風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

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若さ

 季刊同人歌誌「COCOON」Issue18が、入院の2日前の12月19日(土曜日)に届いた。
 同・Issue17の感想は、先の10月3日の記事にアップした。


COCOON Issue18
 Issue18は、2020年12月15日・刊、89ページ。
 同人は、結社誌「コスモス」の若手歌人(1965年以降・生まれ)より、集まっている。アンケート欄で確認したところ、同人30名。
  巻頭の32首詠4名、12首詠26名となる。
 エッセイ、評論、うた画廊のイラストと短歌、歌合の対戦、アンケートと、若さのある誌面である。
 読み了えたなら、つたない感想なりとアップしたい。読書時間はある。


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 イタリアの作家、パヴェーゼの小説「故郷」を読み了える。
 今年3月24日の記事、パヴェーゼ「流刑」を読むに次ぐ。

パヴェーゼ「故郷」
概要
 岩波文庫、2003年6月・第1刷。
 河島英昭・訳、解説を含め234ページ。
 僕の以前のブログ「サスケの本棚」(2007年4月4日・開始)に載っていないので、発行日より2007年4月までに購入したようだ。読書までずいぶん待たせて、本文にまで経年ヤケがある。
感想

 パヴェーゼの長編小説・第2作だが、イタリアがファシズム下にあったため、1941年5月、1番めの小説として出版された。
 戦後の1950年5月、「月と篝火」等で名声の絶頂にありながら、彼は睡眠薬自殺を遂げた。41歳の若さだった。
 作品内容としては、主人公「僕」が、粗野な青年・タリーノ(放火の嫌疑)と共に警察管理から放たれ、タリーノの父親・ヴィンヴェッラ老人の麦扱きの仕事を手伝う、3日間の出来事が主な場面である。
 「僕」はタリーノの妹のうち、ただ一人上品な、ジゼッラと親しくなる。しかしタリーノが諍いでジゼッラを、三つ又で殺してしまい、終幕となる。
 固陋な田舎を描き、イタリアの文学運動、ネオ・レアリズモの出発とされる。
 僕も田舎在住だから、田舎の貧しさと固陋さは、わかるつもりである。また多くの人が、田舎住まいか田舎出身で、思い当たる所はあるだろう。
 「流刑」でもそうだったが、すぐ主人公が色恋に染まるのは、なぜだろう。1時の村上春樹みたいだ。







 
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 石川書房「葛原繁全歌集」(1994年・刊)より、歌集編のしまい、「初期歌篇」421首と、栞の遺詠9首を読み了える。先の6月16日の記事、同「鼓動以後」を読む(4)に次ぐ。
 全歌集にあとは、「歌集別総目次」、「年譜稿」、「あとがき」、「編纂覚書」、「初二句索引」を収める。
概要
 「初期歌篇」には、第1歌集「蟬」以前に発表された、「新万葉集」掲載2首と、「多摩」掲載419首を収める。18歳~25歳の作を、発表年月号順に配列する。
 没後に全歌集の発行される歌人は、幸せである。
感想
 若さと共に、感受性ある、抒情的な歌群である。
 若さと、「多摩」の歌の傾向だけではない、豊かでもなく東京工業大学電気工学科に学ぶ負い目と、上京1人暮らしの淋しさがあったのだろう。
 従軍を経て、歌風は変わり、骨太だが苦渋の多い歌となる。この変化を読んでも、感受性を擦り減らした戦争が悪と知る。
 これでこの「葛原繁全歌集」と別れる。
引用

 以下に7首を引く。
水のごと心冴えつつ月夜来て板塀にひづむわが影は見き
下心(した)堪へむ想ひ苦しもみ冬づくポプラの梢空にきほへり
ストーブの燃えつぐ聞きて山の夜はそれのみに親し刻(とき)移りつつ(道後山登山行)
淋しさを弟は告げねど病室の壁にはなやぐ夕日を言ひぬ
燃え果てし命のきはみ知りしより学生われらことあげをせず(昭和17年)
先生と呼び申すさへ懼れつつ恃みまつりし師はすでに亡し(北原白秋・逝去)
学生生活の最後の夏に許されし十日の暇短く過ぎぬ
0-49
写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。




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