風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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編集部

 所属する短歌結社「覇王樹社」の編集部より、要請されていた歌集評3冊の内、2冊めと3冊めが、昨日に到着を報せた「覇王樹」2020年5月号に載った。


 今月2日の記事、登坂喜三郎・歌集「いのち」を読む、に次ぐ転載である。


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 受贈歌集・評には、字数制限(題名、日付け・出版社を含め、20字×25行)がある。

 矢野一代・歌集「まずしき一冬」
 「海市」会員の著者の、「父の男の」、「いのち」に継ぐ、第3歌集。中川昭氏の跋文「黙秘の似合う人」、著者・あとがきを付す。
 穏やかな歌もあるが、跋文にある通り、「反骨の」歌人である。父よりの事業を引き受け、交渉の駆け引きなどの苦労も、人並み以上なのだろう。「父の遺産」の根性、負けん気の強さで、事業社会の男たちと渉り合って来た。20年を越える作歌も、生活の支えとなるのではないか。
 戦い続ける日々の果て、穏やかな日々と穏やかな歌の境地の日が訪れるよう、願われる。


眼球の奥そこ深く疼きおり今日の怒りはしこりとなりて
厳しさを美徳と育ち優しさを覚えぬままにもう日暮どき
傷つけて傷つけられてわれらまた言葉の銃口向け合っている
わが庭へにっちもさっちもゆかぬ種はこび来るのは決まって男
負けん気の強さと口下手はた吞兵衛どれもが亡父の遺産でしょうか
 (北洋館、2019年11月25日・刊)。



 所属する短歌結社の歌誌「覇王樹」の編集部より、受贈歌集3冊の紹介記事を依頼され、既に3冊とも紹介文を送った。その内、1冊分が4月号に掲載されたので、以下に転載する。
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 登坂喜三郎・歌集「いのち」新書判。紹介に字数制限(20字×25行)がある。

 「地表」編集委員長の著者の第7歌集。2007年に出版した「メッシュの靴」以降、主として「地表」に発表した歌より、541首を自選した。
 「地表」編集代表の大井恵夫氏の肝癌の手術と入退院、著者の鬱病発症(後に完治)とたいへんな時期もあったが、短歌に打ち込める日々になった。優しい奥様、二人の立派な息子さん、健気なお嫁さん、犬の逝いたあとには猫と、恵まれて多くの歌となっている。
 末尾には大井恵夫氏の短歌鑑賞・54首分を加えて、編集代表への篤い思いを収録した。「地表」の目指す(写生に基ずく知的抒情)に邁進する歌人である。

けふは重湯明日から粥と病室に君は明るき声に言ふなり
お父さん行って来ますと出で行けり「荒川マラソン」参加の嫁が
梅雨晴れの小公園に児童らの課外授業かしばし騒めく
老木のさくらの幹に吹きし芽のしぼれる命よいま咲きにほふ
犬ほどの表情はなけれど飼ひ猫の妻の傍へにじゃれてゐるなり
(地表短歌社、2019年11月27日・刊)


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