風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 このブログを運営している新サスケ(ハンドル名)が、この10月17日付けで、AmazonのKindle本、第4詩集「詩集 日々のソネット」(縦書き)を発行しました。著者名は、柴田哲夫(僕のペンネームの1つ)です。
 再任用・リタイア前後の、庶民の日々の悲喜哀歓を綴った4章48編と、巻末に哲学風小連作・2章7編を収めます。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリーで、「柴田哲夫 詩集 日々のソネット」と入力して検索してくだされば、即で見つけられます。
 また、ブログの右サイドバーの上部、アクセスカウンターの下に、Amazonアソシエイトのリンク画像「あなたへ詩集をAmazonで」を貼りましたので、画像をクリックしてくだされば、購入サイトへ飛びます。
 kindle版で540円(税込み)、kindle unlimited版も発行しています。よろしくご購入をお願い致します。

笹井宏之

てんとろり
 今月7日の記事、笹井宏之・第1歌集「ひとさらい」に続いて、第2歌集「てんとろり」の紹介をする。
概要
 書肆侃侃房より、2011年1月・初刷、同2月・2刷。
 「ひとさらい」以後、2005年から2009年に26歳で夭逝するまでの作品より、「未来」での師であった加藤治郎が451首を選んだ歌集である。
感想
 句割れの歌(「きんいろのきりん あなたの平原で私がふれた唯一のもの」)や句跨り(「リビングに小さな川が流れいてせせらぎが寝室までとどく」)の歌が多い。さらに1漢字の訓みの中で句が別れる場合がある(「人殺しにも幸せの木琴がかすかに鳴り響きますように」(ひとごろし/にもしあわせの/もっきんが/かすかになりひ/びきますように))。この例は、他の若い歌人の歌に読んだ事があるが、彼が初めだろうか。
 初句7音を含めて、定型への反発が内にあったのかも知れない。
 叶わない相聞の歌、死への予感(治癒の望みもあったようだが)、死後への詫び言と取られる歌もあって、駆け抜けた短い生の様が感じられる。
 代表歌の1つとして、「風。そしてあなたが眠る数万の夜へわたしはシーツをかける」がある。「数万の」は。「数万人」の「あなたへ」という意味かと思ったが、歌の流れからいうと、一人の「あなた」の「数万日の夜へ」の意味のようだ。
引用

 以下に7首を引用する。
暮れなずむホームをふたりぽろぽろと音譜のように歩きましたね
美しい名前のひとがゆっくりと砲丸投げの姿勢にはいる
札束でしあわせになるひとびとを睫毛あたりで肯定してる
真夏日の夜の公園にばらばらの鍵盤としてちらばる私
さざなみのねむりのふちをゆっくりと宿をはずしたやどかりがゆく
悲しみでみたされているバルーンを ごめん、あなたの空に置いたの
たましひの還る世界に似て遥か インターネットといふ混沌は
(「佐賀新聞」掲載作品より)



ひとさらい
 先の11月27日の記事で到着を報せた、笹井宏之の歌集2冊の内、第1歌集「ひとさらい」を読み了える。
概要
 夭逝の歌人、笹井宏之(ささい・ひろゆき、本名・筒井宏之、1982年~2009年、享年26.)は、難病の「重度の身体表現性障害」(著者あとがき、より)を患い、初め楽曲制作等を行っていたが、よりエネルギーの少なくて済む短歌創作へ移っていったようだ。
 21歳の頃から歌を創り始め、「第4回歌葉新人賞」受賞、結社「未来」への参加、と2度の転機があったようだ。
 「ひとさらい」は、「未来」入会前、2005年3月~2006年4月までの作品を、歌人の加藤治郎・荻原裕幸が携わって纏めた。2011年1月、書肆侃侃房・刊、2015年9月・3刷。
感想
 1代限りの、前衛短歌の復活だろうか。岡井隆の重厚、塚本邦雄(少ししか読んでいない)の華麗に対し、命懸けの軽業(綱渡り、梯子乗り、等)だろうか。
 「八月のフルート奏者」の感想(初めの「笹井宏之の歌集2冊」より辿れる)で、ポップ感と書いたけれども、それは佐賀新聞文芸欄を読む祖父母を意識したもののようで、この歌集ではファンキーな感覚である。ファンキーとは、あるサイトに拠ると「いい意味で、型にはまっていなくて、一風変わっているさま」の意である。
 引用歌にあるが、暗喩の中庭で歌意を拾い上げ、生の真実を表わす。
 これも引用歌に、昭和戦後の庶民の像も、捉えている。
引用

 以下に7首を引用する。
風という名前をつけてあげました それから彼を見ないのですが
父さんが二百メートルほど先のいくさで子猫ひろって帰る
羊歯のふり巧みになって帰宅する農家の人とすこししたしい
野菜売るおばさんが「意味いらんかねぇ、いらんよねぇ」と畑へ帰る
「ねえ、気づいたら暗喩ばかりの中庭でなわとびをとびつづけているの」
安物の衣類をまとい夕暮れと夜のさかいに立ち尽くす主婦
食い荒らし食い荒らされて生きてゆく にんげんたちの一夜の宴




ひとさらいてんとろり

 PARCO出版の、笹井宏之・作品集「えーえんとくちから」の良本が手頃な価格で入手できそうにないので、書肆侃侃房・刊の第1・第2・歌集をAmazonより取り寄せた。11月20日に、2冊の新本を注文した。
 kindle unlimited版の第3歌集
「八月のフルート奏者」を読み了えて、どうしても読みたくなったのである。
 初めの写真が、第1歌集「ひとさらい」である。初めAmazonから、12月2日~12月30日にお届け、と案内されたが、11月22日に、予定より早く届けられるようになった、と連絡があり、11月23日に届いた。
 次の第2歌集「てんとろり」はスムーズに、11月22日に届いた。
 2冊合わせて、2,700円(税込み)なので、夭逝の歌人・笹井宏之に関心のある方は、入手してみると、よいだろう。


八月のフルート奏者
 笹井宏之・歌集「八月のフルート奏者」kindle unlimited版を、タブレットで読み了える。
 
同・歌集のダウンロードは、今月8日の記事にアップした。
概要
 笹井宏之(ささい・ひろゆき、本名・筒井宏之、1982年~2009年、享年26.)の略歴と著書は、上記記事に挙げたので、参照してください。
 彼の歌を、全国のファンも、岡井隆らトップ歌人も、高く評価した。
感想
 初期は、写生では無いながら、生活からの作品で、地味な印象を受ける。僕としては、好感を持つが、後期の人口に膾炙される歌も読みたい。
 2006年頃の歌から、浮揚感(浮遊感ではない)が加わり、相聞歌とともに、ポップ感のある作品となる。
 また2006年5月には、結社「未来」に参加し、旧仮名で歌を詠み始めた。
 作品集の末に、彼の詩「安息の椅子」が置かれている。「この椅子には安息がある」と始まり、難病の日々にも、創作による安息があったのだろう。

引用
 以下に7首を引く。
夢に出てきんさるとは珍しか三回忌やったねタケ子ばあちゃん
罅割れて路肩に眠る白磁にも匠の焼べる火があったのだ
呼び合える名があることの嬉しさにコーラの缶の露光る夏
命より重たいものばかりの部屋できみはベーコンエッグをちぎる
恐ろしきみどりがわれの虹彩を突き抜けて記憶へと変はりぬ
雨といふごくやはらかき弾丸がわが心象を貫きにけり
ひとときの出会ひのために購ひし切符をゆるく握りしめたり



八月のフルート奏者
 10月7日の記事、杉谷麻衣・歌集「青を泳ぐ」に続き、笹井宏之・歌集「八月のフルート奏者」Amazonのkindle unlimited版を、タブレットにダウンロードした。記録に拠ると、11月5日である。
 笹井宏之は、1982年、佐賀県・生。2009年・夭逝。「未来」所属、加藤治郎に師事。
 第1歌集「ひとさらい」、第2歌集「てんとろり」がある。共に書肆侃侃房・刊。
 第3歌集「八月のフルート奏者」は、没後の未刊資料より、紙本が2013年8月1日、書肆侃侃房・刊。kindle版が2015年3月30日・刊。おもに佐賀新聞に掲載された歌である。新鋭短歌シリーズ。
 395首、加藤治郎・東直子・田島安江の跋文を収める。
 なお2011年、PARCO出版より、「えーえんとくちから 笹井宏之作品集」が出版されている。それに合わせて、この本を読むのが良いかも知れないが、古本に大きなプレミアが付いている。


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