風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 お報らせです。2020年2月20日で以って、Kindle本・短編小説「底流」を自力発行致しました。原稿は自分で作成し、表紙はデザイナーさんにお願いしました。上梓は自力で行いました。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリで、「柴田哲夫 底流」と検索すれば、すぐに出て来ます。柴田哲夫は、Kindle版・詩集「詩集 日々のソネット」、「改訂版ソネット詩集 光る波」と同じく、僕のペンネームです。価格は500円ですが、Kindle Unlimited版を追加金無料で購入できます。多くの方のご購読を願っております。

米川千嘉子

あやはべる
 米川千嘉子・第7歌集「あやはべる」を読み了える。
 到着は、先の4月28日の記事、歌誌と歌集とエッセイ本で報せた。
 彼女の読んだ歌集として、先の4月30日の記事にアップした、「吹雪の水族館」(第8歌集)に次ぐ。
概要
 短歌研究社・刊。2012年7月・初刷、2013年3月・重刷。473首、著者・あとがきを収める。「あやはべる」は、沖縄の古い言葉で、蝶を指す。
 2013年、第47回・迢空賞・受賞。
感想

 第8歌集から第7歌集を読んでいるので、一人息子さんの成長など、フィルムを逆回しで観ているようだ。
 第8歌集では就職した息子さんは、ここでは予備校を経て大学に進学したようだ。息子さんは家を出て、歌人夫婦2人きりの生活になった。
 娘・妻・母親・1女性としての歌と共に、東北沖大地震・原発災害も繰り返し詠まれている。
引用

 以下に7首を引く。
最後の試合終はりたる子のユニホーム洗へばながく赤土を吐く
風吹けば滝は蛇腹を見せて光(て)り主婦のむなしさもううたはれず
憂愁の少年阿修羅を見てくれば息子ごつんと憂鬱にゐる
食べさせたものから出来てゐる息子駅に送りて申し訳なし(進学で家を出る)
ああ春のひかりは甘いと嗅ぐ母を食べ揺れてゐるエニシダの黄
ひたすらにひとは紙漉きキンドルのしづかな白も作りだしたり
絶句する人になほ向くマイクあればなほ苦しみて言葉を探す





吹雪きの水族館a
 今月22日の記事で到着を報せた本、米川千嘉子・歌集「吹雪の水族館」を読み了える。
 現代短歌文庫の「続 米川千嘉子歌集」の第4歌集・「一葉の井戸」(2001年・刊)より、第8歌集まで、14年を一足飛びに越えての読書である。第7歌集「あやはべる」も買ってあるので、逆年順に彼女の歌集を読むことになるかも知れない。
概要
 2015年11月1日、角川文化振興財団・発行、KADOKAWA・発売。
 第8回・小野市詩歌文学賞を受賞した。
 題名は2012年、馬場あき子らと共に、黒川能を鑑賞した際、鶴岡市立加茂水族館を訪れて、有名なたくさんの水母を観た経験の1連から採られた。
感想

 前歌集「あやはべる」で迢空賞を受賞して、肩の力が抜けたかの感がある。
 一人息子は、家を出て学び、厳しい就活を経て就職した。夫は壮年で、仕事・短歌に重い役割を果たしている。
 被災した、東北沖大地震の事も、原発災害を含め、繰り返し詠まれている。
 「ゆるキャラ」を土地の神とも、ただの着ぐるみとも、詠んでいる。
引用
 以下に7首を引く。
撫子のひびき更新さるる夏うるはしと言へなでしこジャパン
面接は六次面接まであると聞くとき出づるマトリョーシカは
熱のある人間ほどの気温にてへんな暑さをふらふら帰る
つくづくと衰ふる土地の神にして紅葉の渓に踊るゆるキャラ
疲れふかきゆゑに眠れずやうやくに眠りし夫の奥の海光
滅びそめし国の小旗を頬に描(か)く若者はもう滅べと言はず
父・夫(おつと)・息子それぞれ理由(わけ)ありてところ天食むわが辺にをらず



「覇王樹」5月号
 所属する結社の歌誌「覇王樹」2019年5月号が、4月26日に、ゆうメールで届いた。
 5月1日付け・刊。来年8月・刊の100周年記念号に向けて、原稿募集等が本格化した。
 先の歌誌「覇王樹」4月号を読むは、今月5日の記事にアップした。
 5月号の僕の歌6首(8首より選)他は、もう1つのブログ「新サスケと短歌と詩」の4月27日付け記事より、順次少しずつアップするので、横書きながらご覧ください。

あやはべる
 4月24日に、米川千嘉子・第7歌集「あやはべる」(迢空賞・受賞)が、Amazonのマーケットプレイスより、ゆうパケットで届いた。価格:2,090円(送料・税・込み)。短歌研究社、2013年3月・重版。
 今月22日の記事、同・第8歌集「吹雪の水族館」が届くに次ぐ。

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 川上未映子のエッセイ本「きみは赤ちゃん」(文春文庫、2017年5月・刊)を、メルカリより330ポイントで注文し、4月24日にローソン某店で受け取った。
 作家・川上未映子の妊娠・出産・子育てをめぐるエッセイ本である。
 彼女の本は、小説「すべて真夜中の恋人たち」を、昨年10月31日に記事アップして以来である。
 蔵書は読みきれない程あるのだが、最近の新しめの本もつい読みたくなり、買ってしまう。



吹雪きの水族館a
 今月18日の記事で、砂子屋書房・現代短歌文庫の正・続「米川千嘉子歌集」を読み了え、その後の彼女の歌集を読みたいと、Amazonで探した。
 幾冊かの歌集の内、1番廉価という事で、「吹雪の水族館」を注文した。状態の良いもので、1,676円(税、送料、込み)だった。Amazonのマーケットプレイスの在庫を、Amazonから送ってもらった。
  前以って注文しておいたので、18日(木曜日)に届いて、美品なのは良い。なんと2015年・刊の第8歌集だった。最新歌集である。
 Wikipediaで調べると、読み了えた第4歌集から、その間の歌集がわかった。
 第5歌集「滝と流星」。第6歌集「衝立の絵の乙女」。第7歌集「あやはべる」である。
 それらの歌集も入手したいが、財政が追い付かない。おいおい買ってゆこう。





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 砂子屋書房の現代短歌文庫92「続 米川千嘉子歌集」(2011年・刊)に入り、初めの歌集「たましひに着る服なくて」を読み了える。
 「正・同」と「続・同」の購入は、先の2月16日の記事、届いた4冊(2)にアップした。
 「正・同」のしまいの「歌論・エッセイ」と「解説」の感想は、先の3月30日の記事にアップした。リンクより、過去記事へ遡り得る。
概要
 「たましひに着る服なくて」は、1998年、砂子屋書房・刊。第3歌集。402首、著者・あとがきを収める。
 前歌集との間、1996年に父を亡くし、多くの挽歌を詠んだ。
感想

 子育てはそれぞれ個性があり、その点も楽しんで読んだ。
 夫の科学者・歌人、坂井修一の研究者としての奮闘ぶりを、伺わせる作品もある。
 夫・1人子との3人家族を淋しむような歌、1女性としての悲しみを詠むような歌がある。
 父が病み(わが子、つまり孫との交流もあった)、介護の歌、亡くなってもの恩愛を詠む。
引用
 多くの付箋を貼ったが、以下に7首を引用する。
みづあふれ子どもは生まれみづは閉ぢこの子どこかへかへりたさうで
秋霖のなか出でゆけり血のやうな速度感生きてひとりなる夫
小さき手切りてわが手にもち歩きし夢のかなしみ紅葉のなかに
おにぎりをこの子は好みまつ白き爆弾のやうな塩にぎり食む
死の際に間に合はざれば父を呼ぶこゑはをりをり胸よりのぼる
時間をチコに返してやらうといふやうに父は死にたり時間返りぬ
遊覧船に家あるつばめ日々顔のかはる息子と渡る芦ノ湖






 砂子屋書房・現代短歌文庫91「米川千嘉子歌集」より、末尾の「歌論・エッセイ」7編と、3名の「解説」を読む。
 今月23日の記事、同・「一夏」を読む、に次ぐ。リンクより、過去記事へ遡り得る。

 エッセイの「山雀の歌」は、著者が科学者・歌人の坂井修一との結婚にごたごたがあった時、坂井修一が暗唱した伊藤一彦の歌の幾つかに、心が救われた経験を語る。オチの笑い話もつけて。
 馬場あき子・論「時代感と孤独のまなざし」になると、抽象的で難解となる。例えば「精神と肉体、情況と情念など、相反するもののきしみや葛藤、そしてそれらがもたらす悔しさや怒りやふとした錯誤の悲しみが、そこに生々しく浮上するからなのだ。」。B・ラッセルの言う言葉の階梯を越えて、比喩として取り入れながら、曰く言い難いものを表そうと苦闘している。
 短歌では、正直で豊かな感性を表しながら、評論となると固くなる。言葉の空転を恐れる程である。
 男性論客に伍して行く事はなく、豊かに表現すれば良いのに、と思う。

 これは日高堯子「鏡像の視野」、川野里子「朱夏混沌」、花山多佳子「思索と痛み」の3解説でも、ほぼ同様に思え、女歌の時代なのに、あるいはそれ故に、女性歌人が短歌を論じる困難さを思わせる。
 これでこの本を読み了え、「続 同」へ入る。
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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。


 砂子屋書房・現代短歌文庫91「米川千嘉子歌集」(2011年・刊)より、第2歌集「一夏」を読み了える。
 今月18日の記事、同「夏空の櫂」を読む、に次ぐ。
概要
 原著は、1993年、河出書房新社・刊。
 第4回・河野愛子賞・受賞。
 短歌編に、エッセイ風のあとがき「郭公」を付す。
 「一夏」は、「ひとなつ」ではなく、IMEにはないけれど、「いちげ」と読む(三省堂「現代短歌大事典」2004年・刊に拠る)。
感想
 何といっても、妊娠、出産、子育ての歌が主である。
 「わが子可愛い」だけの歌ではないけれど、やはり喜びの歌に目が行く。
 父よりの血脈、青年期を脱する夫、夫のボストン留学への同伴、掉尾には転んでも立ち上がる子への励ましが、詠まれる。
 この文庫には、歌集はこれまでの2冊を収め、あと歌論・エッセイと解説を付す。
 彼女はこのあとも、創作旺盛で、続々と歌集を刊行している。
引用

 貼った付箋は18枚、内より7首に絞るに苦労した。
迷ひをるわれをしづかに消すやうに身籠りしものを誰も祝福す
愛ふかく負けてゆく生万葉集に萩のくれなゐのごと零れをり
魂のふかくともればみどり子は胸さすこゑをたてて笑ひぬ
わがいのちただに見つめて生くべしと母を覚えて日々濃き微笑
母と呼びしはじめてのこゑ胸抜けて夏の燕の消えたる彼方
こゑに競ひて子らは遊べりかうかうと母の匂ひを放ち遊べり
母の手をふとほどきたる幼子に入道雲はしづかなる餐
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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。



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