村松友視の長編エッセイ「アブサン物語」を読み了える。
小説では今月12日、同・「時代屋の女房 怪談篇」を記事アップした。
また5月17日には、同・「海猫屋の客」を記事アップした。
村松友視の3冊を続けて読んだが、僕の文庫本棚にはもう、彼の本はないだろう。
概要
原著の単行本は、1995年12月、河出書房より刊行され、ベストセラーとなった。僕は微かに記憶がある。
河出文庫・文芸コレクションでは、1998年9月4日、初版。209ページ
感想
僕は以前に1度、この本を読んだ事があるようだ。拾った子猫(声が枯れていたので「アブサン」と命名)が、ゴロゴロ喉を鳴らすのを、初めての奥さんが、怒っていると勘違いした辺りで、僕は読んだ事があるらしいと思った。しかし覚えているのは、このエピソードだけだった。
子供のいない夫婦の、猫への接し方は、可愛がりながら穏やかである。
21歳(人間なら100歳越え)で老衰して逝く前、前足を揃えて立ち最後の挨拶のようであった事、奥さんの腕の中で逝いた事、猫に敬意をも払っていた作家は、感動して描いている。