風の庫

読んだ本、買った本、トピックスを紹介します。純文学系読書・中心です。

詩人

 今日2回めの記事更新です。
 昨日に続き、僕の未発表ソネット10編より、(6)をアップします。

  
再会
    新サスケ

天才詩人の森晴美さんは
上智大学文学部仏文科を中退して
僕は神戸大学経営学部を中退して
地元の書店で偶然に再会した

彼女は「少女漫画にはまってるのよ」と苦笑した
僕は「一市民として生きる」と告げた
そのあとの七転八倒は話したくない
短歌と出会い救われた

「短歌は自己救済の文学である」と言われる
森さんはフランスに留学し
三度の結婚と離婚のあと

フランス食料機関の日本支局長となり
フランスの勲章を受けたとの噂である
僕と彼女は今 連絡を取れない
ロイヤルサンセット
「ゆりの里公園」より、「ロイヤルサンセット」の1枚。
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 思潮社の現代詩文庫155「続・辻征夫詩集」より、「俳諧辻詩集」から、を読み了える。
 先行する詩集「河口眺望」は、今月20日に記事アップした。

 リンクより、過去の詩集感想記事へ、遡り得る。

 「誹諧辻詩集」から、には春夏秋冬4章に分けて、18編の詩を収める。詩集題にあるように、作品題の前後あたりに自作の俳句を配している。
 辻征夫と句作の関係は、今年2月23日の記事、彼の句集「貨物船句集」の感想で述べた。


 この詩集の目論見は、成功していないように思える。彼は月1度の「余白句会」で点数などを競ったのみで、俳誌に参加しなかったようだ。詩人の多い「余白句会」で競って、新奇な俳句を作した。新奇な俳句は、句集にまとめられて良いが、詩に配されては印象が良くない。「橋」では背景設定が時代小説の中だったりする(生活感情が細かくわからない時代小説では、美談が幾らでも書ける)。
 神経症的な「葱」では、「ちがうあいつはいまむこうをむいたんだ/葱に顔をそむけられちゃあ/おしまいだなって…」と綴る。
 「夏館」では、曾祖父から祖父、母に至る家系を辿る。詩人は知らないが、作家は大成すると、血族史、一族物語を書き、上がりとなる。(暗い宿命を背負った三浦哲郎は別である)。
 「下駄」では亡き父の下駄を履いて懐旧する。僕は親族の死を、挽歌に書き尽くして、あまりしみじみ思い出さない。
 「落葉」の1行に共感した。「頭
(こうべ)に白髪(はくはつ)を置き 子の行末に思い悩みつ」。(娘の1人が5歳の時に大病をしたらしい)。かつて僕も思い悩んだ。しかし「半生は…束の間だった」とは思わない。
 俳句を配したこの詩集の手法は、成功と言い難い。この後、詩人はこの手法を採らなかった。
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写真ACより、「ビジネス」のイラスト1枚。



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 福井で作家、詩人、評論家としてご活躍の定道明さんが、短編小説集「雪先生のプレゼント」を贈って下さった。

「雪先生のプレゼント」

 昨年5月28日の記事、定道明「ささ鰈」を贈られる、以来である。

 定さんはこれまで略歴に載るだけでも、詩集4冊、評論集4冊、小説7冊を、自費出版されている。お小遣いのほとんど全てを、本の出版に掛けて来たのだろう。


マスキングテープ&ポストカード・セット
 ブログの先輩の暁龍さんが、マスキングテープ&ポストカードのセットを、Instagramフォロワー4万人越えを記念して、メルカリより発売したので、さっそく購入した。
 写真にはボケ、ユガミ、光の映り込みがあるが、読者の方は想像力で補正していただきたい。
 左上より、左回りに、挨拶文、マスキングテープ、ポストカード3枚、コースターである。1セット:千円(税込み、送料込み)である。
 僕の場合、写真に撮って、クリア・ファイルに入れ、ボックスに入れ、即・永久保存した。


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 新潮社「川端康成文学賞 全作品 Ⅰ」より、富岡多恵子「立切れ」を読む。
 1977年、同時受賞した、水上勉「寺泊」は、今月14日の記事にアップした。


 富岡多恵子は詩人として出発し、小説家へ転身した。思潮社「富岡多恵子詩集」(実質的全詩集、1973年・初版)の、1979年・6刷を僕は持っているが、彼女の詩はあまり読んでいない。小説は初めてである。
 「立切れ」は、今は表に出ない噺家、菊蔵の晩年(72、3歳)の、1時期を描く。
 菊蔵は物好きな学生グループに誘われ、風呂屋の脱衣所に客を集めて、廓噺ばかりを語る会を持つ。話題になり、物好きな週刊誌の取材を幾つか受けた。しかし1年で学生グループが、最後にすると告げる。
 噂で三味線方のお糸さんがアパートにあらわれて、出囃子を弾くと言う。菊蔵は廓ものの「立切れ」を演じ、三味線方を演じたお糸さんの誘いも断って、アパートの一人暮らしに帰る。公立の老人センターへ日曜ごとに通うようになり、無料の演芸会の客になる、という結末が救いだろうか。
 富岡多恵子のこの文体も、菊蔵の噺のように、枯れかかった艶がある。枯淡の境地を目指すのだろうか。
 僕の詩(ソネット群)は、枯淡ではなく、芭蕉の最後の境地、軽みを目指したい。
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写真ACより、「ガーデニング」のイラスト1枚。




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 筑摩書房「ウンガレッティ全詩集」(河島英昭・訳、1988年・刊)より、第3詩集「悲しみ」を読み了える。
 第2詩集「時の感覚」は、今月4日の記事にアップした。



 第1詩集「喜び」(喜びの詩編ばかりではなかったようだが)とは、対照的な「悲しみ」の題名である。(1937年ー46年)と付されている。
 幼年時代との別れ、兄の死を歌ったあと、9歳で病没した長男(1939年。1936年~1942年、サンパウロ大学の教授だった)を悼む17編の連作が続く。
 ファシスト政権下でも、苦しみながら(ウンガレッティは苦しむ詩人だった)詩作を続け、「おまえは砕け散った」の3連作、キリスト教への信と不信を含む「占領下ローマ」(1943ー44年)の詩編へ至る。
 1945年のファシスト政権崩壊後、1942年に政権によってローマ大学教授に任命されていたウンガレッティは責任を問われ、1947年に作家協会を追放されたが、大学教授は危うくも留任が決まった。
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写真ACより、「秋の人物コレクション」のイラスト1枚。


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 最近に手許に届いた2冊を紹介する。
 県内にお住まいの詩人・立石百代子さんが、絵本「喰うな!おれのだ!」を送って下さった。

喰うな!おれのだ!
 能登印刷出版部・刊、2020年9月10日・2刷。30ページ。
 親・娘・孫、3人の協力での出版である。
 A4判よりやや大きく、僕の多機能プリンタで表紙をスキャンできるかと危ぶんだが、ぎりぎりの大きさでスキャンできた。

 俵万智・歌集「未来のサイズ」の刊行を知り、読みたくなって、メルカリの新刊部より、メルペイ残高で購入した。

未来のサイズ
 角川書店、2020年9月30日・刊。価格:1,540円(税込み)。
 カバーの歌を読んで、俵万智が多行書きに転換したかと、ファンが嘆くことはない。本文では、1首1行の歌ばかりである。





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 最近に手許に届いた2冊を紹介する。
 まず結社歌誌「覇王樹」2020年8月号、「100周年記念特大号」である。
 同・7月号の紹介は、今月6日の記事にアップした。





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 100周年記念号は、2020年8月1日付け、覇王樹社・刊。390ページと、通常の10倍のページ数である。
 目次としては、「覇王樹」へのメッセージとして結社外28氏より祝辞を、100巻のまとめ、100巻選歌集(1,075名の1首)、評論、自選10首(在籍者)、私にとっての「覇王樹」、各支部等の今昔、資料編Ⅰ・Ⅱ、歌集・歌書解題(90周年・以降)、発行までの経緯、編集後記等の他、モノクロ写真・多数を収める。
 僕の1首、自選10首、私にとっての「覇王樹」、評論「啄木『一握の砂』の道・路」の題と氏名、同人昇級時の氏名、が載る。


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 県内にお住まいの詩人、今村秀子さんより、第6詩集「つまからほどきましょ」を贈られた。
 2020年8月1日付け、思潮社・刊。川上明日夫の栞、20編、あとがきを収める。
 歳を重ねて開花した、艶やかな詩編である。


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