山田詠美の短編小説集、「マグネット」を読み了える。
 彼女の小説は、昨年11月22日の記事、同「ラビット病」を読む以来である。

山田詠美 マグネット
概要
 単行本:1999年、幻冬舎・刊。
 幻冬舎文庫:2002年・刊。
 9編の短編小説を収める。
 山田詠美の本の記事が、2007年4月に出発した前ブログ「サスケの本棚」にも、2016年9月に引き継いだこのブログにも、初めのリンクの「ラビット病」以外はない。
 彼女の小説は、1985年のデビュー作「ベッドタイムアイズ」から、1990年の「熱血ポンちゃんが行く」あたりまでは、何冊か文庫本を読んだ記憶があるので、2007年4月・以前らしい。
感想
 いきなりだが、性行為を中心とする、男女の性の有り様について、品格と機知を伴って、洗練された9編が描かれる。ただし1人称小説が多い。
 山田詠美を「短編小説の名手」と評価する、評論家が現れたことも肯ける。
 黒人男性との性行為を描いて出発したイメージの強い、山田詠美の作家としての成長を読む思いである。ネタバレを書いていられないので、関心を持つ方へはご1読を薦める。もっとも、もっと荒々しい世界を描き続ける作品を期待する、僕もいた。
 彼女を見直して、後期の小説をもっと読みたい思いがする。