風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

石田衣良

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 石田衣良(いしだ・いら)の短編小説集「スローグッドバイ」を読み了える。
 彼の小説を読んだのは、今年6月30日の記事にアップした、
「東京DOLL」以来である。
概要
 集英社文庫、2005年6月・3刷。
 彼の初めての短編集で、初めての恋愛作品集と、「あとがき」にある。
 「東京DOLL」が2007年刊だから、長編恋愛小説と捉えると(その間にも作品はあるだろうけれど)、2年の間の筆力の成長は凄まじい。
感想
 脛の傷、心の闇、隠したい過去を抱きながら生き抜く男女を描く10編。性を交す作品が多いけれども、そうでない作品もある。
 サクセス・ストーリーへの執着が見られ、シナリオ・ライターとして成功してゆく「曜子」とそれを見守る「史郎」の「夢のキャッチャー」、イラストレーターとして「山口高作」を発掘するPR誌の「サツキ」の「線のよろこび」などがある。
 憶測を交す男女が、結末でどんでん返し的に和解するストーリーを含めて、最後の表題作「スローグッドバイ」を除けば、ハッピーエンドの物語である。
 「スローグッドバイ」では、2年間の同棲をしていたフミヒロとワカコが別れる事になり、さよならデートをした後、ワカコの見抜いた通り、フミヒロの「心のなかにたくさんの物語があふれていたからだ」と作家的才能の発現を描く。これまでの9編をフミヒロの作品であるかのように、この作品集を2重にフィクション化している。


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 石田衣良の小説「東京DOLL」を読み了える。
 彼の小説の記事アップは、昨年4月13日の
「少年計数機」以来である。
 表紙写真の鮮明度の差は、台形補正カメラより、多機能プリンタのスキャンに替えたからだ。
概要
 石田衣良(いしだ・いら)は、1960年、東京・生まれ。
 1997年、「池袋ウエストゲートパーク」でデビュー。エッジの効いた文体とストーリーで知られる。
 10冊以上の「IWGP(池袋ウエストゲートパーク)」シリーズ、他がある。

 僕の読んだ「東京DOLL」は、講談社文庫、2007年8月10日・刊。279ページ。定価:495円(税別)。
感想
 MG(マスター・オブ・ゲーム)と呼ばれるゲームソフト制作者・相良と婚約者・裕香、新作ゲームのモデル・ヨリと恋人・ヨシトシの物語である。
 大都会の、暴力、性、サクセスの物語でもある。
 MGとヨリが惹かれ合い、裕香とヨシトシは捨てられる。庶民的な愛情を捨てながら、成功に向かう2人と、大企業の工作が描かれる。
 もう僕は、大都会にもサクセス・ストーリーにも、殆んど惹かれないけれども。


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 稀にはバイオレンス物も良いだろう、と石田衣良(いしだ・いら)の小説集「少年計数機」を読む。
 文春文庫、2004年・13刷。
 僕はこれまで、5冊の石田衣良の文庫本を読んでおり、直近では旧ブログ「サスケの本棚」2016年8月7日の記事、
「池袋ウエストゲートパーク」がある。
 「少年計数機」は、「池袋ウエストゲートパーク」シリーズ(10冊以上)の、2冊目である。
 「妖精の庭」、「少年計数機」、「銀十字」、「水のなかの目」の4作を収めるが、「水のなかの目」は終いを先に読んで、読む事を止めにした。
 「妖精の庭」は、ネット覗きシステムより、モデル「アスミ」のストーカーとなった32歳の男を、やっつける話である。
 「少年計数機」は、すべてを両手の計数機で数えずにいられない、10歳足らずの少年が、父の違う兄に誘拐される話である。二人の母親に頼まれた主人公マコトが、仲間と共に少年を救い出し、兄とその仲間を逃亡させる。
 「銀十字」では、70歳過ぎの男二人(ホーム住まい)が大活躍して、引ったくり二人組を捕まえ、更に更生させる。読者ターゲットに、老人を入れる狙いか。
 「水のなかの目」は、これまでと違って、主人公マコトが殺人を犯すようで、ストーリーも合わず、2、3ページで止しにした。

 解説の北上次郎が書いているが、脇役たちも鮮やかに描かれている。



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