風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 お報らせです。2020年9月6日で以って、Kindle本「少年詩集 鳶の歌」を自力発行致しました。原稿は自分で作成し、表紙はデザイナーさんにお願いしました。上梓は自力で行いました。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリで、「少年詩集 鳶の歌」と検索すれば、すぐに出て来ます。右サイドバーのバナーよりも至れます。僕のペンネームは柴田哲夫です。価格は500円ですが、Kindle Unlimited版を追加金無料で購入できます。多くの方のご購読を願っております。

若者

 角川ソフィア文庫「西東三鬼全句集」より、句集「変身」の後半、2回めの紹介をする。文庫本で、196ページ~272ページである。
 同(1)は、先の5月29日の記事にアップした。




 この句集には、10年間の1,073句が収められており、2回に分けて紹介する理由である。
 刊行は、死没の1ヶ月余りまえで、単行句集の最後となった。
 前衛としての態度を崩さなかった。字余りの句など、言葉の按配では定型に収まりそうな所、伝統俳句に逆らうがに、突っ張っている。
 旅吟に秀句が多いように思われる。また若者に期待する句もある。
 彼は演技がうまく、俳壇の寝業師とも呼ばれたという。人生経験を積んで、33歳で俳句を始めた三鬼にとって、文学少年・少女上がりの俳人は、与しやすかっただろう。

 以下に5句を引く。
秋の夜の海かき回し出帆す
(松山)
膝にあてへし折る枯枝女学生
若者の木の墓ますぐ緑斜面(中村丘の墓)
老いし母怒涛を前に籾平(なら)
象みずから青草かづき人を見る
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写真ACより、「アジアンフード&ドリンク」のイラスト1枚。




 今日2回めの記事更新です。
 妻が先日、ドコモのスマホの機種変更をし、契約も替えた。それでdポイントが3,000ポイント入り、これまでと合わせて、4,100ポイントを越えた。dポイントを妻は僕に使わせてくれたので、本を買う事にして、書店・KaBoS二の宮店へ向かった。二の宮店は、1年ぶりくらいである。
 dポイント等を使っての購書は、4月23日の記事、ノーマネーで2冊を入手、以来である。



 翻訳詩集なども気になったが、以下の2冊を買った。
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 萩原慎一郎・歌集「滑走路」。角川文化振興財団、2019年1月・8版。
 歌人が非正規雇用の若者であった事、出版直前に自死した事など、話題の歌集だったが、これまで買えなかった。定価:1,320円(税込み)。

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 平凡社の東洋文庫より、「デデ・コルクトの書」。トルコ系遊牧民の英雄叙事詩という。
 僕は古代叙事詩に関心があって、ホメロスの「イリアス」「オデュッセイア」、「アレクサンドロス大王東征記」、フィンランド叙事詩「カレワラ」など(いずれも岩波文庫、未読)を持っている。
 東洋文庫は、貴重な本が多いが、値段が高い。定価:3,300円(税込み)。

 合計・4、620円を、dポイント4,186ポイント、不足434円を現金で支払った。




 福井県俳句作家協会・編の「年刊句集 福井県 第58集」より、3回めの紹介をする。
 同(2)は、先の4月25日の記事にアップした。




 今回は福井地区の、56ページ~75ページの20ページ、40名400句を読んだことになる。
 新しい句材は必要だが、新と真のもう1つ、真実も必要である。能や文楽の型より摂った句、忌祭を吟じて季語と即かず離れずの句、田舎の若者を吟じた句、などに惹かれた。
 会員の高齢化はあるが、畑作業、新しい学び、などを吟じた句もあって、回想の作品と共に、お元気である。

 以下に5句を引く。
見送りの目頭押さふ光る風(T・利彦)
ライダーの危ふき蛇行雲の峰(K・邦子)
母の忌や四男三女衣被(S・由紀子)
ロボットのスイッチを押して掃初め(T・三恵子)
炭琴の高き音色や秋気澄む(I・和加子)
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写真ACより、「アジアンフード&ドリンク」のイラスト1枚。




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 綜合歌誌「歌壇」(本阿弥書店)2019年3月号を、短歌作品中心に読み了える。
 到着は今月16日の記事
「届いた4冊(2)」の、初めにアップした。リンクより、過去号の感想へ遡り得る。

 巻頭作品20首では、佐佐木幸綱(以下、敬称・略)「岡本太郎の絵」に、老い初めた心境を詠むようで、心惹かれた。5首目の下句「時代か嘘か愛か怒りか」は、4句「時代の嘘か」としたかったかと、勝手に思い込む。「愛と怒り」は、若い頃の佐佐木幸綱のテーマだった。河出書房新社「佐佐木幸綱の世界」全16巻より、歌集篇すべてを読んだ頃が懐かしい。

 特集「復刻してほしい歌集歌書」は、マニアックな本ばかりで、復刻されても読みたいものは殆んどない。

 「作品12首」では、栗原寛「わが私小説」の3首目、「過去と過去すれちがはせる申し訳程度の笑みと会釈かはして」が、古い知人との遭遇を描いて、上品である。

 「作品7首」では、稲垣紘一「「後期」保険証」の4首目「七十五歳の朝にまみえてヒリヒリと脱皮不全の身の置き所」に惹かれた。世への欲求が残って、隠居できないのだろう。

 インタビュー・小島なお(聞き手 佐佐木定綱)は、同年齢の若者らしく、僕に不明の点も含めて、若者の歌について深く語り合っている。「基本的歌権」には表現尊重の意味で、賛成である。歌会で指導者が、あまりな評や改作をするのを、長く見て来たから。


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 今月22日の記事、「届いた2冊」で報せた内、同人歌誌「COCOON」Issue06を読み了える。
 
同・Issue05は、今年9月26日の記事で紹介した。
概要
 結社誌「コスモス」内の若手歌人(1965年以降生まれ)より、27名を同人とする。
 Issue06は、2017年12月15日・刊、83ページ。
 短歌作品、評論だけでなく、短歌と細密イラストを合わせた「うた画廊」、それに「COCOON歌合」、エッセイ、アンケート「お付き合いしてみたい近代歌人」など、多彩である。
感想
 時代の危機(危機でない時代があったか、という声もあるが)は、心、言葉、生活への圧力において、若者に著しいようである。
 僕のように隠退して、年金を頼りにしている者より、若者は危機を敏感に感じているようだ。
引用

 O・まきさんの「胸の木」24首より。
さみしいと言えない人がさみしいと言わないために閉めるドアあり
 自分を損なうに至らない為にも、歌を詠み、読まれる事が必要である。
 K・なおさんの「非通知」24首より。
動く歩道のうえを歩けばるうるうと水を進める鷗のきもち
 比喩とオノマトペを用いた、優れた1首。
 H・晃央さんの「駱駝の欠伸」24首より。
センターの地理で苦しめられた境港の湾口砂州は壮観
 句割れ・句跨りが、もはや衝撃や美を生んでいない。
 O・達知さんの「天元」12首より。
先輩がいちねんごとに減つてゆく裸の王様はここちいい
 次第にベテランになる不可解さを、ひらがな、句跨りにより表わしている。裸の王様への堕落は、反語的に「ここちいい」と書きながら、彼には無いだろう。


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