風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

 お報らせです。2020年2月20日で以って、Kindle本・短編小説「底流」を自力発行致しました。原稿は自分で作成し、表紙はデザイナーさんにお願いしました。上梓は自力で行いました。
 Amazonの「Kindleストア」カテゴリで、「柴田哲夫 底流」と検索すれば、すぐに出て来ます。柴田哲夫は、Kindle版・詩集「詩集 日々のソネット」、「改訂版ソネット詩集 光る波」と同じく、僕のペンネームです。価格は500円ですが、Kindle Unlimited版を追加金無料で購入できます。多くの方のご購読を願っております。

評価

 萩原慎一郎・歌集「滑走路」を読み了える。
 購入は、今月2日の記事、dポイントで2冊を買う、にアップした。



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 角川文化振興財団・刊、2017年・初版、2019年・8版。
 歌集は、歌人が非正規労働者の苦しみを詠む若者だったこと、歌集の発行直前に自死したこと等に因り、評判を集めた。
 りとむ短歌会所属。三枝昻之・解説、著者・あとがき、両親挨拶・きっとどこかで、を付す。
 幼い部分もあるが、短歌による救済を信じ、つらい労働に耐え、淡い恋もして、生き抜いたが、成功を目前にして亡くなった。
 僕は彼が、幸せな心で亡くなったと信じたい。幸せな時には、「このまま逝けたなら」と思うこともある。また神経症では恢復期が最も危ういとも聞く。
 正規職員に成れたようで、歌集の評価にも自信があっただろう。
 僕は職を転々としたあと、正規職員に成れたが、中途採用の現場作業員で、規定により幾ら頑張っても課長にはなれない立場で、定年までヒラ労働者だった。彼の仕事の歌など、共感を持つ所以である。


 以下に7首を引く。
抑圧されたままでいるなよ ぼくたちは三十一文字で鳥になるのだ
更新を続けろ、更新を ぼくはまだあきらめきれぬ夢があるのだ
街風に吹かれて「僕の居場所などあるのかい?」って疑いたくなる
きみからのメールを待っているあいだ送信メール読み返したり
非正規という受け入れがたき現状を受け入れながら生きているのだ
箱詰めの社会の底で潰された蜜柑のごとき若者がいる
電車にて傷心旅行 こんなはずではなかったと呟きながら


 先の8月5日にアップした記事、入手した5冊(3)の内、張籠二三枝さんの「三好達治 詩(うた)まくら」を読み了える。
 2014年、紫陽社・刊の「三好達治 詩語り」、2016年12月22日の記事、張籠二三枝「三好達治 詩のエピソード」に次ぐ、三好達治・評釈の第3編である。

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 各種「三好達治全集」を索捜し、周囲の人物の文章を挙げながら、三好達治の詩の真意を探ってゆく。
 福井県坂井市(当時、坂井郡)三国町に仮寓した5年間を主とする。しかし、三国町での萩原アイとの短い結婚生活は、萩原葉子「天上の花」に詳しいからか、この3冊であまり触れられていない。
 戦後も57調の詩ばかり書いていた三好達治を、今に論究する価値が、どこにあるのか。著者の郷土愛ばかりでなく、初期抒情詩と戦中の翼賛詩に注目が集まる中で、戦後の詩を含めて評価しようとするのだろうか。
 若者があからさまに「戦前」と呼ぶ時代に、三好達治の評価の底上げを図るものでなければ良いが。彼女の1連の作品は、お嬢様文学ではない。



ダイビング川柳 其の弐
 海河童さんのKindle本、「ダイビング川柳 其の弐」を読み了える。
 タブレットへのダウンロードは、今月10日の記事、入手した3冊(4)にアップした。

 ほとんど海中の魚介類の写真に、川柳、解説、寸評(駄句、佳句、秀句、特選、の評価付き)を入れている。川柳は、初句、中句、結句、まとめて1川柳と、ページが違い、写真も異なる。
 定型に収まる句があるが、はみ出す句も多い。

 川柳の、世に盾突く姿勢がない。自分で解説し、評価を付けている所も、文学らしくない。「三十度あたたかいけどサンゴは無事か?」が特選となっている。
 海河童さんのダイビング、ダイビングの普及、海中写真、KDPに掛ける情熱は素晴らしいと思うけれども、上手とはいえない川柳である。写真集のみで評価を受けられる。無料でダウンロードして、大きな声も出せないけれども。


 9月5日に、同人誌1冊と、文庫本3冊が届いたので、紹介する。
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 県内の詩人・作家・評論家の定道明さんが、同人誌「青磁」第40号を送ってくださった。優しい手紙と共に。
 「青磁」は、県内を主とする、小説・評論の同人誌である。2019年8月29日、青磁の会・刊。
 手間と費用が掛かり、評価されにくい、小説の同人誌を続けることに、敬意を払う。定道明さんの2編、張籠二三枝さんの1編、だけでも読みたい。

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 9月2日にメルカリで、3冊1括450円で注文した、山田詠美の文庫本が、9月5日に届いた。
 「蝶々と纏足 風葬の教室」、「放課後の音符(キイノート)」、「ぼくは勉強ができない」、いずれも新潮文庫である。
 目当ては「放課後の音符」だったけれど、3冊1括で廉価に出品されていたので、注文した。初に読む山田詠美の生徒もの小説など、楽しみにしたい。


 

 今日2回めの記事更新です。
 高校文芸部の年刊部誌「白房」1968年号より、僕の初期小説「底流」の(2-3)を、HP「サスケの散文サイト」に転載しました。
 拙いものですが、よろしければお読みください。県出身の芥川賞作家・多田裕計氏が評価して下さったようで、当時は大学生の現代詩作家・荒川洋治氏を通して、「大学に進んでも文学を続けるように」との言伝てを頂きました。実際の僕は、逸れて行った訳ですが。
 アドレスは以下の通りです。

masakyf-diary.amebaownd.com/posts/6730461

 上のアドレスは、フィッシング防止等のため、2,3日でリンクが切れます。その場合は、初期小説「底流」の(2-3)に貼ったリンクよりお越しください。


09
写真ACより、「恐竜」のCG1枚。

 石川書房「葛原繁全歌集」(1994年・刊)より、「鼓動以後」(1,359首・収録)の4回め、最終の紹介をする。
 先の5月28日の記事、同(3)に次ぐ。このあとは短歌作品として、初期歌編421首と、別冊栞に掲載された遺詠9首のみである。
概要
 今回は、547ページ「時も命も」(1990年)の章より、しまい586ページ(1993年)までを読んだ。この時期、著者は肝炎を病み、1993年1月7日、肺癌のため死去した。
 僕が「コスモス」に初出詠したのは1993年12月であり、没後すぐに当たる。
感想
 「コスモス」の創刊者・宮柊二の没後、「コスモス」は幾つに分かれるか、などと噂されたらしいが、葛原繁が編集人となり結社をまとめ、分裂を防いだ手腕は大きく評価された。
 会社勤め、家族の扶養、結社の維持拡大などに、成功した。また歌人としても、読売文学賞を受賞するなど、評価された。
 しかし葛原繁の短歌が、今1つ膾炙されないのは、実務面に心身を向け過ぎたからだろうか。
引用

 以下に7首を引く。
宇宙にて徐々に近づきドッキング成るまでを映す生中継にて
見る我も水に浮かべる鴛鴦もおしなべて今春の日のなか
寝ては起き仕事なしをり予後の身は机のそばに布団を敷きて
一党独裁の終(つひ)の帰結か民衆はののしりて屈せず戦車の前にも(ソビエト政変)
歩み来し我の目前に紅梅は花をつらねて陽にかがやけり
遊民ら春日に出でておのも憩ふビルの谷間の石の広場に
身力の失せゆくことを如何せむかく嘆くかも残暑の明暮れ
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写真ACより、「キッチン・グッズ」のイラスト1枚。


イタリア編 総集編
 大山賢太郎氏のメールサービス「本の棚」で推薦されていたkindle本を、12月17日に、無料ダウンロードした。セールだったらしく、今は330円である。
 「かずさん」編の格言写真集「旅への思いは募る!! 世界遺産の誘惑 イタリア編 総集編」である。63ページ。
 イタリアの世界遺産の写真(横長、画面一杯)に、自己啓発風の格言を中央に横1行に入れている。1行に余る格言は、複数画面に分けるが、その間は同じ写真である。
 写真画像がやや粗く、プロの機材と腕とは違うのか、と思っていた。しかし表紙の次のページに、「写真出典:「世界遺産」「世界遺産オンライン」など多数」とある。
 念のためネット検索すると、「世界遺産オンライン」「世界遺産 WORLD HERITAGE」のサイトを見つけた。共に著作権を主張していない。丸写しの写真も確認した。
 しかし編者は、現地へ旅行する事なく、ほとんどサイト写真の引用に、他者(カーネギー、フランクリン、ナポレオン、シェイクスピア、他)の格言を入力しただけの本である。寄せ集めの本だった。
 他に、ドイツ編、中国編、オーストラリア編などを、kindle本で(kindle unlimted本も同時に発売)320円~340円で販売している。世界遺産と名言へのリスペクトがなく(オリジナリティがない)、電子本の評価を下げ兼ねなく、安易な出版は止してほしいと僕は考える。


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