風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 このブログを運営している新サスケ(ハンドル名)が、この10月17日付けで、AmazonのKindle本、第4詩集「詩集 日々のソネット」(縦書き)を発行しました。著者名は、柴田哲夫(僕のペンネームの1つ)です。
 再任用・リタイア前後の、庶民の日々の悲喜哀歓を綴った4章48編と、巻末に哲学風小連作・2章7編を収めます。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリーで、「柴田哲夫 詩集 日々のソネット」と入力して検索してくだされば、即で見つけられます。
 また、ブログの右サイドバーの上部、アクセスカウンターの下に、Amazonアソシエイトのリンク画像「あなたへ詩集をAmazonで」を貼りましたので、画像をクリックしてくだされば、購入サイトへ飛びます。
 kindle版で540円(税込み)、kindle unlimited版も発行しています。よろしくご購入をお願い致します。

短編小説

 沖積舎「梅崎春生全集」第2巻(1984年・刊)より、9回目、了いの紹介をする。
 
同・(8)は、昨年8月8日の記事にアップした。
 今回、僕が読み了えたのは、「流年」、「偽卵」、「囚日」、「黄色い日日」の、4短編小説である。
 半年も前に読んだ短編小説を、よく覚えていない。この本も了いに近かったから、ブログの題材になるな、と思って残りを読んだだけである。
「流年」
 30歳を越した古書店主「椎野貫十郎」(従軍経験あり)が、ある飲み屋の娘「民子」に恋し、結婚する(すぐ子供も生まれる)話である。珍しいハッピーエンドで、嫌味がない。
「偽卵」
 知人の判決裁判の傍聴に来て、懲役8年の判決が降り、知人の恋人が「私」に擦り寄る気配を見せる所で終わる。
「囚日」
 「脳病院」を医師に案内される話と、知人の保釈申請の話が繋がる。この時期の梅崎春生は、神経症患者や犯罪者に関心があったようだ。
「黄色い日日」
 気弱い追い立てを食っている下宿人の「私」、大家の闘鶏家の「白木」、犯罪事件を起こした知人の「三元」、週刊誌記者の「中山」、等が絡んでいる。「中山」と主人公「彼」がM精神病院を案内される話が出て来る。
 いずれも1948年、1949年に初出の短編小説で、敗戦後の生きて行く事は出来るが、貧しく困窮した世相を描いている。
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写真ACより、「ファンタジー」のイラスト1枚。


 河出書房「ドストエーフスキイ全集」(米川正夫・個人全訳)第2巻(1956年・刊)より、短編小説「九通の手紙に盛られた小説」を読み了える。
 先行する
短編小説「プロハルチン氏」は、今月4日の記事にアップした。
 7通の往復書簡と、それぞれの妻の手紙、2通より成る。
 書簡体小説らしく、いきなりトラブルめいた書簡で始まり、2人のいかさまカルタ師が1人の田舎領主の青年から、お金を巻き上げていたが、1人が金を独占して姿をくらましている事がわかる。
 しかし、2人に暴露された妻たちの手紙に拠って、2人の妻とも青年と密通していた事が明らかになる。このどんでん返しは、さほど面白くない。
 兄への手紙で、ドストエフスキーがお金が無くてネクラーソフの所へ寄った時、この小説のアイデアが浮かび、さっそく1晩で書き上げたと、伝えている。ドストエフスキーには自負があったようだが、当時の評論家・ベリンスキーも否定的だった。解説には他に、ゴーゴリ、ツルゲーネフの名前が出て来て、19世紀ロシア文学の隆盛を知る。
 短編小説は読みやすく、長大な小説で知られるドストエフスキーに、これら短編がある事は好ましい。
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写真ACより、「お花屋さん」のイラスト1枚。



 河出書房「ドストエーフスキイ全集」(米川正夫・個人全訳)第2巻(1956年11月・刊)より、初めの短編小説「プロハルチン氏」を読み了える。
 先の6月24日の記事で紹介した、同・第1巻の
「ネートチカ・ネズヴァーノヴァ」に継ぐ。
 貧しい下級官吏・プロハルチンが、「役所が閉鎖される」という、冗談を信じて悩み、床に就く。同じ下宿の下宿人やかみさんに騒ぎ立てられたあげく、亡くなってしまう。
 下宿人たちが、彼のへそくりを引きずり出すと、2,497ルーブリ50コペイカあった、という落ちが付く。下宿代は月5ルーブリとされているから、その多額さが知れる。
 小心な官吏が、真面目に節約し、酒も博打も関わらないで中年まで生きて来て、たちの悪い冗談に惑わされて、狂気の果てに亡くなってしまう、喜劇立てじみた悲劇である。
 ドストエフスキーが、「分身」を発表した後、幾多の中短編を書いた、その第1作である。ドストエフスキーはその手紙で、「プロハルチン氏は大変評判がいい」と報じている(巻末・解説より)。
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写真ACより、「お花屋さん」のイラスト1枚。


 沖積舎「梅崎春生全集」(全8巻)の第2巻(1984年・刊)より、前ブログ「サスケの本棚」と通算して第5回めの紹介をする。
 今回、僕が読んだのは、「麵麭の話」、「蜆」、「虹」の3短篇小説である。
 「麵麭の話」は、ご飯も食べられぬ戦後の貧しい家庭を持つ男が、裕福な知人の家で、白いパンを何個か盗んで、家に帰ろうとする主ストーリーである。ここにあるのは、法的な問題ではなく、倫理的な問題であり、背後に社会的問題がある。
 「蜆」は、蜆の闇屋をする男と、「僕」が外套の遣り取りのあと、男が「浅墓な善意や義侠心を胸から締出して、俺は生きて行こうとその時思ったのだ」と告白する。
 「虹」は、善意の学者の「先生」と、彼から翻訳の下請けを貰っている「私」と、街娼になれない「花子」の、心理的に絡み合うストーリーである。
 いずれも敗戦後すぐの、荒廃した人心を描いている。
 小説は、紹介するより、読んで貰う他ないものだ。
 梅崎春生は、1915年・生、1965年・没、享年わずか50.だった。
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フリー素材サイト「Pixabay」より、りんごの1枚。

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