角川書店「増補 現代俳句大系」第12巻(1982年・刊)より、15番目、最後の句集、石田波郷「酒中花」を読み了える。
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秋元不死男「万座」は、昨年12月14日の記事で紹介した。
概要
 原著は、1968年、東京美術・刊。928句、後記を収める。題名は椿の品種名によるという。
 生前最後の句集(1969年・没)で、「酒中花以後」(1970年・刊)は没後の編集による。
 前半は春夏秋冬の四季部立て、後半は6度にわたる入院の作句順立てである。
 石田波郷(いしだ・はきょう、1913年~1969年)は初め水原秋桜子の「馬酔木」に参加、1937年「鶴」創刊・主宰。加藤楸邨、中村草田男らと「人間探求派」と呼ばれる。
感想
 「憂き目して鮒売女をり春の雁」のように、主題と季語が離れた句が目立つ。それを結合させてしまうのが、季語の力だ、というように。日常の営みに、穏やかな視線を向けた句がある。。
 また入院療養吟では、見舞いに通う妻、医師、同病者を吟じて、1句1句を積み上げてゆく生の営みを読める。
引用
 以下に5句を引く。
跼みては佇ちては春の落葉焚
黒椿雨雫して三鬼の忌
百日紅深息しては稿をつぐ
嵯峨菊やまなじり酔うて女どち
病床に読みて積む書も薄暑かな
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写真ACの「童話キャラクター」より、「白雪姫」のイラスト1枚。