角川書店「増補 現代俳句大系」第13巻(1980年・刊)より、15番目の句集、能村登四郎「枯野の沖」を読み了える。
今月13日の記事、有働亨・句集「汐路」に次ぐ。
また能村登四郎の第2句集「合掌部落」は、同・大系・第11巻より昨年3月9日の記事にアップした。
概要
原著は、1970年、牧羊社・刊。585句、著者・あとがきを収める。
能村登四郎の略歴については、上記「合掌部落」の記事にアップしたので、ご参照ください。
感想
「合掌部落」より、社会性俳句にも背を向け、次第に寡作となった。1961年、現代俳句協会より別れた伝統派(水原秋桜子の「馬酔木」同人だった)の「俳人協会」に属しながら、俳句の新しい可能性を模索追求しようとする立場(同・大系・解説に拠る)の相剋に苦しんで、13年ぶりの第3句集となった。
俳人組織の分裂、「馬酔木」への忠節に苦しんだなら、まさに組織悪と呼ぶべきだろう。
「枯野の沖」には、「死貝あまた捨てし夜にはか花ひらく」のような、助詞の省略にさえ苦しんだ吟がある。
もっとも能村登四郎は、老年に差しかかるに連れ、発表作品を増やしたというから、悲観する事はない。
引用
以下に5句を引用する。
種子蒔くや半農教師腰およぐ
血の音のしづまるを待つ単衣着て
枯るる色一瞬すさる母焼く火(同居の義母逝く)
廃船を焼く火が赤し梅雨晴間(勝浦)
四月炉に鮒を焙らむ火が育つ
写真ACより、「おもてなし」のイラスト1枚。
今月13日の記事、有働亨・句集「汐路」に次ぐ。
また能村登四郎の第2句集「合掌部落」は、同・大系・第11巻より昨年3月9日の記事にアップした。
概要
原著は、1970年、牧羊社・刊。585句、著者・あとがきを収める。
能村登四郎の略歴については、上記「合掌部落」の記事にアップしたので、ご参照ください。
感想
「合掌部落」より、社会性俳句にも背を向け、次第に寡作となった。1961年、現代俳句協会より別れた伝統派(水原秋桜子の「馬酔木」同人だった)の「俳人協会」に属しながら、俳句の新しい可能性を模索追求しようとする立場(同・大系・解説に拠る)の相剋に苦しんで、13年ぶりの第3句集となった。
俳人組織の分裂、「馬酔木」への忠節に苦しんだなら、まさに組織悪と呼ぶべきだろう。
「枯野の沖」には、「死貝あまた捨てし夜にはか花ひらく」のような、助詞の省略にさえ苦しんだ吟がある。
もっとも能村登四郎は、老年に差しかかるに連れ、発表作品を増やしたというから、悲観する事はない。
引用
以下に5句を引用する。
種子蒔くや半農教師腰およぐ
血の音のしづまるを待つ単衣着て
枯るる色一瞬すさる母焼く火(同居の義母逝く)
廃船を焼く火が赤し梅雨晴間(勝浦)
四月炉に鮒を焙らむ火が育つ
写真ACより、「おもてなし」のイラスト1枚。