角川書店「増補 現代俳句大系」第12巻(1982年・刊)より、9番目の句集、村越化石「独眼」を読み了える。
 先の9月24日の記事、
小杉余子「余子句抄」に次ぐ。
概要
 原著は、1962年、琅玕洞・刊。大野林火・序、499句、山本よ志郎・跋、著者あとがき、を収める。
 村越化石(むらこし・かせき、1922年~2014年)は、1941年に栗生楽泉園に入園し、癩病の治療を受けた。
 大野林火に師事し、「浜」に参加。1950年より年1度、林火の来園指導を受ける。1958年、角川俳句賞・受賞。
 癩病は、戦後の日本に入った特効薬プロミンによって治る病となり、社会復帰する者があった。村越化石のように、後遺症、事情によって園に残る者もあった。
感想
 癩病者の文学として、戦前の北条民雄「命の初夜」の凄惨さはなく、それは新薬プロミンによって命をまっとうできる時代だからだろう。村越化石は、91歳、老衰により園で亡くなった。
 外の社会の俳人の句と比べると、物足りない句もある。
 彼は長生きして、このあと8句集を刊行し、角川俳句賞・以後も多くの賞を得ている。Amazonで調べると、全句集はなく、各句集も品切れか超プレミアムが付いた句集が多く、まとめて読み得ない。彼の発展を想って、残念である。

引用
 以下に5句を引用する。
顔にまざと柿食ふ癩児負けるなよ
降る雪に白湯すする父の忌も過ぎつ
湯豆腐に命儲けの涙かも(新薬プロミンの恩恵に浴し数年を経たれば)
腰に熱き湯婆あてて無財なり
雉子提げて雨に黒ずみ猟夫来る
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写真ACの「童話キャラクター」より、「浦島太郎」のイラスト1枚。