風の庫

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理念

 岩波文庫のヒポクラテス「古い医術について 他八篇」より、6回めの紹介をする。
 同(5)は、先の3月29日の記事にアップした。


 今回は、「流行病 第1巻」を読んだ。26節の概説と、14の症例を含む。
 紀元前4百年の医学書とはいえ、「文利」「焼熱(カウソス)」「煮熟」等の不明の語、「卒中」を流行病とする誤り、などが見られる。
 「14の症例」でも、詳細な観察はなされるが、手当ての記述はほとんどない。これでは、薬草をあさった漢方医学に劣るのではないかと思われる。
 理念としては、「医の技術には三つの要素がある。すなわち病気、病人、および医者。医者は技術の助手である。病人は医者と協力して病気に抵抗すべきものである。」と、とても立派なのだけれども。

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写真ACより、「ビジネス」のイラスト1枚。


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 短歌新聞社「岡部文夫全歌集」(2008年・刊)より、11番目の歌集「雪炎」を読み了える。
 先の5月23日の記事、
同・「灰白の群」を読む、に次ぐ。
概要
 歌集「雪炎(せつえん)」の原著は、1949年9月、立山図書出版社・刊。
 274首、著者・巻末小記、を収める。棟方志功・装丁。
 先の「灰白の群」の3ヶ月後の刊行である。巻末小記に拠ると、立山図書出版社の塚本定勝(社主?)の、強い勧めにより、辞退を翻したとある。
 「雪炎」を読み了えて全歌集の360ページ目、歌集編の791ページの半分にも至っていない。先の長い道である。
感想
 巻末小記に、「運河」(「灰白の群」と同時期)前後から自選して274首を集めた、とある。刊行時期からみて、その2歌集の拾遺であるかも知れない。
 「しんしんと雉の瞼に触(さや)りつつ炎ともあらむその雪片(せつぺん)を」の歌のように、副詞、比喩、倒置など、レトリックの勝った歌が多い。推測に推測を重ねるのだが、拾遺の歌だったとすると、レトリックの多い歌を、いったんは捨てようとしたと見られる。「現実の相に根を張り、自己を強く打ち出す」、「青垣」の理念に沿おうとしたのだろうか。
引用

 以下に7首を引く。
(うみ)低く一群の鷺啼きながらいづくに向ふ風花のなか
冬の夜の暗きねむりに落ちゆくと雉らもあれやその雪炎に
玄冬の斑(ふ)に美しき雉鱈を火に煮ることも生(いき)のやしなひ
絶間なき小雀(こがらめ)のこゑひびきつつ玻璃やうやくに青し昏れつも
木苺の花のしろたへのあはれさはちかぢかとみむ吾がまなさきに
手術終へ扁たくねむる吾が妻の額の汗をぬぐひ立ちたり
「暁に祈る」リンチの惨虐も今日に憤(いか)りて明日は忘れむ
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 写真ACより、「アールデコ・パターン」の1枚。



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