風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

永田書房

 角川書店「増補 現代俳句大系」第15巻(1981年・刊)より、4番目の句集・松村蒼石「雁」を読み了える。
 今月5日の記事、角川源義・句集「西行の日」に次ぐ。
概要
 原著は、1975年、永田書房・刊。1971年~1975年の331句を、年別に、章題を付して収める。著者・あとがきを付す。第5句集。
 松村蒼石(まつむら・そうせき、1887年~1982年)は、幼くして丁稚奉公に出、飯田蛇笏「雲母」に入って活躍した。
 戦前に家族の死に次々と遭いながら、不幸に負けない精神を持ったとされる。
 1970年代初めの社会状況には、ほとんど影響されていない。中島みゆきの「時代」の歌さえ、僕は「早くも再起してしてしまうんだ」と、遠く聞いていたものだが。
引用

 4句を引き、寸感を付す。
童が目守る大き頭りの寝釈迦さま
 上句の「こがまもる」は読めたけれども、「つむり」に気づくには時間が掛かった。
白鳥引き朝あけの湖疲れけり
 比喩の句である。擬人法とは言えないだろう。
寒や白けて雨忘じゐる野川
 句跨りが2つある。ここに違和感を表わす他になかったのだろう。
もう鳴かぬ虫白壁は日を溜めて
 中句に句割れがある。こういった所にしか、良心を表わせなかった苦衷を偲ぶ。
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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。



 角川書店「増補 現代俳句大系」第14巻(1981年・刊)より、最終22番めの句集、宇佐美魚目「秋収冬蔵」を読み了える。
 今月1日の記事で、福井県俳句作家協会「年刊句集 福井県 第57集」を読み了えたからである。
 同・第14巻からでは、4月4日の記事、赤尾兜子「歳華集」以来である。
 同・第14巻には、「歳華集」と「秋収冬蔵」の間に、伊丹三樹彦・句集「仏恋(ほとけごい)」(1975年・刊)があるが、戦時下の句であり、宗教に傾き過ぎているので、今は飛ばした。
 次は「増補 現代俳句大系」の最終、第15巻に入る。
概要
 「秋集冬蔵」の原著は、1975年、永田書房・刊。1960年~1974年の360句、著者・あとがきを収める。「崖」(1959年、近藤書店・刊)に次ぐ、第2句集である。
 宇佐美魚目(うさみ・ぎょもく、1926年~2018年)は、「ホトトギス」より出発し、現代俳句とも関わりを持ったようである。
感想

 なぜ16年も間をおいて、第2句集を出版したのだろう。60年安保以降の世の風潮が合わず、再び保守化した1975年となって、出版したのか。
 あるいは伝統派と現代派の間で、作句が揺れたのか。
 松尾芭蕉や高浜虚子を吟じた句は、黄門様の印籠みたいなもので、反発の仕様もない。
引用
 以下に5句を引く。
籾殻を根雪に三戸馬を飼ふ
睡後の目あかし雪ふる柿の中
ひるの灯に読みさしの書や括り菊
箱橇の曲つて消えし一位籬(木曾)
春暖の赤子のこぶし雨意の松
0-45
写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。





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