風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 お報らせです。2020年2月20日で以って、Kindle本・短編小説「底流」を自力発行致しました。原稿は自分で作成し、表紙はデザイナーさんにお願いしました。上梓は自力で行いました。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリで、「柴田哲夫 底流」と検索すれば、すぐに出て来ます。柴田哲夫は、Kindle版・詩集「詩集 日々のソネット」、「改訂版ソネット詩集 光る波」と同じく、僕のペンネームです。価格は500円ですが、Kindle Unlimited版を追加金無料で購入できます。多くの方のご購読を願っております。

河出書房新社

 綿矢りさの小説「蹴りたい背中」を読み了える。
 デビュー作「インストール」の感想は、1昨日、3月20日の記事にアップした。



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 第2作「蹴りたい背中」は、19歳・大学生での芥川賞・受賞となった。
 河出書房新社・刊、2003年8月:初版、2004年2月:26刷。
 文章体と語り口体とが入り混じっている、親しみを感じさせる文体である。太宰治の愛読者とは、驚きだった。
 高校1年生の女子・ハツと男子・にな川は、共にクラスでのはぐれ者で、言葉を交わすようになる。しかし、にな川はファッションモデルで売り出し中のタレント、オリチャンの熱狂的なファンで、ハツを好意の対象としない。ハツは、にな川の部屋にゆき、唇まで奪うが、「好きとは落差のある」感情を持つのみである。
 ハツの旧友(高校ではそんなに親しくない)の絹代と3人で、オリチャンの初ライブにゆくのが山場だろう。にな川の背を、ハツは作品中で2度蹴っている。
 好きでもない関心の、もやもやを丹念に描いている。



 綿矢りさの小説「インストール」を読み了える。
 入手は、今月16日の記事にアップした。



 彼女の小説で、近くに読んだのは「手のひらの京(みやこ)」である。


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 「インストール」は、河出書房新社・刊、2001年初版(文藝賞・受賞)、2004年57刷。
 高校3年生の野田朝子(不登校中)と小学6年生の青木かずよし(名前は、姓、名が会話などの中に出て来るだけなので、拾い集めなければいけない)が組んで、パソコン上の風俗チャットに加わり、26歳・ヤンママ風俗嬢の雅の代わりとして、お金儲けをする話である。1ヶ月で仕事は終わり、30万円を入手するが2人は虚しく、朝子は学校に戻る決意をする。
 2001年は、僕がワープロから初めてパソコンを買った年代である。ホームページを見たり、CDからインストールのゲーム(囲碁、麻雀、花札など)をしていた。ブログ「サスケの本棚」を始めたのは、2007年だった。
 17歳が書いた、風俗チャットの物語を読んだ、文藝賞・選考委員の驚きがわかるようだ。読者も驚いただろう。



北斎漫画
 先の3月12日の記事、dポイントで2冊を買う、で紹介した内、「北斎漫画[肉筆未刊行版]」を見了える。
概要
 2017年9月30日、初版。河出書房新社・刊。
 価格:3,900円+税。単色版画・178枚。セーラ・E・トンプソンの解題、図版解説、53ページまで。
 通常はボストン美術館・蔵の「ボストン画帖」と呼ばれ、「北斎漫画」の続編として企画されたが出版されず、版下絵・3帖が残ったらしい。貴重な出版である。
感想

 図版の番号と、解説の番号の、並べ方がよく判らなかったが、しまい近くになって判った。図版は右側(裏表紙側)から、一、二と始まり、対応する横書き解説は、左側(表紙側)より順に進むのである。解説が横書きで、この体裁になったのだろう。
 「富嶽三十六景」の元のアイデアとなったらしい図がある。様々な職業の図があり、当時の仕事ぶりがわかりそうだ。神仏・鬼神は、デフォルメされて、素描とはいえ、信仰篤くはなかったようである。
 人々の表情・体格も今とは違って、実際多少は違っても、デフォルメされていると思う。
 魚類、草花類の図も多く、精細に描かれて、実際的と思われる。
 北斎の「富嶽三十六景」を頂点とする、多くの浮世絵も、こうしたデッサン力を溜めての画業だろう。


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 村松友視の長編エッセイ「アブサン物語」を読み了える。
 小説では今月12日、
同・「時代屋の女房 怪談篇」を記事アップした。
 また5月17日には、
同・「海猫屋の客」を記事アップした。
 村松友視の3冊を続けて読んだが、僕の文庫本棚にはもう、彼の本はないだろう。
概要
 原著の単行本は、1995年12月、河出書房より刊行され、ベストセラーとなった。僕は微かに記憶がある。
 河出文庫・文芸コレクションでは、1998年9月4日、初版。209ページ
感想
 僕は以前に1度、この本を読んだ事があるようだ。拾った子猫(声が枯れていたので「アブサン」と命名)が、ゴロゴロ喉を鳴らすのを、初めての奥さんが、怒っていると勘違いした辺りで、僕は読んだ事があるらしいと思った。しかし覚えているのは、このエピソードだけだった。
 子供のいない夫婦の、猫への接し方は、可愛がりながら穏やかである。
 21歳(人間なら100歳越え)で老衰して逝く前、前足を揃えて立ち最後の挨拶のようであった事、奥さんの腕の中で逝いた事、猫に敬意をも払っていた作家は、感動して描いている。


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