風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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空虚化

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 昨日と同じ、4月23日の福井県詩人懇話会・総会のおり、K・久璋さんに頂いた3冊の内、同人詩誌「角(つの)」第43号を紹介する。
 同・第42号はこのブログに欠けていて
同・41号の記事を昨年11月16日にアップした。
 第43号は、2017年4月10日・刊。11名11編の詩、6名6編の散文(評論、エッセイ)を収める。
 S・章人さんの「じゅげむ じゅげむ」では、
とめどなく紡ぎ出される 美しいコトバが
音声になり 中空に漂い
跡かたもなく消えていく

天女に化したコトバが 人びとを魅了する
両足を切り取られ 足が地につかず
うなだれて漂う ユウレイごときもいたりする
 と、おもにテレビ画面からの印象を描く。これも昨日の記事と同じ、言葉の空虚化を描くのだろう。
 N・六さんの「孫の守り(二)」の3歳の孫や、Y・清吉さんの「兄貴」の93歳で自然死した兄にしか、感動しないのは、上記の理由か、僕の感性の衰えか。
 Y・勝さんの映画論「続・僕の懐かしシネマ館 19 小津安二郎『秋刀魚の味』」は、3段6ページ(B5判)に渉る熱論であり、映画評論の歴史に参加するシリーズだろう。


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 4月23日の、福井県詩人懇話会・総会のおり、T・晃弘さんから僕も所属する同人詩誌「青魚」の、No.86を渡されて、先日にほぼ読み了えた。
 
同・No.85は、昨年11月11日の記事で、取り上げている。
 B5判、2段組み。今号は2017年4月22日・刊、38ページ。
 僕は8編のソネット(14行詩、韻は踏んでいない)を寄せており、もう1つのブログ「新サスケと短歌と詩」の、
4月25日の記事より毎日1編ずつアップしているので、ご覧いただきたい。
 今号で僕が最も惹かれたのは、K・和夫さんの「海辺の町で」である。途中からであり、また長くなるが、以下に引いてみたい。

言葉も思いも
希薄になってゆく

この空虚さはなんだろう
言葉がその意味を失くし
浮遊している

この街では
人々の息づかいが聞こえない

何とでも言える
大声で言えばいいんだ
そして

さめざめとした気配
この空虚さはなんだろう

 政治家の憲法解釈や、言いたい放題が、言葉の世界を、言葉の芸術の文学を、半意図的に空虚化しようとしている。言葉に拘るなら、今は文学の時代ではないのだろう。ただ人心に拘り、わずかに文学を続け得る時代だ。
 「青魚」には長文の評論が載って、詩誌を下支えしている。


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