風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

福井県

 福井県俳句作家協会「年刊句集 福井県 第57集」より、5回目の紹介をする。
 同・(4)は、今月4日の記事にアップした。
概要
 僕はこの年刊アンソロジーを、平成26年版・第53集より読んできており、今年で5冊めである。毎年3月、事務局長方へ葉書を送り、1冊を送って頂いている。事務局長が代わると、きちんと引継ぎをしてもらえる。
 身近な大衆詩を読んで、僕は短歌、詩の創作だけでなく、心に大きな滋養を得ている。
感想
 今回は、奥越地区(勝山市、大野市)を読んだ。122ページ~143ページの22ページ、43名の430句を読んだ事になる。
 句境も進むべく、語彙(ボキャブラリー)・句材の新しさ、口語体(会話調)の試み、切実な心情、寸時の心理、壮大な景・心情、などを吟じている。
引用

 以下に5句を引く。
扇風機に進路変更そうじロボ(I・ひで子)
悠然と大樹の冬よ風は友(I・治代)
啓蟄や寝相の悪い児どつこいしよ(M・政治)
ひと雨が雪嵩くずす昼下がり(I・泰子)
春昼の手提げをさぐる鍵ひとつ(T・喜美子)
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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。



 福井県俳句作家協会「年刊句集 福井県 第57集」より、2回目の紹介をする。
 同・(1)は、今月10日の記事にアップした。
 2019年3月20日・刊。2018年中の句より成る。
概要
 年刊句集の中心の「作品集」は、会長以下の役員順、名誉会員・参与、会員順、となっている。
 会員順は、福井地区、坂井地区、奥越地区、鯖丹地区、南越地区、敦賀地区、若狭東地区、若狭西地区の、大きく8地区に分かれている。各地区内の市・郡・町については、各地区の紹介内で述べたい。

感想
 今回は、会員順の初め「福井地区」(福井市、吉田郡)の前半である。会員数が多いので、約半分を読んだ。
 35ページ~65ページの31ページ、620句を読んだ事になる。
 短い詩型だから、手練の腕が要るようになる。「焼鯖の手際を褒めて半夏生」(F・照子)、「田植機とたつた二人の田植謡」(N・明徳)等の、土俗性も、題材として感慨深い。
 一方で、新しい語彙(ボキャブラリィ)を取り入れる方法も、俳句を新しくする手法である。時代は移るから、俳人年齢が上がっているようでも、時代に付いて行く必要はある。
 以下に引用の5句は、新しい語を取り入れた作品のみ、引いてみた。
引用

 以下に5句を引く。
山吹の花にママ友ベビーカー(T・京子)
母子してパソコン論議盆の月(S・和雄)
啓蟄や踵に測る骨密度(H・一枝)
自撮棒かざしてポーズ風光る(K・敏子)
参道に積もる落葉はミルフィーユ(I・貴夫)
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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。




年刊句集「福井県 第57集」
 「年刊句集 福井県 第57集」に読み入る。
 本の受領は、先の3月31日の記事にアップした。
 リンクより、昨年・刊「同 第56集」、1昨年・刊「同 55集」の感想記事へ遡り得る。
概要
 福井県俳句作家協会・発行、2019年3月20日・刊。
 1ページ2段組み、1段1名10句を、新年・四季順に掲載する。
 会長のY・世詩明氏の序文「先師に続け」のあと、作品集、俳句の各種大会の入賞句、各支部の報告等、索引、編集後記へ続く。
 作品集は、2018年(平成30年)に吟じられた句をもって成る。
感想

 今回は初めの1ページ~32ページ、役員、名誉会員・参与の61名、610句を読んだ事になる。
 大家の作品であって、初心者の乱れはない。
 おもに宗教信仰に近く、土俗性も残されている。
 農林漁業に働く老いを吟じた句があって、目を惹かれる。
 技法的に、比喩は少なく、短い詩型ながら対句を取り入れた作品が、散見される。
引用
 以下に5句を引く。
地に木遣天に見得切る梯子乗り(I・道夫)
小鳥来る庭に水琴窟ありて(F・フジ子)
春浅し焦げつき癖のフライパン(I・千恵子)
湧き水に浮かぶ西瓜の自転して(S・健吉)
鮎を焼く簗場小町と呼ばれゐて(I・野武男)



年刊句集「福井県 第57集」
 3月は毎年、福井県俳句作家協会「年刊句集 福井県」の発行される月なので、今年も協会事務局へお願いした所、平成30年版・第57集を送ってくださった。
 3月25日・着。スマートレター・便。2019年3月20日・刊。

 昨年の「同 56集」の読書記事は、昨年5月15日の(8)が了いである。リンクより、過去記事へ遡り得る。
 
 第57集は304ページの分厚い本である。作品集欄は、1ページ2段組、1名1段10句を載せる。
 試算したところ、408名の参加であり、昨年の試算・394名より、やや増えている。
 福井県短歌人連盟の年刊歌集「福井短歌」の100名前後、福井県詩人懇話会の年刊詩集「詩集ふくい」の60名前後に比べて、格段に参加者が多い。

 僕はここ数年、この年刊句集を、ごく近い時期の、同じ地域の、詩のアンソロジーとして、大切に受け取っている。小分けにしながら読み進んで、ここに記事アップしたい。



 

 福井県俳句作家協会「年刊句集 福井県 第56集」より、8回目、了いの紹介をする。
 今月12日の記事、
同(7)に次ぐ。
概要
 今回は、188ページ~208ページの19ページ(途中に扉が2ページある)の37名、370句を読んだ事になる。敦賀地区(敦賀市、美浜町)、若狭東地区(三方郡、三方中郡)、若狭西地区(小浜市、おおい町、高浜町)のすべてである。
 このあと、福井県俳壇要覧として、事務局長の「平成29年 福井県俳壇回顧」、各俳句大会の入選句と作者、各支部の現況、各地区俳句会の一覧、姓名索引等、73ページを収める。
感想
 参加者が多く、計算してみると394名である。県の詩・短歌の、年刊アンソロジー参加者を、遥かに越える。組織作りと指導法に、優れているのだろうか。
 年刊アンソロジーへの参加は、里程標であり、また句集を残せれば宝物の遺産だろう。
 俳壇の高齢化(若者、若年層の不参加)による、俳句人口の減少が嘆かれている。40代、50代での参加者も、長く活動するのだろうが。俳歌詩の創作には、ゲームやドラマと違った、楽しみがある。
引用
 以下に3句を引用する。
 I・はるゑさんの「入相の鐘」10句より。
にしん鮓程よく熟れて年用意
 T・勝子さんの「斧始」10句より。
啓蟄や潮の香かぶる海女の墓
 S・玲子さんの「若水」10句より。
義民碑を残して麦の刈られけり
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写真ACより、「おもてなし」のイラスト1枚。



 福井県俳句作家協会「年刊句集 福井県 第56集」(2018年3月・刊)より、7回目の紹介をする。
 今月9日の記事、
同(6)に次ぐ。
概要
 今回は、161ページ~186ページの26ページ分、52名の520句を読んだことになる。
 南越地区(越前市、南越前町)の、すべてである。
感想
 俳歌で新と真を求めると言っても、レトリックの新として、比喩(暗喩を主とする)は、たくさんだという気がする。戦後詩において、暗喩を主とする比喩は大掛かりに追及され、その時代も過ぎてしまった。むしろ直叙や対句、リフレイン、オノマトペ等の古典的レトリックに、新しい技法を求めるべきだろう。また新しい題材も、無限にある。
 俳歌の真といっても、人情の真は、古代よりあまり変わらないように思える。その真の心情の発露は、無限の形を取るけれども。
引用
 以下に3句を引用する。
 T・房子さんの「小夜時雨」10句より。
ねむる児に母の団扇と童歌
 K・秀峰さんの「笑ふ絵馬」10句より。
もて余す串刺し鯖や半夏生
 (注:福井地方では半夏生の日を「はげっしょ」と呼んで、その日に焼き鯖を食べる風習がある)。
 K・蒼美さんの「初鏡」10句より。
身に入むや今のままでと願ひをり

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写真ACより、「おもてなし」のイラスト1枚。



 福井県俳句作家協会「年刊句集 福井県 第56集」より、6回目の紹介をする。
 今月2日の記事、
同(5)に次ぐ。
概要
 今回は、123ページ~159ページの36ページ(途中、扉が1ページある)、71名の710句を読んだ事になる。1ページ2段、1人1段10句の発表だから。
 奥越地区(勝山市、大野市)と、鯖丹地区(鯖江市、越前町、池田町)のすべてである。
感想
 俳歌の芸術性というと、戦後の「第二芸術論」に苦しみ、努力もあったという。
 しかし文学としての芸術性から観て、俳歌は詩に及ばないのでは、と僕は思う。ただし詩と言っても、現在の訳のわからない1部は除く。
 俳歌は、大衆芸術として、現在の隆盛に至っている。想いは短さと定型によって、1作品となり、多く創り多く捨てる事に由って、選ばれた率の少ない秀作が残る。
 俳句が世界的詩型として広まっている事は喜ばしい。
引用
 以下に3句を引く。
 故・M・としさんの「立葵」10句より。
風を着て陽を着て早苗根を張りぬ
 H・定子さんの「火の玉」10句より。
一度のみ着たる浴衣や子から孫
 U・一法さんの「蟻地獄」10句より。
初仕事うるし一滴膝に落つ
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写真ACより、「お花屋さん」のイラスト1枚。



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