風の庫

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芥川龍之介

 Kindle本「室生犀星作品集」より、エッセイ「名園の落水」を読み了える。
 先の8月27日の記事、「みずうみ」を読む、以来である。


 「名園の落水」は、初め前田家の家老だった本多氏の庭を巡る。当主は住んでいず、取次の案内を受ける。庭は荒れている。
 総檜の屋敷や、100畳の部屋も見せてもらう。
 それから兼六公園へ向かう。落水の脇のお亭でひと休みし、芥川龍之介を思う。曲水に感嘆している。落水を「公園で一番いいところ」と思って佇む。
 庭を造り、世話することが道楽だった犀星らしい、エッセイである。庭造りに関心のない僕には、深い感慨はわからない。
 底本の親本、新潮社「室生犀星全集 第3巻」1966年・刊。
日本庭園
写真ACより、「日本庭園」の写真1枚。



 Amazonからタブレットにダウンロードした、Kindle版「室生犀星作品集」より、怪談1編とエッセイ2編を読んだ。
 先行して「忘春詩集」を、今月11日の記事にアップした。



 怪談は「あじゃり」と題する。峯の寺の阿闍梨は、孤高に住んでいたが、他寺に100日の修行より帰る時、一人の童子を連れて来た。稚児趣味ではなく、実の親子という。仲睦まじく住んでいたが、童子が病気になり亡くなると、阿闍梨は取り乱していた。ある禅師が後日、寺を訪ねると、阿闍梨はされこうべを抱いたまま、衣類と白骨になっていた。以上がストーリーだが、孤高の僧が人間の情に囚われて滅びる、反宗教色を見るのは、うがち過ぎだろうか。
 犀星が寺の内妻に貰われたという、出自も関わるかも知れない。

 エッセイの1編は、「芥川の原稿」である。犀星が芥川龍之介の部屋を訪ねると、先客の雑誌編集者が原稿の強要をしている。来月号に書く約束で、編集者は帰る。
 編集者の眼力を恐れる事に触れる。またある編集者は、芥川の原稿を書巻にして大事にしたという。犀星の回顧談だろう。

 もう1つのエッセイは、「冬の庭」と題する。作庭趣味のあった犀星が、冬の庭には春夏秋の手入れ、心遣いが表れると述べ、冬庭の眺め方を説いている。骨董にも作庭にも趣味がない僕は、ははあそうですかと拝読するよりない。
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写真ACより、「アジアンフード&ドリンク」のイラスト1枚。




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