風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 お報らせです。2020年9月6日で以って、Kindle本「少年詩集 鳶の歌」を自力発行致しました。原稿は自分で作成し、表紙はデザイナーさんにお願いしました。上梓は自力で行いました。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリで、「少年詩集 鳶の歌」と検索すれば、すぐに出て来ます。右サイドバーのバナーよりも至れます。僕のペンネームは柴田哲夫です。価格は500円ですが、Kindle Unlimited版を追加金無料で購入できます。多くの方のご購読を願っております。

角川書店

 俵万智の最新・第6歌集「未来のサイズ」を読み了える。僕は彼女の歌集を、すべて読んで来た筈である。
 入手は、今月10日の記事、届いた2冊を紹介しする(17)にアップした。入手の経緯は、リンクを参照してください。



未来のサイズ
 2020年9月30日、角川書店・刊。418首、著者・あとがきを収める。
 全体は3章より成り、Ⅰ 2020年はコロナ禍の現在を、Ⅱ 2013年~2016年は石垣島時代を、Ⅲ 2016年~2019年は宮崎県での、詠んだ歌となる。
 Ⅰでは、コロナ禍を怖れつつ、自粛期間を楽しもうとする歌がある。以下に2首を引く。
朝ごとの検温をして二週間前の自分を確かめている
ほめかたが進化しており「カフェ飯か! オレにはもったいないレベルだな」
 Ⅱでは、大事な人の見送り、島での心豊かな生活、社会への嘆きに似た怒り、などを詠む。以下に2首を引く。
見送りは心ですますと決めたから畑にニラを摘む昼下がり
どこんちのものかわからぬタッパーがいつもいくつもある台所
 Ⅲでは、宮崎県に移り、中学校の男子寮に入った息子、ホームの父母、父親となった弟らに気を配る。以下に2首を引く。
日に四度電話をかけてくる日あり息子の声を嗅ぐように聴く
草食系男子となりし弟がそこそこ進むイクメンの道

 なおこの歌集には、社会批判・政治批判を詠んだ歌があるが、僕の希望としては、散文で展開してもらいたい。


 

 最近に手許に届いた2冊を紹介する。
 県内にお住まいの詩人・立石百代子さんが、絵本「喰うな!おれのだ!」を送って下さった。

喰うな!おれのだ!
 能登印刷出版部・刊、2020年9月10日・2刷。30ページ。
 親・娘・孫、3人の協力での出版である。
 A4判よりやや大きく、僕の多機能プリンタで表紙をスキャンできるかと危ぶんだが、ぎりぎりの大きさでスキャンできた。

 俵万智・歌集「未来のサイズ」の刊行を知り、読みたくなって、メルカリの新刊部より、メルペイ残高で購入した。

未来のサイズ
 角川書店、2020年9月30日・刊。価格:1,540円(税込み)。
 カバーの歌を読んで、俵万智が多行書きに転換したかと、ファンが嘆くことはない。本文では、1首1行の歌ばかりである。





 佐佐木定綱の第1歌集「月を食う」を読み了える。
 購入の次第は、今月18日の記事、3冊を買うにアップした。



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 2019年10月31日、角川書店・刊。330首、著者・あとがきを収める。
 俵万智と皆川博子の帯文、島田修三と小島なおの栞文を得ている。
 歌壇の重鎮・佐佐木幸綱の次男でありながら、その威光に頼ることなく、食堂店員、書店員として働いている。しかし職業は、汚いものであったり、意に染まない本を売らねばならなかったりする。
 失恋に泣いたり、幼い恋をしたり、同居(同棲?結婚?)したりする。厳しい生活をしながら、良家に育った上品さは失わない。
 若さゆえに、父の威光を借りることを嫌ったのだろうが、僕は職に関して、借りれば良いと思う。僕の定年・再任用までの職もそうだった。
 なおこの歌集で、彼は第64回現代歌人協会賞を得た。


 以下に7首を引く。
道端に捨てられている中華鍋日ごと場所替えある日消え去る
口の端の薄きしょっぱさ朝焼けよこりゃあなんだよ誰が泣いてる
二十円引きのエクレア買ってきた君はひと口無料でくれる
日本語のない安すぎる缶詰とアサヒビールのプルタブを引く
友だちの受けしパワハラ聞きながら上手にホッケの骨をとれるかな
本や家具、君の笑った声などを詰め段ボール笑いはじめる
買われずに返品されてゆく本が夏の陽射しに熱持ち始む

 ブクログ記事を、短歌誌「心の花」さんがリツィートしてくださいました。

歌壇の重鎮・佐佐木幸綱の次男でありながら、その威光に頼ることなく、食堂店員、書店員として働いている。し...『歌集 月を食う』佐佐木 定綱 ☆4 https://t.co/OGrvgRnNcp #booklog

— 新サスケ (@terayamaf) August 25, 2020 ="https://parts.blog.livedoor.jp/img/usr/cmn/btn_add_twitter.png">



 8月17日の猛暑日、午後1時半頃、最も暑い時間帯に向けて、書店・KaBoS二の宮へ向かった。もっとも暑さは、車でほぼdoor to doorなので、心配要らない。
 二の宮店では、迷ったあげく、3冊を買った。


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 穂村弘の最新歌集「水中翼船炎上中」。2018年5月21日、講談社・刊。
 価格:2,530円(税込み)。箱入り、202ページ。


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 佐佐木定綱・第1歌集「月を食う」。
 2019年10月31日、角川書店・刊。定綱は、歌人・佐佐木幸綱の次男である。
 第64回・現代歌人協会賞・受賞。
 価格:2,420円(税込み)。191ページ。


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 思潮社の現代詩文庫より、78「辻征夫詩集」。他にも同文庫の新しい詩集があったが、僕にはわからないようだった。
 2000年7月1日、6刷。4詩集と未刊詩篇を収める。
 価格:1,281円(税込み)。160ページ。

 総額:6,231円。4千円支払うと、6千円分使える振興券を2セット、妻が買い1セットを僕にくれ、書店で使える事を確認していた。ただし5百円分は、小規模店専用なので使えない。
 結局、振興券5千5百円分と、現金731円で支払った。こういう機会でないと、新刊歌集などのまとめ買いができない。
 なお本のまとめ買いは同店での、6月2日の記事、dポイントで2冊を買う、以来である。





 角川ソフィア文庫「西東三鬼全句集」より、第5句集「変身」の前半を紹介する。
 第4句集「今日」は、今月25日の記事にアップした。リンクより、過去記事へ遡れる。



 句集「変身」は、1962年2月、角川書店・刊。その4月1日に、癌のため62歳で亡くなった。
 著者の「あとがき」があり、危篤に陥ったため、友人諸兄の協議により成った、と書かれる。
 1951年より約10年の、1,073句より成り、僕が紹介を2回に分けようとする理由である。
 角川ソフィア文庫の、155ページ~195ページを(1)前半とする。

 新興俳句以来の、前衛の態度を崩さず、第1線を突っ走るには、かなり苦しんだ跡が見える。字余りや、省略など。題材、表現にも、新を求めて止まなかった。

 以下に5句を引く。
鉄道の大彎曲や横飛ぶ雪
病者等に雀みのらし四月の木
河豚啖いて甲板
(デッキ)と陸に立ち別る
癌の兄と別れ直ぐ泣く群衆裡
冬越え得し金魚の新鮮なる欠伸
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写真ACより、「アジアンフード&ドリンク」のイラスト1枚。




 昨日4月21日の記事で、角川書店「増補 現代俳句大系」第15巻の18番めの句集、斎藤玄「雁道」を読み了えた事を報せた。

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 これでこの全15巻を、読了した事になる。

 第1巻の初めの句集は、水原秋桜子「葛飾」だが、当時既読だったので飛ばして、2冊めの句集、増田龍雨「龍雨句集」から読み始めた。
 僕の前のブログ「サスケの本棚」の、2010年3月15日の記事に、アップされている。



 それから10年余掛けて、全15巻を読み了えた。第15巻の「雁道」のあとには、対談・分載、解説、俳句年表・分載などが載るのみである。

 途中、既読、あるいは肌がどうしても合わない、数冊を飛ばした。それでも200余冊の句集を読んだ。読む俳人が次々と変わるので、退屈しなかったのかも知れない。
 短歌を詠む学びの意義もあった。第15巻を読み了えて、飛び跳ねるような喜びはないが、じわじわとした感慨が湧く。
 これからは県俳句作家協会の年刊句集、蔵書の全句集類を読んで行こう。


 角川書店「増補 現代俳句大系」第15巻(1981年・刊)より、18番め、最後の句集、斎藤玄「雁道」を読み了える。
 先行する北野民雄・句集「私歴」は、今月16日の記事にアップした。




 原著「雁道(かりみち)」は、1979年、永田書房・刊。1975年~1978年の4年の382句を、年毎に4章にまとめて収め、著者・後書を付す。
 1980年4月8日、蛇笏賞に決まり、1か月後の5月8日に癌で逝いた。

 斎藤玄(さいとう・げん、1918年~1980年)は、戦前に西東三鬼に師事、「京大俳句」に拠った。戦後、俳誌、個人誌を創刊しながら、石田波郷「鶴」に1時参加した。
 「雁道」は第5句集であり、1983年「無畔」、1986年「斎藤玄全句集」(永田書房・刊)がある。
 句割れ、句跨りなどありながら、定型を守っている。4度の開腹手術を受け、死を覚悟したようだが、悟ったような澄んだ句より、死の怖れを表したような句に好感を持つ。


 以下に5句を引く。
なにげなき餅草摘の身拵
はるけきを待つ邯鄲の鳴くを待つ
花山椒みな吹かれみなかたちあり
心痩せては花桐の吹溜
山をもて目を遮りぬ秋の暮
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写真ACより、「アジアンフード&ドリンク」のイラスト1枚。




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