写真が、甥の家にある筈と甥が言っていたが、未発見のまま甥は亡くなる。夫人より、遺品整理の内、写真が見つかり、送ってもらう。写真の赤ん坊は目をあいているが、自身の妹の経験より、既に亡くなっていると推測する。
 中野重治がその赤ん坊の死に立ち会ったと、小説の表現との関りで推測する。
 小説「コスモス忌」では、友人Sの死と、送別会、納骨、さらに最後となるだろう家への訪問までを、細大漏らさず描いた。

 張籠二三枝さんの小説「無げの花かげ」では、独身だった叔母と、叔父夫婦の死が、少女時代の回想とともに描かれて、文体はライトだが内容は重い。



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